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【闇サイト】ダークウェブで起こった事件6選

googleのアルゴリズムも及ばないと言われる、ネットの深層領域・ダークウェブ。

YouTubeなどでも『ダークウェブで購入したミステリーボックスを開けてみた』系の動画が何本も投稿されていますが、箱から出てくるものの中には犯罪臭のするものや通常では決して手に入らないようなものは見当たらず、実のところダークウェブはそんなに危険なものではないのでは?と感じている人も多いのではないでしょうか。

確かに存在が取り沙汰された初期の頃に囁かれていたダークウェブにまつわる都市伝説の中には、突拍子もないものも多くありました。

しかしネットの深層を舞台にした事件は複数件世界で起きており、日本が関わっているものもあるのです。ダークウェブで実際に起きた事件を6選紹介していきます。

 

闇のAmazon「シルクロード」

ダークウェブで発生して事件の中で、最も大きかったものが「闇のAmazon」「ドラッグのe-bay」とも呼ばれたシルクロードの摘発です。


引用元:https://www.elazigsonhaber.com/

シルクロードがダークウェブ上に姿を見せたのは2011年1月と言われてており、運営者はドレッド・パイレート・ロバートと名乗る人物でした。

シルクロードでは他者を傷つける犯罪にまつわるもの以外であれば何でも販売可能とされ、コカインやLDS、マジックマッシュルーム、アンフェタミンと言った各種ドラッグから、発売禁止となった書籍、盗品の疑いのある宝石や美術品などまで多種多様なものが売り買いされており、年間の売り上げは1億ドルを超えていたと言われています。

2012年には一時的に銃火器や爆発物などがシルクロード上で販売されましたが、これらのものは姉妹サイトの「ジ・アーモリー」で販売されるようになり、このサイトが閉鎖された後はシルクロードで取り扱われることはありませんでした。

違法薬物を売買するサイトは1990年代から存在していたのですが、シルクロード以前の取引では取引は個人のメールで行われていたため個人情報を開示する必要があったうえ、国際送金やPaypalで決済を行っていたことから詐欺も横行。違法薬物を購入しようとしてお金を騙し取られたことから被害者は警察にも相談できず、泣き寝入りするパターンが多かったのです。

引用元:https://www.thenational.scot/

しかし、シルクロードは売買の間に第3者が介入することで取引の公平性を保ち、そして支払いもビットコインを使うことで買い手の匿名性を保ち、身の安全を担保された状態でドラッグが入手できるという画期的なサービスを打ち出しました。

それに加えて、買い手が売り手を5つ星で評価できるというまるでAmazonのようなシステムも追加するという闇サイトとは思えないサービスを展開したことで、安心して気軽にシルクロードを使用する人が増えていったのです。

シルクロード運営者のドレッド・パイレート・ロバートによると、そもそも重度のジャンキーは注文してから手元に届くまでにタイムラグが発生するためにネットでドラッグを購入することはなく、シルクロードのユーザーのほとんどが興味本位で薬物に手を出してみようと思った、ごく普通の人であったそうです。

そのため使い慣れたAmazonのようなサイトにすることで、罪悪感や抵抗感がなく買い物ができるシルクロードに人が集まったと考えられています。

 

ドレッド・パイレート・ロバートの逮捕とシルクロードの終焉

2013年10月1日、シルクロードの運営者であったドレッド・パイレート・ロバートが逮捕され、翌日にはサイトも閉鎖されました。

上の青年がドレッド・パイレート・ロバートことロス・ウルブリヒト(逮捕当時29歳)です。とても闇サイトの運営に関わっているとは思えない清潔感のある青年に見えますが、実際に彼は相当な読者家で勤勉な性格だったそうで、逮捕された時もサンフランシスコの図書館にいたと言います。

ドレッド・パイレート・ロバートという偽名もウィリアム・ゴールドマンの小説『プリンセス・ブライド』の登場人物からとっており、シルクロード内には自身が運営する読書フォーラムまで持っていました。

ロス・ウルブリヒトが逮捕されたのは彼のセキュリティ意識の低さが原因であったと考えられています。過去にロス・ウルブリヒトは本名で表層ウェブのフォーラムで秘匿サイトのプログラミングについて質問をしていた形跡があり、しかもこの時に教えてもらったプログラミングが実際にシルクロードで使われていたそうです。

他にもシルクロード開設当時にビットコインの関連フォーラムにシルクロードの宣伝を書き込んだ際、宣伝用アカウントに紐づけられていたのがロス・ウルブリヒト本人名義のG-mailであったりと初歩的なケアレスミスが多く見られました。

