社会

世界で最も有名な凶悪マフィア・ギャング組織14

マフィア・ギャングと言えば、世界中の裏社会を牛耳っている犯罪組織のことです。

マフィアは、元々イタリアのシチリア島を起源とする組織犯罪集団のことで、19世紀から恐喝や暴力により勢力を拡大し、今日では世界の犯罪組織を総称して「マフィア」や「ギャング」と呼ぶようになりました。

麻薬の密輸、人身売買、武器・兵器の取引、希少動物の違法貿易、サイバー犯罪、賭博、詐欺や、その他の裏社会に関わる仕事を主な資金源としており、それぞれのマフィアやギャングが世界各国で大きな勢力を有しています。

今回は世界中でとくに有名な20のマフィアとギャングをご紹介します。

目次

ヤクザ(YAKUZA)


ヤクザは、海外では元々ジャパニーズ・マフィアと呼ばれていましたが、現在ではテレビゲームや北野武監督などのヤクザ映画の影響もあり、海外でも『やくざ (YAKUZA)』という言葉の知名度が高まっています。

元々「暴力団」という名称は警察が名づけた名称で、第二次世界大戦後に一般的に認知されるようになりました。その歴史は江戸時代の町火消から始まったという説があります。

全国の20団体ほどが指定暴力団とされていますが、暴力団対策法や暴力団排除条例により、年々暴力団に対する取締りが厳しくなっており、暴力団員の数はピーク時(1963年:約10万2600人)の約2割程度に減少しています。また、主要暴力団である六代目山口組、住吉会、神戸山口組、稲川会の4団体で全暴力団の構成員などの人数の70%強を占めています。

また、2013年より「半グレ集団」と呼ばれる元暴走族グループを「準暴力団」に指定し、取締りを強化しています。

 

チャイニーズ・マフィア(CHINESE TRIADS)


チャイニーズマフィアは、清の時代、清朝による支配に抵抗すべく結成された反体制的結社を源流とすると言われています。それが中国大陸の諸地域に広がると同時に、多くのグループに分岐しました。

特に有名なチャイニーズマフィアに、香港マフィア(三合会:さんごうかい)、福建マフィア(蛇頭:じゃとう)、上海マフィア(青幇:ちんぱん/紅幇:ほんぱん)などの組織があります。

これらの組織は中国はもとより、中国語圏を始めとする世界各地に進出しており、特に華僑が多く住むアメリカやカナダ、イギリスやオーストラリアといった欧米で活発に活動しているとされています。近年は豊富な資金力を背景に、現地の政治や経済にも影響力を及ぼしつつあり、日本においても最大拠点である東京の新宿-歌舞伎町において縄張りや利権をめぐって抗争事件を引き起こしています。

 

インド・マフィア(INDIAN MAFIA)


インドには、インドや国際的な多くの犯罪に関わる複数の犯罪組織が存在します。

D社(Dawood Company)は、FBIの最重要指名手配犯とされたこともあるダウード・イブラヒムが1970年代にムンバイに設立した組織です。

D社はアルカイダやタリバンなどのテロ組織と繋がりがあるとされ、密輸・麻薬取引・マネーロンダリングなどの違法行為だけではなく、合法である不動産業・銀行業なども運営しており、数十億ドルの資金を調達していました。

インドには他にも複数のマフィアが存在し、国有炭鉱の運営や土地開発、ボリウッドと呼ばれる映画業界との癒着があるとされています。

また、インドはゴールデン・トライアングルと呼ばれる世界最大の麻薬密造地帯(タイ、ミャンマー、ラオス)からヨーロッパへヘロインを輸送する主要中継地点であり、世界最大のアヘン栽培国でもあります。アヘンの 5~10%が不法ヘロインに、8~10%が濃縮液として多量に消費されているとされています。

 

ヘルズ・エンジェルス(HELLS ANGELS)


ヘルズ・エンジェルス「地獄の天使」は、アメリカで誕生した国際的バイカーギャング集団です。

1948年にカリフォルニア州フォンタナで結成され、現在では世界22ヶ国に約10,000人の構成員がいると推定されています。ヘルズ・エンジェルスの最初の支部であるオークランド支部は特に悪名高く知られております。

