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世界のとっても変な国・不思議な国20選

世界には190以上の独立国があり、それぞれに歴史があります。

日本も千年以上の歴史を有し、京都などには当時の歴史を思わせる建造物が残されています。

ただすべての国が、今の先進国のように戦争の歴史や、脈々と受け継がれる系譜を持っているわけではありません。

世界には、ユニークな経緯から独立国を自称する国がいくつもあります。

その多くが私たちからすれば、まったく想像することのできない理由で国家を名乗っているのです。

今回はそんな世界の変な国を紹介します。

 

シーランド公国

引用元:https://www.huffingtonpost.jp/

世界には極小の面積を持ち、独立国家を自称する「自称国家(ミクロネーション)」がいくつもあります。

中でも代表的なものがシーランド公国です。

シーランド公国は第二次世界大戦中にイギリスが海上に建設した「マンセル要塞」と言われる要塞のひとつであるフォート・ラフスに建設された自称国家です。

1967年9月2日にイギリス陸軍少佐で海賊放送(正式な免許を持たずにラジオ放送を行う放送局)の運営を行っていたパディ・ロイ・ベーツがフォート・ラフスを占拠、シーランド公国の建国を宣言し、本人は「ロイ・ベーツ公」を名乗ります。

当時、イギリスは「海上放送法」を制定したことで海上要塞を拠点としていた海賊放送は壊滅し、ロイ・ベーツ公はこの法律を逃れるために独立を宣言したのです。

イギリスは強制立ち退きのために裁判を起こしましたが1968年の判決でシーランド公国が司法の管轄外であると決まったことでベーツ公は事実上独立に成功したと判断し、その後憲法や国歌、国旗を制定しています。

1978年には当時の西ドイツの投資家であるアレクサンダー・アッヘンバッハを大統領に任命しますが、クーデターを起こされ、さらにベーツ公は奪い返しました。

2006年には火災で国土が全焼、2007年には国全体が売りに出されました。

シーランド公国の爵位は金銭で買うことができ、日本でも西川きよしや三村マサカズ、YouTuberの赤月ゆになどが爵位を持っています。

 

ニューアトランティス

引用元:https://h-stylebook.com/

アトランティスといえば、古代ギリシアの時代に語られた伝説の島および国家です。

そのため、アトランティスを自称するミクロネーションはいくつも存在しました。

その中で最も代表的なものが、ニューアトランティスです。

ニューアトランティスは、あのアーネスト・ヘミングウェイの弟であるレスター・ヘミングウェイが1964年に建設しました。

国の名前の由来は、17世紀にフランシス・ベーコンが書いた未完のユートピア小説をもとにしています。

この小説は科学技術の発達した理想郷(ユートピア)が描かれていました。

レスターはわずか22㎡ほどの竹で作った人工島を兄の小説で稼いだ印税で築き、ジャマイカ沖に浮かべ独立を宣言しています。

しかし嵐によって、わずか1日で沈没しました。

 

メルキゼデク国

引用元:https://ameblo.jp/

ミクロネーションの中には、実際の領土や主権を認められていないにも関わらずウェブサイトを持ち、独自に証券やパスポートなどを発行しているところがあります。

そのような国家は「サイバー国家」と言われ、ときに犯罪に利用されることもあります。

代表的なものが、メルキゼデク国です。

メルキゼデク国は1990年に、アメリカ人のデヴィッド・エヴァン・ぺドレイとマーク・ローガン・ペドレイという親子が一方的に建国しました。

「メルキゼデク」というのは旧約聖書において「いと高き神の祭祀」、「サレムの王」として登場する登場人物です。

建国当初、ペドレイ親子はコロンビア沖のマルペロ島の領有を主張しましたが、その後はカリタネ珊瑚礁、クリッパートン島、「マリーバードランド」と言われる南極大陸の一部など領土は移り変わっています。

1998年、メルキゼデク国の代表は自国のパスポートを国際的に認知されているものだと偽り、1冊3500ドルで数百人に売りつける詐欺事件が発生しました。

奇妙なことに、当時シンガポールやマレーシアの政府はメルキゼデク国を承認していなかったにも関わらず、メルキゼデク国からの入国をビザなしで受け入れる姿勢を見せており、フィリピンなどからの労働者が出稼ぎのためにメルキゼデク国のパスポートをいました。

