地球上には様々な生物が生息していますが、その中でいちばん大きな生物は?と聞かれると、たいていはクジラやゾウを思い浮かべますよね。
でもその他にも、世界でいちばん大きいとされている意外な生物がたくさんいます。
今回は、定番の生物に加え、様々な種類の世界最大の生物を色々とご紹介していきたいと思います。
アフリカゾウ
現存する最大の陸棲生物と言えば、みなさんご存知のゾウですね。
その中でも最大なのはアフリカ大陸に生息するアフリカゾウで、体長はおよそ6~7.5メートル、体重は約6トン~8トンで、大きなオスになると10トンに達する個体もいるそうです。
耳も非常に大きく、主に体温調節に役立っていると言われています。
他にも、横に大きく広げることによって体を大きく見せ、敵などを威嚇するときに使用します。
生息地は、サバンナや森林で数頭から10頭ほどの群れで生活しており、その巨体の為、肉食動物に狙われることはほとんどありませんが、子供のゾウや年老いたゾウ、仲間からはぐれてしまったゾウは、まれにライオンやハイエナの群れなどに襲われ、命を落とすこともあるそうです。
ゾウは仲間意識がとても強く、特にアフリカゾウは、人に懐きやすいアジアゾウと違って気性も荒いので、怒らせると人間の乗る車などにも突進してきます。
繁殖期にはメスをめぐってオス同士が争うこともあるとか。
アフリカに旅行して運良く出会えたとしても、大人しそうだからとむやみに近づかないほうが良いみたいですね。
キリン
ゾウと並んで、大きい動物として有名なのがキリンです。
背の高さは世界最大で、4メートルから5.5メートルあるとされています。
好奇心は旺盛ですが、臆病で神経質なため、動物園にいるキリンでも飼育員さんにさえなかなか懐かないそうです。
野生のキリンは基本的に10頭から20頭の群れで生活していますが、家族や兄弟などのつながりが強いわけではなく、群れごとの構成や個体数はとても頻繁に変わります。
ゾウと同様に、大人が肉食動物に狙われることはほとんどありませんが、生まれて数ヶ月の子供は襲われやすいため、母親が常に寄り添っています。
狙われた時には母親が長い脚で肉食動物を蹴り上げて追い払い、時には死亡させることもあるそうです。
大人しいイメージのキリンですが、意外と激しい一面もあるのですね。
大人しいと言えば、キリンは滅多に鳴くことがありません。
野生で出会うキリンはもちろん、動物園でキリンのお世話をしている飼育員さんでさえ、鳴き声を聞くのはごくまれのようです。
そんなキリンの鳴き声、実は「モー」という牛に似た鳴き声だということをご存知でしょうか。
見た目はまるで違いますが、同じ偶蹄目(ウシ目)の仲間なので、共通点があるのかも知れませんね。
ダチョウ
世界最大の鳥と言えば、みなさんご存知のダチョウです。
体高は成鳥のオスで約2.5メートル。
アフリカの乾燥地帯に群れを作って生息しています。
飛ぶことが出来ない代わりに足が頑丈に発達しており、走る速度も時速50キロ、中には70キロの速さで走るダチョウもいるそうです。
持久力もあり、1時間以上走り続けることが可能という説もあります。
更にはキック力も強力で、ハイエナなどを蹴り殺すこともあるらしいので、蹴られたら大怪我は免れないですね。
動物園などでもあまり近づきすぎないほうが良いかも知れません。
ダチョウは体の大きさだけでなく、目の大きさも陸上生物の中では最大と言われています。
そのためか、もともと視力が優れている鳥類の中でもダチョウはいちばん目が良いと言われており、3キロメートル以上離れたものを認識出来るという説もあります。
基本的には草や花、種子を食べる草食性ですが、動物園などではドッグフードも食べるそうです。
コンドル
飛べない鳥の世界一がダチョウなら、、飛ぶ鳥の中で最大の大きさを誇るのが、南アメリカのアンデス山脈に生息しているコンドルです。
体長は約1.2メートル。
翼を広げるとその長さは3メートルにもなる、大型猛禽類の仲間です。
狩りをするよりも、動物の死体の肉を食料とすることが多いとされています。
そのため他の猛禽類に比べて狩りをすることは稀なので、爪はあまり鋭くなく、歩くことに適した形状をしています。
頭に毛が生えていないのも、死体に頭を突っ込んで肉を食べる際に、汚れて不衛生になることを避けるためだと言われています。
コンドルは南米の様々な国で国鳥に指定され、国章に用いられていたり、神話や伝説にも登場する神聖な動物と捉えられていますが、環境汚染や生息域の破壊などが原因で急速に数が減り、現在では絶滅が危惧される動物のひとつとなっています。
オオカミ
私たちに身近な動物と言えばイヌですが、そのイヌ科の中でも最大の動物となるのがオオカミです。
イヌよりも体つきががっしりとして大きく、目や顔つきは鋭くなっています。
平均寿命は10年ほどで、ひとつのペアを頂点とした10頭ほどの群れを成して生活しています。
社会性があり、仲間との絆も強く、リーダーとなる1匹を筆頭に、秩序を持って行動しているとされています。
