タイムリープは、昔から多くの作品で題材とされてきたテーマです。
H.G.ウェルズの『タイム・マシン』やSF映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、日本でも筒井康隆の『時をかける少女』や村上もとかの『JIN -仁-』、人気PCゲーム『STEINS;GATE』など多くの作品があります。
私たちは時間移動に、永遠の憧れを抱いていると言っていいかもしれません。
今回は実際にタイムリープに成功した人の体験談を紹介していきます。
タイムリープとタイムトラベルの違いとは?
「タイムリープ」という言葉は「時(Time)」と「跳躍(leap)」を組み合わせて作られた言葉ですが、実は英語圏ではほとんど使われません。
ほぼ日本特有の表現と言っても過言ではありません。
英語圏では「タイムトラベル(Time travel)」や「タイムワープ(Time warp)」などの表現が一般的です。
狭義ではタイムリープは過去の自分に、現在の自分の意識が移る形で時間旅行をすることで過去、未来のある時間に自分が2人いるという矛盾を回避する時間移動とも言われていますが、統一された定義はありません。
実際には日本でもタイムリープがそれ以外のタイムスリップと混同されて使用されるケースは多々あります。
そのためタイムリープとタイムスリップの違いはほぼないと言って差し支えありません。
タイムリープは可能か?
タイムリープ(時間旅行)は、古くは『浦島太郎』や『マハーバーラタ』などにも登場するなど非常に歴史のある考えであり、古くから研究が行われてきました。
現代のタイムリープ研究は、物理学者アルベルト・アインシュタインが発表した相対性理論に始まります。
この理論は、かいつまんで言えば「光は常に一定の速度で動き、普通の世界では光よりも速く動くものはない」というものです。
相対性理論によって私たちの時間は光に対して相対的なものであり、光の速さに近づけば近づくほど周囲よりも時間の流れが遅くなることが示されました。
例えば1秒を100年にすれば、10秒いるだけで1000年分もタイムリープすることができます。
もちろんそもそもどうやって光速に近い速度で動くのか、動けたとしても、膨大なエネルギーが必要になるなどの問題は当然残ります。
そのため光速で動くほか異なる時空間同士をつなぐ「ワームホール」を利用して時間移動をするという研究もされています。
また相対性理論に基づくタイムスリップは未来にしか行くことができません。
イギリスの物理学者であるスティーブン・ホーキングは「時間順序保護仮説」という仮説を発表し、過去への時間移動の可能性を否定しており、まだこれを覆すような学説も発表されていません。
ほかにもタイムスリップには色々な方法論が提唱されています。
例えば光速ほどでなくとも、宇宙空間に移動するなどして重力などの状態が異なる空間に行くと時間の進み方が変化する「ウラシマ効果」やコールドスリープなどを利用すると、自分が時間経過を自覚しないうちに周囲の時間が経過します。
これも広義のタイムリープのひとつと言えるでしょう。
更に物理学などからは離れ、明晰夢などを用いてタイムリープをするという方法も模索されています。
この方法については、後で詳しく紹介しましょう。
実際にタイムリープに成功した人の体験談を紹介
これまで紹介したように、タイムリープの方法は現在も見つかっていません。
仮説段階にある方法はありますが、宇宙のまだまだ性質が分かっていない物質に依存したり、莫大なエネルギーが必要だったりと残念ながら絵空事の域は出ないものばかりです。
しかし世界には、タイムリープに成功したと自称する例がいくつかあります。
実際にタイムリープに成功した人の体験談を紹介していきましょう。
ジョン・タイター
引用元:https://enigma-calender.blogspot.com/
ジョン・タイターは2000年に突如表れた未来人です。
2036年から来たと主張する彼はアメリカの大手ネット掲示板に書き込みをし、タイムトラベル理論や自身のいた2036年の状況、更に自分が未来人である証拠などを示しました。
その後2001年3月に「予定の任務を終了した」という書き込みを最後に消息を絶っています。
ジョン・タイターいわくタイムマシンは2034年に欧州原子核研究機構(CERN)により試作機が開発されるほか、2015年に第三次世界大戦が勃発、2017年にロシアが勝利して終結しています。