つまりまったくの偽物を売りつけたわけでもなかったのです。

ペドレイ親子は元々金融犯罪者であり、父親のデヴィッドは刑務所で「メルキゼデク書」と言われる聖書の偽書を執筆しました。

ペドレイ親子は詐欺やマネーロンダリングを大規模に行おうとし、効果的に詐欺行為を働くためにユダヤ教系の宗教と国家としての主権を利用しようとしていたのです。

 

ヘイ・オン・ワイ王国

引用元:https://abook.wp-x.jp/

ヘイ・オン・ワイ王国は、イギリス・ウェールズのポーイスという町にある王国です。

元々人口1500人ほどの小さな町でしたが、1960年代ごろから日本で言うところの神田のような古書店街が作られ始めました。

リチャード・ブースという人物が1961年に廃映画館を、1962年に旧消防署を買い取って古書店へ改装し、精力的にツーリズム活動を開始します。

1971年にはヘイ・キャッスルを買い取ったことでメディア戦略が加速し、ブースは1977年にヘイ・オン・ワイの独立とEEC(European Economic Community, 欧州経済共同体、EUの前身)離脱を宣言しました。

日本ではツーリストライターの兼高かおるがヘイ王国の爵位を与えられたことでも話題を呼びました。

ブースのメディア戦略は、ヘイ・オン・ワイという小さな町の地域振興に大きく貢献しました。

本棚の立ち並ぶ光景や1988年から毎年行われる「ヘイ文学祭」などは多くの観光客を集めています。

しかしブース自身は必ずしもヘイ・オン・ワイの人々との関係はよくなかったと言われています。

 

エルガランド・バルガランド

引用元:https://www.galum.hr/en/

エルガランド・バルガランドは、1992年にスウェーデンのカール・マイケル・フォン・オスウルフとレイフ・エルグレンが考案したマイクロネーションです。

スウェーデン語の「KonungaRikena Elgaland-Vargaland」の頭文字を取った、「KREV」という語でも知られています。

エルガランド・バルガランドは2人が現在の国家のあり方を批判するひとつの芸術プロジェクトであり、人種差別やファシズム、あらゆる寡頭制を批判しています。

当然、実際の領土は持ちませんが、国旗や国歌を制定しており、ときにパスポートや切手を発行するほか、各国で「大使館」と称する美術展を開催しています。

2007年時点で既に850人もの市民を有しているほか、協賛する多くのアーティストが「大臣」として参加しました。

 

クーゲルムーゲル共和国

引用元:https://www.flickr.com/

クーゲルムーゲル共和国は、オーストリアのウィーンにある観光地です。

「クーゲルムーゲル」というのはドイツ語で「球体の丘」を意味する言葉であり、文字通り球体をした建造物が建っています。

芸術家のエドヴィン・リップヴルガーがプラーター公園に建て、建築許可を巡って当局と争い、1970年代にクーゲルムーゲル共和国として独立を宣言しました。

エドヴィンはオーストリア政府への納税を拒否し、独自の切手を発行したことで逮捕されますが、恩赦されています。

エドヴィンの死後、クーゲルムーゲル共和国は観光名所となっています。

 

アエリカ帝国

アエリカ帝国はエリック・リスという男性が考案したマイクロネーションです。

1987年に当時5歳だったエリックらが考案し、当時は地球外の惑星に領土を主張する空想上の存在でした。

しかしインターネットが登場後、エリックは多くのミクロネーションの存在を知り、1997年にウェブサイトを立ち上げることでマイクロネーションのひとつとなりました。

現在、アエリカ帝国はカナダのモントリオール、オーストラリア大陸の一部、火星、冥王星の一部などを領土として主張し、スマイリー(笑顔の顔文字)を載せた国旗や独自の国歌などを制定しています。

ほかにもネット上でダウンロードできるパスポートやIDカードなどを発行しています。

アエリカ帝国は『スターウォーズ』などのSF作品に影響されたユニークな企画を発表しており、毎年物語作りコンテストやロールプレイングゲームコンテストなどを開くほかいくつかの「ニフティデー(しゃれた日)」を制定しました。

更に独自の硬貨や、「シリニズム」と言われるペンギンを信仰する独自の宗教なども広めています。

 

ほら貝共和国

引用元:https://myfloridahistory.org/

ほら貝共和国はアメリカ合衆国フロリダ州のキーウェストを領土として独立を宣言したマイクロネーションです。

1982年、キーウェストにつながる高速道路にアメリカの国境警備隊が不法入国ができないように障壁を設置しました。

キーウェストはフロリダ半島の先端部にある都市であり、当時のキーウェストの市民はこの国境警備隊の行いに対して自分たちをアメリカから締め出すのかと怒りをあらわにします。