ダークウェブの秘匿性は確かなものなのですが、このように利用する人間のミスから尻尾を出してしまうことも多く、シルクロードもヒューマンエラーで閉鎖に追い込まれてしまったのです。

 

シルクロード閉鎖の陰にあった映画のような事件


引用元:https://www.varchev.com/

裁判時にロス・ウルブリヒトにかけられた容疑は麻薬販売の共謀、ハッキング、マネーロンダリング共謀など7件。そして逮捕当初はここに殺人容疑も加わっていたのです。

「他者を傷つけるものを販売しない」クリーンなブラックマーケットを謳っていたシルクロードの運営者は、合計6人もの人間を殺していたというニュースが流れ、ドレッド・パイレート・ロバートを革命児扱いしていた一部のネットユーザーに衝撃を与えました。

この殺人容疑の発端となったのが、2013年1月にシルクロードの管理権限を持っていた人物の1人がコカインの大量所持で逮捕されたことでした。

身内から逮捕者が出たことでシルクロードにも捜査の手が伸びると考えたウルブリヒトは、取引のあるNobと名乗る密輸業者と共謀して彼の殺害を企てたのです。

常日頃から殺し屋とも付き合いがあると豪語していたNobはあっさりと暗殺を遂行、後日ウルブリヒトのPCには男の死体の写真が送られてきたと言います。

これで事態が収束したかと思いきや、この殺人の半月後からウルブリヒトは「シルクロードをハッキングした。顧客情報をばら撒かれたくなければ50万ドル支払え」という脅迫を受けることとなります。すると今度は他の取引相手がウルブリヒトにコンタクトを取ってきて「お前を脅している奴を始末してやろうか」と持ち掛けてきたのです。

この時点では脅迫については誰にも話していなかったのですが、半ばノイローゼ状態にあったウルブリヒトはこの話に飛びつき、また殺人を犯しました。

さらに脅迫者を殺害する前に拷問を加えたところ、このハッキングには共犯者がいることが判明したと言われ、ロス・ウルブリヒトは共犯者とされる詐欺師と彼と同居していた3人の麻薬ディーラーを殺害を依頼。これで合計6人を殺めたことになります。

しかし2015年3月、通信詐欺、国有財産の窃盗、マネーロンダリング、利益相反行為などの容疑で、元麻薬取締局のカール・フォースと元米国シークレットサービスのショーン・ブリッジの2人が逮捕されると、事件は思いがけない方向に動き出します。

実はウルブリヒトが最初の殺人を依頼したNobという人物は、おとり捜査でシルクロードに潜入していたカール・フォースの偽名だったのです。

しかもウルブリヒトが殺そうとした管理者の男を逮捕したのもカール・フォースであり、彼はもともとウルブリヒトから殺人の報酬を騙し取る目的でコンタクトを取ってきたことが判明。送られてきた遺体の写真も偽物で、ウルブリヒトはカール・フォースに1から10まで騙されていたことが明らかになったのです。

さらには他の5名についてもに殺人が行われておらず、これらにカール・フォースやショーン・ブリッジが関わった形跡はないものの、同じようにシルクロードに関連する人物に騙されていた可能性が高いと考えられています。

シルクロード閉鎖の理由も殺人の容疑がかけられた理由もお粗末なものであったため、ドレッド・パイレート・ロバートの正体はウルブリヒトではなく、彼は単なる囮だと主張するネットユーザーの声もあがっています。

しかし連邦地方裁判所はウルブリヒトをシルクロードの運営者と断定、最も重い仮釈放なしの終身刑を言い渡しました。これに対して厳しすぎるとして署名活動も行われましたが、2019年現在、刑の減軽はされていません。

ちなみにウルブリヒトとシルクロードの顛末については、公開時期は明らかにされていませんが『ファーゴ』『ノーカントリー』で知られる、コーエン兄弟の脚本で映画化が予定されています。

 

吐き気を催すペドフィリア「ピーター・スカリー」


引用元:https://www.varchev.com/

2010年に入り、ネット上での児童ポルノ問題が取り沙汰される地域として浮上したのがフィリピンでした。国際人権団体である「Ther des hommes」の調査によれば、ライブストリーミングサービスを利用したフィリピンの児童によるポルノビジネスは爆発的に成長しており、生活のために自らポルノの世界に足を踏み入れる子供も多いのだと言います。

このような子供を食いものにした最悪の犯罪者の1人が、オーストラリア人のピーター・スカリーです。スカリーは本国での詐欺容疑を逃れるために2011年にフィリピンへ入国。