殺人、強盗、恐喝、売春、重火器及び違法薬物の密売を主な収入源としているとされています。

 

マラ・サルバトルチャ(MS-13)


マラ・サルバトルチャは、エルサルバドルを中心として北中米で活動する大規模ギャングで、一般的にはMS, Mara, MS-13などと呼ばれています。

マラ・サルバトルチャの構成員はアメリカ及びエルサルバドルだけに留まらず、カナダ、メキシコ、グアテマラ、コロンビア、スペイン、オーストラリア、イギリス、ドイツなどでもその存在が確認されており、構成員数はアメリカだけで1万人、全世界では10万人を擁すると推測されています。また、彼らは、胸部・背中・腕などに組織名のタトゥーを入れることで知られています。

犯罪組織として、麻薬密輸、銃の不法販売、不法入国、殺人の請負、窃盗などを行っており、2013年、2014年には構成員の男が殺人の容疑で相次いでFBI10大最重要指名手配に選ばれています。

 

コロンビアの麻薬カルテル(COLOMBIAN DRUG CARTELS)


メデジン・カルテルとカリ・カルテルの2つの巨大麻薬カルテルが存在していたコロンビアは、2011年まで世界一のコカイン生産国として密売により多額の収益を得ていました。

カリ・カルテルは、営利誘拐を生業としていたヒルベルトとミゲルのロドリゲス兄弟が中心となって1970年に設立しました。

カルテル設立後に麻薬密売を始めたヒルベルトは抜群の経営能力をもち、1974年には自ら銀行を設立させ、中南米の銀行を買収しました。またコカインの国内製造のために全国最大の薬局チェーンを買収して、必要な薬品は何でも輸入可能にすることでサプライチェーンを完結させました。その情報収集能力も驚異的でアメリカの捜査当局でさえ出し抜かれたと言われています。

1972年にコロンビアのメデジンを拠点としてパブロ・エスコバルが設立したメデジン・カルテルは、麻薬(特にコカイン)の生産・加工・販売、宝石加工・販売、身代金獲得などを資金源とし、その収益は1ヶ月あたり最大6000万ドルに上り、最大280億ドルの資産があったとされています。

しかし、自動火器、航空機、設備の整った基地と傭兵団を持つ武闘派組織だったメデジン・カルテルは、政府相手に麻薬戦争を開始し、84年から89年にかけて法務大臣暗殺、最高裁占拠事件、検事総長暗殺、大統領候補者暗殺、アビアンカ航空機203便の爆破(搭乗者110名死亡)、治安警察本部前爆破などを実行し、91年にエスコバルは刑務所に収監されました。

翌年、刑務所を脱獄したエスコバルは、コロンビア政府、米デルタフォース、敵対していたカリ・カルテルに追われ、家族や手下300人が殺害されました。そして、エスコバルは自宅にいたところを治安部隊に射殺され、2万人の死者を出したとされる麻薬戦争は終結し、カルテルは消滅しました。

ライバルカルテルの消滅によってカリ・カルテルは、コロンビア産コカインの8割を支配し年間推計90億ドルの収益を挙げましたが、大統領選挙への資金提供が発覚し、大スキャンダルになりました。

ロドリゲス兄弟ら最高幹部は、政府と取引して刑期短縮を条件にして自首することを選択しましたが、これにより組織の統制が取れなくなり衰退したと言われています。

現在、幹部の多くはアメリカの刑務所に収監されています。

 

メキシカン・マフィア(ラ・エメ:La eMe)


メキシカン・マフィアは、メキシコ系アメリカ人の犯罪組織です。

メキシカン・マフィアという名称とは裏腹にメキシコではなく米国の刑務所内組織を源流としており、MS-13やフロレンシア13など、アルファベットのMは13番目の文字であることから「13」という数字をメキシカン・マフィアへの忠誠の証として用いています。

構成員は300~400人ほどとされていますが、アメリカで最も強力なギャングの一つとして恐れられています。

 