そして当時のキーウェスト市長であるデニス・ウォードローがほら貝共和国の独立を宣言、「アメリカ海軍の軍服を着た男性の頭の上でキューバパンを折る」ことでアメリカに対して宣戦布告しました。

このユニークな反乱はわずか1分で終了し、デニス・ウォードロー市長は10億ドルの対外援助と戦争救済を求めました。

ほら貝共和国のユニークな反乱は好感を持って受け入れられ、国境警備隊は障壁を撤去し、その後もほら貝共和国は独自のパスポートを発行するなど、存在を受け入れられています。

 

ハット・リバー公国

引用元:https://tripnote.jp/

オーストラリア西部、西オーストラリア州の広大な小麦畑の中にハット・リバー公国というマイクロネーションがあります。

1969年10月、当時の西オーストラリア州政府が小麦の販売量を決める法案を作った際に、農場主であったレオナード・ジョージ・ケースリーが割り当てに不満をあらわにし、周辺の農場主と共に法案を撤回するよう州政府に求めました。

しかしこの請願は無視され、州政府は地方の農地を奪うことができる法案の制定を進めます。

そこでケースリーは「経済・土地が奪われる危機に瀕した際には分離独立することが出来る」という国際法の条文を根拠に、自身をハット・リバー公レオナード1世としてハット・リバー公国の建国を宣言しました。

オーストラリアはハット・リバー公国の独立を認めていませんが、西オーストラリア州政府は事実上の自治州としてハット・リバー公国の存在を認めています。

ハット・リバー公国は巨大な石像が出迎え、ハット・リバー公に入園料を支払うことで入国ができ、パスポートに入国スタンプを押してくれます。

ほかにもハット・リバードル紙幣を買ったり、ハット・リバーからエアメールを送ることも可能です。

 

コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国

引用元:https://woman.infoseek.co.jp/

LGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)といった性的なマイノリティの権利を保護する運動は世界中にありますが、それが高じて国家にまでなったのが、「コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国」です。

2004年、オーストラリアは同性同士の結婚を認めない方針を示しました。

これにオーストラリアのクイーンズランド州を拠点に活動するゲイの権利擁護団体が抗議のために、クイーンズランド州北東部のコーラル・シー諸島の無人島にゲイ・アンド・レズビアン王国を建国しました。

団体のメンバーは「ゲイフラワー号」と名付けられた船に乗り込んで航海に出、ケート島を拠点に定めます。

当時団体のリーダーだったデール・アンダーソンが「デール・アンダーソン1世」として即位しました。

国旗はLGBTの象徴であるレインボーの旗、国歌にはグロリア・ゲイナーの「アイアムホワットアムアイ」が採用されたほか、ゲイやレズビアンであれば市民権、永住権を獲得することができます。

2017年にオーストラリアが同性婚を合法化することでこの国は役割を終え、解散しています。

 

モロッシア共和国

引用元:http://japanese.china.org.cn/

モロッシア共和国は、アメリカ合衆国ネバダ州にあるミクロネーションです。

モロッシアという名前はスペイン語で「小さな岩山」を指す言葉で、モロッソス人という古代ギリシアの氏族とは関係ありません。

1977年にケビン・ボーとジェームズ・スピルマンが、ボー家の庭と裏庭に「グランド・ヴルドシュタイン共和国」を建国しています。

1999年にケビン・ボーがヴルドシュタイン共和国に代わって、モロッシア共和国を建国しました。

モロッシア共和国は、ボー家の庭とケビン・ボーが所有する土地で占められています。

ボー家の邸宅は「ハーモニー州」といわれ、モロッシア共和国の首都として定められています。

ペンシルベニア州の私有地は「保護領ニューアントリム」、2003年にはボーが北カリフォルニアに土地を買って「ファファラの植民地」として編入、その後南カリフォルニアに「デザート・ホームステッド州」を保有しますが、2005年に売却しています。

更にモロッシア共和国は金星の「ヴェスペリア」と言われる地域、メキシコ沖南東750㎞にある「ネプチューン・ディープ」と言われる海域の領有権も主張しています。

大統領のケビン・ボーは2000年に全世界のミクロ国家オリンピックを開催し、円盤投げで金メダルを獲得しました。

 