東南アジアの児童の値段は安く、食料と交換でも手に入るのを良いことに、フィリピンを拠点に児童ポルノサービスを開始したのです。

スカリーは集めた児童を自宅に監禁し、性的虐待を加えている様子を撮影。ダークウェブ上に開設したサイト兼プロダクションである「ノー・リミッツ・ファン」を通して世界中の小児性愛者に売りさばいて行ったのです。

スカリーが販売したポルノビデオの中には、最高で1万ドルもの価格がついたものまであったと言います。そうして荒稼ぎをしていくうちに誕生したのが、スカリーが販売した作品の中でも最低最悪と称される『デイジーズ・ディストラクション』というポルノでした。

『デイジーズ・ディストラクション』は仮面を被った女性が、天井から逆さ吊りにされた1~2歳の幼女を鞭で叩いたり、蝋燭の火であぶったりと虐待をするシーンが延々と収められたもので、この動画を繋ぎ合わせてつくったMADまで出回るようになり、関係のないフォーラムで誤って見てしまう人まで続出したと言います。

しかし『デイジーズ・ディストラクション』がダークウェブ上で有名になると捜査の手もスカリーに伸びるようになり、出演していた女性の言葉の訛りから、スカリーが捜査線上に浮上したのです。

逃亡の末2015年2月にスカリーは逮捕されたのですが、潜伏先の住居の床下から11歳の少女の遺体が発見され、この少女もスカリーが虐待の末に殺害したことが明らかになりました。

しかも、後の捜査でシンディという名のこの少女が、自分の遺体を埋めるための穴まで掘らされていたことが発覚。スカリーは彼女を殺すところまでビデオに収めていたと言いますが、ダークウェブ上では存在が確認されていません。

なおスカリーはフィリピン国内の刑務所に収容されていますが、フィリピンでは2004年に死刑が廃止されているため(2017年に復活したものの、対象は薬物関連の一部の容疑に限る)、彼に極刑が下されることはありませんでした。

 

人身売買オークション「ブラック・デス」


引用元:https://www.newsweekjapan.jp/

2017年7月、イギリス人モデルのクロエ・アイリーンが自分はイタリアで2人組の男に誘拐されて、ブラック・デスというダークウェブ上に存在する人身売買サイトでオークションにかけられるところであったということを告白。イギリス中のタブロイド紙の紙面を飾りました。

モデルと言っても彼女はインスタグラムなどのSNSが主な活動場所であったため、これだけ聞くと売名のためのでっちあげに感じられますが、この事件では犯人の男も逮捕されています。

事件が発生する2年前からブラック・デスというサイトの存在は取り沙汰されており、『マザーボード』という雑誌に、ブラック・デスの紹介記事が取り上げられたことがきっかけでした。

とは言っても、この時の紙面ではブラック・デスの概要が紹介されているだけで実在しているかどうかは不明とされ、記事の内容としては実在しない可能性が高いと言う見解を示したものでした。

しかもその後に記事を見た読者から、ブラック・デスが広告に使っている画像はカナダのポルノ動画サイト・ポルノハブにアップされているサンプル動画を抜粋したものとの情報提供があり、ブラック・デスは存在しないものとして一笑に付されたのです。

しかし、冒頭に紹介したアイリーン誘拐事件で逮捕されたルーカス・パウエル・ヘルパという30歳のカナダ人男性が、自分はブラック・デスのメンバーだと証言したことから事態は一転。ネット上の都市伝説の1つと思われた人身売買組織が実在したと大騒ぎになったのです。

 

アイリーン誘拐事件のあらまし

引用元:http://securityaffairs.co/

2017年7月11日、アイリーンは撮影のためにイタリアのミラノを訪れていました。しかしその仕事の依頼はフェイクで、彼女はカメラマンを騙った2人組の男性に襲われて誘拐されてしまいます。

アイリーンを襲う際にはケタミンの入った注射を使用しており、彼女を眠らせた後で両手首と足首を縛って口をテープで塞ぎ、ダッフルバッグに入れた後に車のトランクに押し込んで、ミラノから120マイル離れた農村に連れ去ったことが判明しています。

誘拐犯は全部で5人おり、犯人グループはアイリーンのエージェントに対して身代金として30万ドルを要求。もし取引に応じない場合は、彼女をダークウェブ上の人身売買オークションで売り飛ばすと脅迫したのです。

しかし監禁から数日が経った7月17日、アイリーンを伴ったヘルパがイタリア領事館を訪れて彼女は解放されます。そしてヘルパも領事館の前で現行犯逮捕をされたのですが、解放された理由は彼女に子供がいることだったのです。

ヘルパによるとブラック・デスは子供のいる女性には手を出さないと言うことを信条にしており、インスタグラムに妊娠中のアイリーンの姿があったために、彼女の開放を決めたのだと言います。

 

ブラック・デスの目的とは?