メキシコの麻薬カルテル(MEXICAN DRUG CARTELS)


メキシコには多数の麻薬カルテルが存在することで知られています。

コロンビアの麻薬カルテルの崩壊により大きく成長し、麻薬取引はメキシコ経済の約63%を占めるまでになりました。

特に有名なメキシコ国内最大の麻薬カルテルであるシナロア・カルテルは、1989年にシナロア州を本拠地として結成され、殺人、拷問、誘拐、恐喝、密輸、資金洗浄などを資金源としています。

「史上最大の麻薬王」として知られるホアキン・グスマンを最高幹部とし、メキシコを中心とする北中米全土に活動拠点を広げました。グスマンはこれまで逮捕と脱獄を繰り返しており、2015年には厳戒レベルの警備で知られるエル・アルティプラーノ刑務所に地下トンネルを掘って2度目の脱獄に成功しました。(その後再逮捕されています)

グスマンが麻薬取引で稼ぎ出した資産は約1,000億円。脱獄に使った資金は1度目は3億円、2度目は60億円とも言われています。

また、ロス・セタスは、元メキシコ陸軍特殊部隊隊長のアルトゥーロ・グスマン・デセナ大尉が元同僚や部下の軍人を雇い入れて組織化した麻薬カルテルで、防弾チョッキや重機関銃などの重装備、対空ミサイルや攻撃ヘリコプターを所有するなどした高度な戦闘能力が特徴で、メキシコで最も危険な麻薬カルテルと言われています。

 

ムンギキ(MUNGIKI)


ムンギキはケニア・ナイロビのスラム街を中心に活動している武装犯罪組織です。

すべての西洋化の拒否と伝統的価値への復帰を目的に1990年代から本格的に活動し、ケニア最大の民族キクユ人の若者を中心に約10万人とも言われる構成員を束ねるまでに勢力を拡大させています。

多数の武装強盗や身代金目的の誘拐に関わっている他、対立組織や警官の他、子供を含む多数の一般人の殺害に関わっており、時には頭部を切断して「晒し首」にするなど残虐な犯罪集団として恐れられています。

 

イスラエル・マフィア(Israeli mafia)


中東・イスラエルの犯罪組織には、アベルギル・ファミリーなど5つの主要団体があります。

イスラエルの他、北アフリカ、モロッコ、ロシア、アメリカなどで活動し、主に、賭博、盗難車の密輸、麻薬密売、人身売買、臓器売買、マネーロンダリングなどを収入源としており、特に近年では合成麻薬「MDMA(エクスタシー)」の数十億ドル規模の流通ネットワークを運営し、多額の利益を上げていました。

 

ロシアン・マフィア(RUSSIAN MAFIA)

ロシアン・マフィアは、ロシアとその近隣諸国で活動するロシア系犯罪組織の総称です。

ソ連末期の混乱期から活発化したされ、ロシア内務省の報告によると、組織の数は8000以上にも及び、構成員の数は国内で10万人以上で、今やロシアン・マフィアがロシアGNPの40%を稼いでいるとも言われています。

さらにCIAの調査によると、約200もの組織が南北アメリカやイスラエル、東ヨーロッパおよび中央ヨーロッパを中心として全世界58カ国で30万人以上の構成員が活動しており、「地球上で最も危険な犯罪組織の一つ」とも言われます。

その活動は小規模な組織の恐喝や売春などから、大規模組織による国営企業や民間企業の乗っ取り、薬物売買、マネーロンダリング、武器の密輸など多岐に渡ります。

例えば、南アメリカから北アメリカへの潜水艦を用いての違法薬物の密輸や、マリアナ諸島やグアムを用いてのマネーロンダリング(資金洗浄)への着手などが確認されており、メキシコから米国への麻薬密輸による利益の3割はロシアンマフィアを通して資金洗浄されていると言われています。

日本における活動の拠点は北海道で、盗難車の密輸出や、大麻・アヘンなどの違法薬物の密輸入、銃器の密輸入、オホーツク海で密漁したカニの密輸入などに着手しており、北海道警察本部はロシアンマフィア対策を最重要課題としていました。