クリスチャニア

引用元:https://tripnote.jp/

1960年代後半、自然回帰や反体制をうたい、東洋思想や左翼的な思考にかぶれた「ヒッピー」と呼ばれる若者が一大ムーブメントを起こしました。

現代では退潮しましたが、LGBTやヴィーガンなどといった多様な価値観、生き方を肯定する運動の底流として息づいています。

そんなヒッピーたちの「最後の楽園」となったのが、デンマークの首都コペンハーゲン郊外の元軍用地にあるクリスチャニアというマイクロネーションです。

1971年、当時軍が去ってから監視がまばらとなり、不法侵入者が後を絶たなかったクリスチャニアにヤコブ・ルドヴィクセンというジャーナリストがクリスチャニアを建国します。

以後ヒッピーやアナキスト、不法居住者が大量に移住しました。

クリスチャニアの住人は、電気代や水道代などはデンマークに支払っているものの、デンマークの法律には一切従っていません。

代わりに独自の規則を制定し、殺人や窃盗、常習性の強い薬物などは禁止されましたが、コカインや大麻などは路上で公然と販売されています。

この通りは「Pusher Street(売人通り)」と言われており、中にはクリスチャニアの規則に従わない人が強い薬物を売っています。

現在、クリスチャニアは年間で50万人以上の人が訪れる、世界でも有数の観光地へ成長しました。

 

アラモアナ独立国

引用元:https://www.odt.co.nz/

ニュージーランドの南島の南東部に、アラモアナという小さな村があります。

人口はわずか260人ほどです。

アラモアナという名前の由来は、マオリ語で「海の道」という言葉で、広大な干潟や海岸が広がり、リゾート地として人気です。

1970年代後半、ニュージーランドの大手の建設会社であるフレッチャーチャレンジ、オーストラリアでアルミニウム製錬の大手であるCSRリミテッド、スイスのアルミニウム製錬企業であるアル・スイスが共同して、アラモアナにアルミニウムの製錬所を建設する計画を立てました。

この計画ではアラモアナ村と近隣のテンガル村が製錬施設の建設のために立ち退きを余儀なくされ、希少な野生動物が生息する地区を破壊するもので、当時の住民は反対を表明します。

そしてこの計画に対抗するために、1980年、近隣の住人はニュージーランドからの脱退を宣言し、国境線と大使館を設置しました。

アラモアナ独立国の誕生です。

住人は計画の撤回と自然保護キャンペーンを訴え、協賛する人に切手や市民証を発行しました。

この抵抗運動はおよそ10年続きます。

1981年には世界のアルミニウム市場の下落によって資金面の協力が困難になったアル・スイスがコンソーシアムから脱退、残った2社も計画を続けることができなくなり、計画は破綻しました。

こうしてアラモアナ独立国は平和裏にニュージーランドと再統合されました。

 

フランドレンシス大公国

引用元:http://www.westarctica.wiki/

フランドレンシス大公国は、南極大陸沿岸のサイプル島、チェリー島、メイハー島、プランケ島、カーニー島の5つの島の領有権を主張するマイクロネーションです。

2008年に建国されました。

南極大陸は1959年に制定された南極条約によって、一切の領有や軍事的な利用などが禁止されています。

しかしフランドレンシス大公国の建国者であるニールス・フェルメールは「フランドレンシス大公国は世界で唯一南極大陸に住民の定住を望まない国家であり、南極を領有したとしても南極条約を侵すものではない」という独自の解釈を展開しています。

フランドレンシス大公国は海面上昇などの環境問題への問題提起を行うために建国されたマイクロネーションですが、独自の国旗や国歌、政治体制などを整備しています。

特に政治体制はしっかりと整備されており、現在フランドレンシス大公国の国民を自称するおよそ400人ほどの市民はいくつもの政党に分かれ、年に1度選挙を行っています。

ほかにもフランドレンシス大公国はオランダ語を母国語とするマイクロネーションと共にコモンウェルスを組織しています。

 

ロマノフ帝国

引用元:https://www.bbc.com/

ロマノフ帝国(ロマノフ朝)といえば、現在のロシアの領土を決定し、17世紀に成立したロシア最後の帝国です。

しかしマイクロネーションとしてのロマノフ帝国は、この同名の帝国とはほとんど関係ありません。

ロシア国内での立憲君主制の成立を目指す泡沫政党であるロシア連邦君主主義党の党首であるアントン・バーコフが、2011年7月20日に建国を宣言しました。

バーコフは数百万ドルでクック諸島の岩礁を購入して領土としています。

2014年には自称ロマノフ朝の子孫であり、ドイツのライニンゲン公を名乗るカール・エミッヒをニコライ3世として推戴しました。

その後バーコフは領土を拡大するためにモンテネグロ、北マケドニア、アルバニア、ガンビア、アンティグア・バーブーダ、キリバスの首脳と会談しましたが、いずれも不首尾に終わっています。