肉食性のため狩りを行うことで食料を得ていますが、その際もリーダーが中心となり、それぞれの役割分担を決めて、効率的に獲物を仕留めます。
北半球の様々な場所に分布しているオオカミですが、中には生息域が狭くなった結果、家畜を襲って獲物としていたことをきっかけに害獣として駆除され、絶滅してしまった地域もありました。
しかし、その後オオカミが主食としていた大型の草食動物が天敵を失ったことによりどんどん増加していき、ついにはその一帯の草を食べつくし、森が消滅して草食動物までも絶滅しそうになったといいます。
そのため生態系を維持するために、オオカミを再びその地域に放って、バランスを保ったという事例も報告されています。
トラ
イヌと並んで身近な動物であるネコ。
そのネコ科の中で最大なのは、最強の肉食動物としても知られているトラです。
体長は2メートルから3メートルで、北の地域に生息している種類のトラほど大型の傾向があると言われています。
アジアを中心に広範囲で生息していましたが、環境破壊による森の減少などで数が激減して、今では絶滅危惧種になっており、特に最も大きいとされるアムールトラは、個体数が550頭ほどにまで減っていると言われています。
同じ肉食動物でも、チームワークを武器に狩りをするオオカミやライオンなどとは違って、トラは繁殖期以外は単体で行動するため、狩りも1匹で行います。
林や森の中などで生活し、獲物を見つけると茂みなどを利用してギリギリの距離に近付くまで身をひそめ、飛びかかって鋭い爪と牙を使って仕留めます。
ただ成功率は極めて低いため、大型の獲物を仕留めた時には木の上や茂みの中に隠しておき、数日に分けて食べると言われています。
カピバラ
ネズミの仲間・げっ歯類の中で最大と言われているのが、カピバラです。
癒し系で日本でも最近人気のカピバラですが、体長は約100cm~130cmくらいで、体重は約35kg~65kg。
オスに比べて、メスのほうがやや大きくなります。
ちなみにカピバラのことを漢字では「水豚」と書きますが、これはもともと中国語でその理由は、水の中にいるカピバラがブタに見えたからという説があります。
和名では「鬼天竺鼠(オニテンジクネズミ)」。
中国語の漢字とは真逆で、なんだか強そうなイメージの名前ですが、この和名はあまり浸透しておらず、日本では英名の「カピバラ」で呼ぶことが多いですね。
カピバラとは、もともとは原住民の言葉で「草原を支配する者」という意味があるそうです。
支配者という名を持っていますが、カピバラ自体の性質は大変温厚で人懐こい動物です。
南アメリカの川や沼、湖などの水辺を中心に10頭ほどの群れで生活しています。
ぼ~っと立ち尽くしていたり、水にのんびりと浸かっていたりする姿を見ていると、動きもゆっくりで鈍い印象を受けますが、危機が迫って走り出すと時速50キロメートルという俊足を発揮します。
また泳ぎも得意で、ジャガーなどの天敵から逃げる時には、川に飛び込み、泳いで逃げることもあるそうです。
潜水時には最長5分ほど潜っていることが可能と言われています。
ジンベエザメ
魚類の中で最大の大きさを誇るのがジンベエザメです。
全長は10メートルを超える巨体ですが、プランクトンや小魚などを主な食料としています。
サメの仲間と言えば獰猛なイメージがありますが、性格は臆病で穏やかなため、動きもゆったりとしており、人への危険性は少ないと考えられています。
普段は群れを作ることなく、温帯から熱帯にかけて世界中の海を単独で数千キロにわたって回遊しています。
しかし、夏になると200匹以上のジンベエザメが、カリブ海に集まることが、近年確認されています。
目的は、この海に産卵に訪れるカツオの近縁種である「タイセイヨウヤイト」の卵を捕食するためだと言われています。
海面が黄色く染まるほどの膨大な量の卵を、大口を開けて飲み込む200匹以上のジンベエザメの姿は、想像するだけでも迫力がありますよね。
ジンベエザメ以外にも世界最大のエイ・マンタや大型の魚なども、同じ卵を狙ってこの海域に集まってくるそうです。
ジンベエザメはこのような卵のほか、主にプランクトンを食べていますが、同じプランクトンを主食とする様々な魚類が常にジンベエザメの周囲に群れを成しているため、ジンベエザメのいる海域では大漁が期待出来ました。
そのため漁師の間では古来より縁起の良い魚とされて、「えびすざめ」とも呼ばれています。
繁殖については詳しいことは分かっていませんが、捕獲されたメスの体内に孵化した状態の胎児が見つかったため、卵胎生であることは証明されているそうです。
シロナガスクジラ
現生する動物の中で最大の大きさを誇るのがシロナガスクジラです。
体長は平均25メートル前後で、最大測定記録は34メートル。
地球の歴史上でも現時点で確認されている動物の中では、シロナガスクジラが最大と言われています。
地球上のほとんどの外洋域に生息し、オキアミなどのプランクトンを主食としながら、繁殖期や子育てをしている間以外は、広い海を単体で回遊していますが、時には鳴き声によって仲間同士でコミュニケーションを取ったりしているそうです。