また2036年時点では第三次世界大戦の影響で物理的に人が交流することが困難なため、完全に無線化された電話やインターネットがコミュニケーションツールとして重宝されているほか、現在インターネット分野で有名なGoogleやMicrosoftなどは存在していないと言います。
ジョン・タイターの予言には、外れているものも少なくないのでその信ぴょう性はやや怪しいです。
ただジョン・タイターは時間移動をするごとに、厳密には異なる「世界線」、すなわちパラレルワールドに移動すると発言しているためジョン・タイターの経験した未来と私たちが経験する世界が異なっていたとしてもおかしくはありません。
『2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)』に現れた未来人
日本のネット掲示板である『2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)』にも、ジョン・タイターのように自称未来人が書き込みを行っています。
2010年11月、2ちゃんねるのオカルト板に2062年から訪れたと自称する人が書き込みをしました。
「2062氏」と呼ばれた未来人はオカルト板に書き込みを行っていた人たちの質問に積極的に答えています。
2062氏いわく2030年までにアジアの2つの国家が原因で戦争が起き、それが原因でアジアの大半はインドに併合されてしまうそうです。
これだけ聞けば根拠も何もない妄想ととられてもおかしくありませんが、興味深いことに2062氏はなんと東日本大震災を予言している(直接地震が起きるとは言っていないものの)ほか、熊本地震も言い当てていたと言うのです。
2020年現在、中国では新型コロナウイルスが猛威を振るっていますが、「アジアの2つの国家が原因となる戦争」はこのコロナウイルスが引き起こすのではないか、とも考えられます。
2ちゃんねるにはこの2062氏のほかにも、2138年から来た未来人や2100年から来た未来人など、多くの自称未来人が訪れ、未来を予言しています。
もちろんその多くは匿名という性質を活かした悪ふざけで、予言の内容もめちゃくちゃです。
しかしもしかしたらその中には本当の未来人がタイムリープで訪れ、書き込みを行っているのかもしれません。
マイケル・フィリップス
YouTubeにはタイムトラベルに関する様々な情報を発信する「ApexTV」というチャンネルがあります。
このApexTVに登場した未来人が、マイケル・フィリップスです。
2043年生まれの未来人で、2075年から2018年にタイムリープし、ApexTVでメッセージを発信しています。
マイケル・フィリップスは18歳でイギリス陸軍に入隊し、特殊部隊の「セクション18」に入隊して、何度もタイムトラベルをしてきたと発言しています。
メッセージを送った目的は、人類の危機を伝えて未来の改変をすることでした。
マイケル・フィリップスいわく2019年3月に北朝鮮がハワイに核攻撃をしかけたことをきっかけにアメリカ・イギリスその他同盟国と中国・ロシアの軍事衝突が発生、2020年には第三次世界大戦に発展して多くの犠牲者を出してしまうそうです。
ほかにも2022年にはアメリカ・カリフォルニアを震源とする歴代観測史上最大となるM9.9もの地震が発生、沿岸部を津波で壊滅させるそうです。
もちろん現実には戦争は起きていません。
マイケル・フィリップスは戦争が起きる未来を知らせることで危機を回避した例はかつてもあったと主張しているため、目的通り歴史の改変に成功していると解釈することもできるでしょう。
ただ大地震は予言でどうにかなるものではないため、これから要注目です。
ApexTVではマイケル・フィリップスのほかにも、スロベニア出身の「デイビット」という科学者がタイムマシンを発明し、既に20回以上タイムリープに成功、45世紀の未来にも行ったことがあるという発言をしたこともあります。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
引用元:https://meigen.club/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテと言えば、『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』などの小説や詩集、更には自然科学など多くの分野で業績を残した、ドイツを代表する文豪です。
そんなゲーテは、タイムリープとしか言えないような奇妙な体験をしたことがあります。