特にガンビアとの会談においてバーコフはガンビア政府と友好関係を築いたと発表していますが、ガンビア政府はそれを否定しています。

また2017年、バーコフはガンビア近海のアトランティス島をブロックチェーン技術を活用した「スマートシティ」として開発する計画やICO(Initial Coin Offering, 仮想通貨を発行して投資家に売ることで資金を調達する方法)の予定を発表しました。

しかしガンビア政府は正式に認められた国家による申し出ではないとして、この計画を否定しています。

 

ローズ島共和国

引用元:https://alchetron.com/

ローズ島共和国はイタリア人のジョルジオ・ローザが1969年に建国したマイクロネーションです。

ジョルジオ・ローザはアドリア海の沖合に、石油採掘プラットフォームに似た人工島「ローズ島」を建設し、公海の自由な使用について定めたジュネーブ航海条約に基づいて独立を宣言しました。

島の名前はジョルジオ・ローザから取ったわけではなく、海上の花園となるよう花のバラから取っています。

公用語は国際補助語(共通の母語を持たない人同士で用いる言語)であるエスペラント語、人口はわずかひとりです。

ローザは自らを大統領とし、5人の大臣を任命しましたがローザ含めて閣僚は誰も島で暮らさず、代理人が生活していました。

ジョルジオ・ローザはローザ島共和国にカジノを建設する計画を立てましたが、イタリア政府はこれをカジノの収益を脱税するものとして警察と税務調査官を派遣し、ローズ島共和国の主権について裁判が行われます。

結果、ローズ島は公海の自由な運航を妨げるものとして取り壊し命令が下り、1969年にローズ島は爆破されました。

島の消滅後、ジョルジオ・ローザは亡命政府を樹立し、ローズ島共和国の切手を発行して発売しました。

 

ヌートピア

引用元:https://www.udiscovermusic.jp/

1973年4月1日、ジョン・レノンとオノ・ヨーコは、ヌートピアという国家の建設を宣言しました。

国旗は真っ白なハンカチ、国歌は1973年11月にジョン・レノンが発表したアルバム『マインド・ゲームス』中の楽曲「ヌートピア国際賛歌」です。

ヌートピアは国土を持たず、国土を持たない故に国境を持たない、あらゆるところにあり、どこにもない国家です。

音楽と言ってもヌートピア国際賛歌はわずか6秒間の無音状態です。

ジョン・レノンはこの6秒の間にどういう形であれヌートピアの国民になることを表明すれば、誰もがヌートピアの国民になれるとしています。

更にすべての国民はヌートピアの大使としての権限を持つとされ、ジョン・レノンの自宅には「ヌートピア大使館」と書かれた額が飾られました。

宣言当初、ヌートピアはエイプリルフールのジョークとして受け入れられましたが、当時ジョン・レノンがアメリカの永住権を巡って争っていたこと、加えてジョン・レノンが「ヌートピアは『イマジン』の理念に基づいている」と発言していることから、本格的な仮想国家と考えられるようになっています。

 

地球的世界平和の国(GCWP)

引用元:http://www.worldpeacesolutions.net/

地球的世界平和の国(Global Country of World Peace, GCWP)は、超越瞑想(Transcendental Meditation, TM)の考えを普及・啓蒙し、世界平和を実現するための非営利組織です。

本部はアメリカのアイオワ州のマハリシ・ヴェーディック・シティに置かれ、アメリカ、オランダ、アイルランドに教育センターを設置しています。

超越瞑想とはインド人のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによって広められた、ヒンドゥー教をベースとしたマントラ瞑想法です。

具体的な瞑想法や能力開発などに加えて、様々な教えなども存在し、社会学的な運動や宗教の一部として捉えられることもあります。

ビートルズやジョン・レノンの息子ショーン・レノン、映画監督のデヴィッド・リンチやクリント・イーストウッドなどが超越瞑想を実践しているほか、アメリカや南アメリカの学校や企業、刑務所などでも取り入れられています。