 

アルバニア・マフィア(Albanian Mafia)


アルバニア・マフィアは、アルバニア国内の犯罪組織、もしくはアルバニア人を主体とする犯罪組織の総称です。

アルバニアの犯罪組織の起源は、15世紀に各地域を割拠し支配していた氏族たちとされています。それ以降、国内での活動が主でしたが、1980年代の末に共産主義政権が崩壊すると鎖国が解け、アルバニアの犯罪組織は国際規模に拡大していきました。

1990年代にコソボ紛争が始まるとアルバニアは、トルコから西ヨーロッパへのヘロイン輸送の要所となり、特に南部のヴェリキ・トルノヴァツは「バルカンのメデジン」と呼ばれるまでになりました。

コソボ解放軍とアルバニア・マフィアは、協力関係にあると考えられており、コソボ解放軍は武器入手の為に西ヨーロッパに毎年、20億ドル相当の麻薬を持ち込むのを支援していたのが確認されています。

また、アメリカのアルバニア系住民による犯罪組織の活動も活発で、一時はアメリカに密輸されるヘロインの25~40%を占めていたとみられています。

 

セルビア・マフィア(SERBIAN MAFIA)


セルビア・マフィアは、主に暗殺、強盗、麻薬密輸、武器密売、不法賭博などに関与しており、ヨーロッパ全域に幅広いネットワークを持っています。

その中でも最も有名なのは、ゼムン一族です。1990年代から活動を続け今日では東ヨーロッパで最も強力な組織の一つになりました。

また、世界各地でダイヤモンドなどの宝石類の窃盗を行う国際犯罪組織「ピンクパンサー(Pink Panthers)」もセルビア・マフィアの一つです。

彼らは非常に巧妙な手口で、数分で宝石類の窃盗を行っているものの、今まで一度も殺人をしておらず、警察に捕まった仲間を助けることでも知られています。

ピンクパンサーは旧ユーゴスラビア難民、元セルビア軍人を中心に200人ほどのメンバーで組織され、世界で128億円超の被害を出しています。

日本でも銀座の宝石店で2004年に総額35億円、2007年に2億8400万円の宝石類が盗まれています。

 

イタリア・マフィア(Italian Mafia)


イタリアのマフィアでは、やはりシチリア・マフィアの「コーサ・ノストラ」が最も有名でしょう。コーサ・ノストラを含む、ンドランゲタ、カモッラ、サクラ・コローナ・ウニータがイタリア四大マフィアとされています。

マフィアは、血の掟(オメルタ)により構成員に服従と沈黙を厳しく命じる徹底した秘密組織・非公然組織です。掟を破った時には、他の構成員に対する見せしめの為、拷問・惨殺されるなど凄惨な制裁がなされます。

シチリアマフィア(コーサ・ノストラ)の起源は18世紀、シチリアの広大な農地の農地管理人(ガベッロット)たちです。彼らは農地を守るため武装し、また農民を搾取しつつ大地主ら政治的支配者と密接な関係を結んで勢力を拡大し、マフィアの母体となったと言われています。

19世紀から20世紀にかけて、マフィアたちの勢いはさらに増し、19世紀末にはアメリカへの移民増加と共に、マフィアも海を渡り、映画「ゴッドファーザー」で知られるアメリカ・マフィアの原型を作りました。

1920年代にはアメリカへの酒の密輸・密造酒製造に携わり、その後は麻薬取引や賭博により巨万の富を築きましたが、1980年代にコーサ・ノストラの壊滅を目指してFBIがボスら大物幹部の一斉起訴に踏み切り、現在ではほぼ壊滅状態にあるとされています。

そして近年、コーサ・ノストラに代わってイタリアマフィアの最大勢力と目されているのがカラブリア州を拠点にするンドランゲタです。

ンドランゲタは、シチリアのコーサ・ノストラより閉鎖的、かつ暴力的で、恐喝や麻薬取引、武器密輸だけでなく、放射性廃棄物や有害廃棄物の不法投棄にも関与しており、イタリアのGDPの3%を稼ぎ出すとも言われています。



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