引用元:https://www.cnn.co.jp/

この事件が公表されると、それまでほぼ無名に等しかったアイリーンの写真が『デイリーメール』や『ミラー』など複数の雑誌の表紙を飾り、彼女は誘拐前に所属していた事務所よりも大きなモデル事務所に移籍しています。

さらに監禁されていたとの証言をしているにも関わらず、解放される前からヘルパとアイリーンが仲良く買い物をする姿が目撃されており、この事件自体が売名のための共謀だったのではないかとも疑われました。

しかしヘルパの所持品からは「連絡はダークウェブ経由で」のメッセージとTorアドレスの印刷された名刺が出てきており、ヘルパ自身が2016年頃からダークウェブで仕事探しをしていたことが判明しており、誘拐事件とダークウェブが関係していることは確かだと目されています。

ヘルパはダークウェブ上のフォーラムに、自分には6年間の軍隊経験と特殊任務部隊経験と5年間に渡り民間軍事会社で傭兵として勤務していた経歴があり、ヒットマンとして雇ってくれる人物を探していると書き込んでいたと言います。

さらにヘルパはダークウェブで一番大きな殺人請負マーケットを知りたがっており、このような書き込みに添えられていたのが、上述の名刺に記載されていたメールアドレスでした。

この書き込みを見たブラック・デスの関係者がヘルパにコンタクトを取ったことが予想され、さらにアイリーンが解放される前に『デイリーメール』に「ロシアンマフィアがイギリス人モデルを誘拐した」という不可解なタレコミがあったことが分かっています。

これらのことから、アイリーンの誘拐事件はブラック・デスが組織の名前を大々的に知らせるための広告活動だったと考えられており、ヘルパは単なる捨て駒に過ぎなかったと考えられています。

ヘルパ自身も自分はブラック・デスの運営者を名乗るルーマニア人に雇われており、50万ドルの報酬で今回の誘拐に参加したことを明かしているそうです。

なおブラック・デスが運営していたと思われる人身売買オークションサイトには、複数の女性の写真と落札開始価格が記載されていたと報道されましたが、実際にこの女性達が誘拐されていたのか、そもそも実在するのかも不明だとも報じられています。

 

殺人請負サイト「ベサ・マフィア」


引用元:https://news.softpedia.com/

ベサ・マフィアはアルバニア系のギャング集団が運営しているという殺人請負サイトです。ダークウェブでは一定の評価を得ているようで、大勢の顧客を獲得していました。

しかし2016年にベサ・マフィアのサイトが何者かによってハッキングを受け、大量の機密データが流出。顧客の個人情報からヒットマンのリスト、顧客が指定したターゲットの顔写真、そして運営者と顧客との間でなされたやり取りに至るまでありとあらゆる情報が出回ってしまいました。

ところが事態はこれだけでは済まず、ベサ・マフィアの殺人請負が虚偽であったこと、さらに依頼してきた顧客の情報を法執行機関に引き渡していたことが明かされたのです。

ベサ・マフィアの運営者は、このサイトにはヒットマンは1人もおらず、自分達の真の狙いは一種のおとり捜査であり、犯罪者の撲滅を目的としたヨーロッパのプログラマー集団だと法執行機関宛てにメールを送っていたことも明らかになっています。

ここまでならまだ理解できる話ですが、不可解なことにベサ・マフィアの運営者は同じ法執行機関に「殺人請負がフェイクであるとい運営者の発言自体が嘘で、暗殺は行われている」という旨のメールが送っていたことも後に判明し、何故相反する内容のメールが送信されていたのかは分かっていません。

実際にベサ・マフィアに関する話題は表層ウェブにもあがってきており、個人ブログにまでベサ・マフィアを使用して復讐を果たしたというレビュー(!)が掲載されていました。

その一方で、ベサ・マフィアなどは存在しない、インチキ集団だと言ったネガティブ書き込みはネットから削除されていく傾向にあり、ベサ・マフィアがビットコインで批判的な記事をもみ消しているとの噂が流れました。

そのような中、あるダークウェブのリサーチャーが、パイレート・ロンドンという名称のブログ上でベサ・マフィアは詐欺サイトであると告発していました。すると2016年4月10日、彼の元に1つの動画URLが送られてきたのです。