日本でも京セラがメンタルヘルスの一環として超越瞑想を実践しました。

超越瞑想の信奉者は超越瞑想が世界に広まることで平和社会、地上の楽園が実現すると考えており、地球的世界平和の国も同様のイデオロギーを有しています。

現状、どちらかといえば地球的世界平和の国は国家ではなく非営利団体の域を出ません。

しかし地球的世界平和の国は「ラーム」と言われる独自の通貨を発行しているほか、国家主権を有するためにアフリカやアジア、ラテンアメリカの国々と交渉しています。

国土としてはスリナムの田園地帯やアメリカ合衆国の海外自治領である北マリアナ諸島のロタ島を利用できないか交渉したことがありますが、いずれも不調に終わりました。

 

宇宙空間の国

引用元:https://nationofcelestialspace.com/

宇宙空間の国は、文字通り地球以外の宇宙空間全域の領有を主張するマイクロネーションです。

建国したのはアメリカ合衆国イリノイ州に住むジェームス・トーマス・マンガンという男性です。

マンガンは1948年にこの国家の構想を思いつき、自らを「創設者および第一代表」としました。

ただ単に思いついただけでなく、イリノイ州クック郡で正式に国家の設立に関して捺印証書登録を済ませています。

建国当初、メンバーはわずか19人でしたが、建国10年でその数は19000人ほどに膨れ上がっています。

マンガンは世界各国の外務省に建国を通達しただけでなく、1949年に当時の国際連合やアメリカ、ソビエト連邦に対して大気圏における核実験の禁止を通告したうえ、ソ連が宇宙進出を果たすと、「宇宙空間の国への無断侵入をした」という抗議文まで送りました。

これらの行為は当然黙殺されましたが、行為自体はメディアに大きく取り上げられ、1958年には国旗が国際連合の本部ビルに掲揚されています。

マンガンの死後、宇宙空間の国は実質的に解散され、現在ではマンガンが作った硬貨などしか残されていません。

 

新邪馬台国

引用元:https://zatsugaku-company.com/

世界には様々なマイクロネーションがありますが、中には先に紹介したヘイ・オン・ワイ王国のような、地域振興、観光を目的として設立されたものも多くあります。

日本でも「ミニ独立国」といって、観光を目的に多くの自称独立国が作られています。

代表的なものとしては岩手県上閉伊郡にある「吉里吉里国」、JAXAの研究施設が置かれた自治体によって構成される「銀河連邦」などです。

2017年には、ミニ独立国を題材にした「サクラクエスト」というアニメも放送されています。

さてこのミニ独立国のはしりとなったのが、1977年、大分県宇佐市に建国された「新邪馬台国」です。

邪馬台国はその位置を巡って近畿説、九州説など多くの学説が存在する、日本史におけるミステリーのひとつとなっています。

そこで大分県宇佐市はこの状態を逆手に取り、「もし邪馬台国が宇佐市にあったら」という仮定のもと、まちづくりのために新邪馬台国を建国しました。

建国式典では初代卑弥呼のほか首相や各大臣、国旗に国歌、更には「豊国」という元号まで発表されました。

新邪馬台国の施設には商工省や中央銀行、食糧庁倉庫なる表札がかけられたほか、地元のラジオ局からは「国営放送」まで流れています。

1980年代後半には大規模な運動は終息し、時折イベントとして表れるに留まるようになりましたが、現在でも年に1度、「卑弥呼コンテスト」を開催しています。

この宇佐市のパロディ精神あふれる試みはミニ独立国のモデルケースとして、今も多くの地方自治体によって模倣されています。

 

まとめ

今回は世界の変な国、ユニークな国を紹介しました。

現在、国家は「国民・領土・主権」の3つの要件を満たしていなければ成立しないものとされています。

この観点から言えば、今回紹介したものはいずれもそもそも国家ではない、単なるお遊びとなってしまいます。

確かに、そう考えればそれまでの話です。

しかし今回紹介した国はいずれものっぴきならない事情、崇高な理念、実験的な思想、社会的なユーモア、あるいは他人から見れば馬鹿馬鹿しく思えるものの、当事者からすれば極めて真剣な事情のいずれかを有しています。

すべての国が何千年にもわたる歴史や、戦争や侵略、王朝などの歴史を有しているわけではありません。

ただ国というものの始まりを考えれば、必要に応じて組織され、ときにそれが消滅し、残ったものが連綿と受け継がれていったものであることは間違いないでしょう。

そう考えれば、今回紹介したものも国家そのものではないにせよ、間違いなくかつて存在した「国家のはじまり」であるということは言えるのではないでしょうか。

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