水の中は地上よりも音が伝わりやすいこともあって、150キロメートル先の仲間にも声を届けることも可能だそうですが、その声は唸り声のような低音で、音の大きさは180ホン以上になるとも言われています。
飛行機の騒音が100ホンぐらいですので、どれほど大きい声なのかがわかりますね。
グレートバリアリーフ
引用:https://www.skygate.co.jp/
ここでは少し変わった世界一をご紹介します。
サンゴ礁地帯と言えば、オーストラリアにあるグレートバリアリーフが有名ですが、生き物が作り出した構造物としては世界最大を誇っています。
サンゴが生き物、さらには動物ということを知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
植物じゃないの?と思われる方も多いと思いますが、サンゴは正真正銘「動物」なのです。
クラゲやイソギンチャクと同じ仲間で、刺胞動物に属しています。
特徴としては、イソギンチャクと同じような触手を持っており、それを伸ばして海中のプランクトンをからめとって食べています。
しかし基本的にサンゴが食事をするのは夜なので、あまりその瞬間を見る機会はないかも知れませんね。
プランクトン以外にも、共生している藻類が作り出す光合成産物も糧として成長し、やがてサンゴ礁を形成していきます。
グレートバリアリーフは、そんなサンゴが数十億集まって形成されており、動物でありながらその形状と性質から、海の中で地上の森のような役割も果たしています。
魚類を初めとする様々な生き物の住みかとなっていることに加え、共生している藻類が、二酸化炭素を吸収して酸素を放出し、地上の木々のように海中の二酸化炭素の量をコントロールしているのです。
見た目がきれいなだけではなく、様々な生き物のためにサンゴ礁は役立ってくれているのですね。
セコイア
引用:http://www.alpine-tour.com/
世界の樹高記録のベストスリーを独占しているのが、ヒノキ科の針葉樹・セコイアです。
セコイアメスギ、レッドウッドとも呼ばれ、建材としても利用されています。
樹齢は400年から1300年くらいで、平均樹高は80メートルですが、100メートルを超えるものもいくつか存在し、現存する木の中で、高さが世界一のセコイア「ハイペリオン」は樹高115.55メートルです。
「ハイペリオン」の樹齢は推定600年から800年と言われていますが、人間に例えるとまだ20歳前後の若い木であるため、まだまだ成長する可能性があるそうです。
そして、セコイアと並んで世界最大の巨木と言われているのが、セコイアデンドロンです。
ジャイアントセコイア、セコイアオスギとも呼ばれていて、セコイアと同じヒノキ科の針葉樹です。
体積、重量共に世界一を誇る木で、平均樹高はセコイアと同等の80メートル以上。
樹齢は1000年以上と言われており、3200年という樹齢最高記録も残っています。
どちらもアメリカ西海岸の高地に自生していますが、森林の伐採などで数が減少し、現在では絶滅危惧種として保護されています。
オニナラタケ
引用:http://factorialist.com/
地球上の生物で最も大きいとされているのは、実はキノコです。
アメリカのオレゴン州で発見された、オニナラタケというキノコが世界最大の生物として注目されています。
どれだけ大きなキノコなのかと思われるかも知れませんが、実は地上に群生しているキノコ自体はそれほど巨大なわけではなく、傘の部分などを計測してもひとつが数センチから大きくても数十センチ程度です。
ならばなぜ世界最大と言われているのかというと、それは土の中にあるキノコの菌糸です。
キノコの地上に出ている傘や茎の部分は、植物に例えると花や実と同等のものです。
キノコの場合、木の幹や根にあたる部分を菌糸といい、それの集合体は菌床と呼ばれ、全て土の中に存在しています。
そしてアメリカで発見されたこのキノコの菌床の大きさが、世界最大に相当するというのです。
地上から観察するだけでは判断が難しいため、いくつか場所で採取したキノコのDNAを鑑定した結果、同一の菌床からなるひとつの生物だと確認されました。
その総面積は約9平方キロメートル、重量はおよそ600トンにもなると推定されています。
このキノコの推定年齢は約2400歳とされていますが、菌類には明確な寿命がないため、
条件が整っていれば更に成長し続けると言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
世界最大の生物と言っても、良く知っている身近な動物もいれば、聞いたことないような植物まで色々ありますよね。
まだまだ新たに発見されている種や、成長を続けている生物もいるので、これからどれだけ記録が更新されていくか楽しみです。
数年後にはもっと珍しい世界一が現れたりするかも知れませんね。