そのリンク先にはフードを被った数人の男が車に放火している様子が収められており、燃える車を背景に1人の男が「ベサ・マフィアからの刺客  パイレート・ロンドン様へ」と書かれた紙を広げて見せてくると言う脅迫じみた内容の動画がありました。

この放火事件については、後の捜査でベサ・マフィアにヒットマン志望として応募してきた若者によるものだということが判明しており、運営者からの細かい指導に従って放火と脅迫を行ったことが明らかになりました。

現在、ベサ・マフィアのサイトは閉鎖されており、アクセスすると「ベサ・マフィアは犯罪者たちから総額6万5千ドル分のビットコインを騙し取った後、閉鎖しました。誰も痛めつけられておらず、また殺された人物もいません。」というメッセージが残されたサイトの跡地に飛ばされるとのことです。

 

日本でのダークウェブ摘発事件①


引用元:https://ascii.jp/

2016年3月3日、愛知県警のサイバー犯罪対策課によって21歳の派遣社員の男性が逮捕されました。逮捕容疑は犯罪収益移転防止法違反。容疑者は2015年10月8日から、11月26日にかけてインターネットの掲示板に銀行口座を売る旨の広告を掲載。実際に約30件分の口座を売り、およそ110万円の収益を得ていたと言います。

この事件で注目されたのは、男性が口座を売りに出していた掲示板というのがダークウェブ上にあったこと、そして秘匿性の高いはずのダークウェブでの犯罪があっという間に明るみに出て、男性が逮捕されたことの2点です。

愛知県警によると男性が逮捕された原因は、Onionちゃんねるという掲示板に記載されたメールアドレスが本人名義で契約しているスマホのものであったため、そこから簡単に足跡が辿れたという粗末なものでしたが、日本の21歳の若者がダークウェブで犯罪を犯したという事件は衝撃を与えました。

男性が書き込みを行っていたOnionちゃんねるはダークウェブ上に存在する数少ない日本語のフォーラムの1つであり、不正入手したSIMカードやクレジットカード情報などが売買しているケースが見られるため、現在では警視庁のサイバー犯罪対策課が監視を行っているとされます。

 

日本でのダークウェブ摘発事件②

ダークウェブに存在する日本のポルノサイトとして有名なものが、2013年頃に解説したと言われる、まじかる☆おにおんというもので、ここに投稿された動画や画像についてOnionちゃんねるで意見交換がされていました。

2014年にはまじかる☆Onionは有料サイトに移行し、コンテンツの視聴にはビットコインか他のコンテンツの提供が求められるようになりました。これにより悪質なフリーライダーを排除し、サイトの安全性を保てると思われたものの、2015年9月にはまじかる☆Onionのユーザー5人が相次いで逮捕。

この5人がそれぞれどのような経緯で逮捕をされたのかは明かされていませんが、ビットコインの取引履歴、あるいはTorを介さずにコンテンツのアップロードやダウンロードを行ったことで身元が判明したのではないかと予想されています。

また、2018年にはダークウェブにLolitterという児童ポルノサイトを開設、運営していた京都府で無職の当時59歳の男性が逮捕されており、容疑者の男性は「児童ポルノ界で人気者になりたかった」などと犯行の動機を語っていました。

このサイト自体は2017年に開設されたもので登録人数は53人、アップされていた画像も103枚と閑散とした状態で、登録者がOnionちゃんねるで書き込んでいた内容によると、Lolitter画像をアップしていたのは管理人の他に2~3人程度と人気者とは程遠い状態であったそうです。

 

まとめ

ダークウェブと聞くと、2007年に日本で起きた闇サイト殺人事件で使われたようなアウトローなサイトが乱立し、殺人依頼や人を殺す様子を撮影した本物のスナッフムービーがそこら中に転がっているというイメージがありますが、実際のところ本物の殺人請負サイトもヒットマンもダークウェブには存在しないのではないかと考えられています。

一方で、見せしめの意味も込めてロス・ウルブリヒトには厳罰が下されたと見られているものの、これによる闇市場を抑制する効果はほぼなかったと見られており、違法な商品の売買、特に不正入手した個人の医療データがダークウェブ上で高額取引がされていると言われているのです。

ダークウェブに関わるつもりがなくとも、いつの間にか自分や家族の知られたくない情報を盗まれてダークウェブ上で売られてしまう。現在は一般のネットユーザーでも思いがけない形で、ダークウェブで起きた犯罪の被害者になる可能性があるという警鐘が鳴らされています。

 



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