あるとき、ゲーテが馬車に乗って通りを進んでいました。
すると道の向こうから、同じく馬車に乗って男性が進んできました。
すれ違う形になったその男性はなんと金糸で飾られたグレーのスーツを身にまとった、ゲーテと瓜二つの容姿をしていたのです。
それから8年後、ゲーテは同じ通りを馬車に乗って、今度は反対方向に進んでいました。
そのときゲーテは、自分が8年前に見た金糸で飾られたグレーのスーツを着ていることに気がついたのです。
つまり8年前にゲーテが見たゲーテに瓜二つの男性とは、ほかでもない8年後のゲーテのことだったのです。
ゲーテはふとした拍子に8年後の未来にタイムリープして、8年後の自分の姿を見た、としか考えられません。
もっともいくらかのゲーテであっても、8年も後のことをそこまで正確に覚えていられるかと言われれば正直なところ疑問です。
タイムスリップには「同じ時間軸に自分が2人以上いてはいけない」というタイムパラドックスという考え方もあるなど、現在のSFの常識から照らし合わせると奇妙にも思えます。
常識的に考えるのであればゲーテがたまたま自分によく似た人を見て、その8年後にたまたまそのとき見た人と似たような恰好をしていた、瓜二つというのは考え過ぎ、記憶の脚色であるとするのが普通です。
ただ他分野で優れた業績を残したゲーテだからこそ、もしかしたらそうした詳細な記憶を参照することができたかもしれない、という可能性も残っているでしょう。
明晰夢によるタイムリープ
タイムリープと言えば、先に紹介したように物理学的な観点からアプローチするケースが多いです。
しかし世の中には、人の見る夢を通して過去にタイムリープをするというアプローチも試されているそうです。
このアプローチでは、夢の中でも「明晰夢」というものに着目します。
明晰夢とは「自分が夢の中で夢を見ていると気がつく夢」のことです。
もしかしたら、見たことがある人もいるかもしれません。
夢を自在にコントロールする力を身につけ、意識的に明晰夢を見、夢を戻りたい過去にまで改変することでそれを現実とするというのが具体的な方法となります。
実際に明晰夢を自在に見る方法などは研究されており、ある程度の確度を持って自由に明晰夢を見ることは可能なようですが、明晰夢で過去を思い浮かべるとその過去に実際に行けるなどというのは、何の根拠もない荒唐無稽な話です。
しかし2ちゃんねるには実際に明晰夢を見て過去の自分に戻り、そこから人生をやり直したという書き込みがいくつもあります。
そのケースのほとんどが過去の自分にそのときの自分の意識が乗り移っているためにやり直す前の記憶を引き継いでいるうえ、やり直す前の歴史とやり直した後の歴史が微妙に異なっています。
つまり先ほど紹介した狭義のタイムリープであるうえ、ジョン・タイターの項でも触れた世界線移動、パラレルワールドへの移動をしているのです。
人間の夢は、科学的には起きているときの記憶の整理の最中に見るものだと言われています。
しかし私たちがまだ発見していないだけで、タイムリープへの扉が夢の中には隠されているのかもしれません。
まとめ
今回はタイムリープとはそもそも何なのか、果たしてタイムリープは可能なのか、そして実際にタイムリープに成功したという人の体験談を紹介しました。
時間旅行はフィクションの題材として人気であるだけでなく、物理学の世界でも大きな研究テーマのひとつとして位置づけられており、今日に至るまで多くの研究論文や仮説が発表されています。
大変夢のない話ですが、2011年には香港科技大学の研究チームが「光子」という、光を構成する粒子が決して光速を超えることはないという研究を発表しています。
すべてのものは光の速度より速く動くことはなく、それは時間も例外ではありません。
そのため光を超える速度、すなわち「超光速」で動くことができれば時間移動もできるというのがアインシュタイン以来の従来の学説でした。
中でも光子は「超光速」で移動することができる可能性があるとされていましたが、香港科技大学の研究チームの発表によって否定されてしまいました。
研究チームはこの結果をして、タイムマシンの開発は不可能であるとしています。
しかし今回紹介したように、タイムリープしてきた自称未来人は枚挙に暇がありません。
もしその中にたったひとりでも本物の未来人がいれば、それはタイムリープが不可能ではないということの何よりの証明となります。
彼らの多くは意味深長な予言めいた発言を残しています。
それが当たるか外れるかというのも、今後は目が離せないでしょう。