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世界最大の洞窟ランキングTOP10

洞窟とは、地中にある一定以上の大きさの空間のことを指し、一般的には、人が入ることのできる大きさのものをいいます。

他に洞穴やほら穴といった呼び方もあります。

洞窟は、地下水によって石灰石などの岩が侵食したり、風化によってできたものなど、でき方にも様々な種類が存在し、これらが組み合わさってできていることもあります。

日本では、岩手県にある安家洞(あっかどう)が総延長約23.7㎞で、日本一長い洞窟になっていますが、世界にはこれよりもさらに巨大な洞窟が存在しています。

ここでは世界の巨大な洞窟をランキング形式で紹介していきます。

第10位 クリアウォーター・ケイブ(マレーシア)

引用:mulupark.com

クリアウォーター・ケイブは、マレーシアのボルネオ島にあるグヌン・ムル国立公園の中にある洞窟です。

グヌン・ムル国立公園は、ボルネオ島の北部にあるムル山の保護を目的とした自然公園で、2000年にはユネスコの自然遺産(世界遺産)にも登録されています。

グヌンとは、マレーシアの言葉で「山」という意味をもっているため、ムル山国立公園と呼ばれることもあります。

ムル山は、標高2377mで、山頂を含めた山域は、石灰岩など水に溶解しやすい岩石でできた大地に、雨水や地下水などが侵食してできたカルスト地形で構成されています。

カルスト地形では、地下に大規模な鍾乳洞などが生まれることも多く、グヌン・ムル国立公園にも、ディア・ケイブ、ラングズケイブ、ウィンド・ケイブ、クリアウォーター・ケイブという世界最大規模の4つの洞窟が存在します。

そのなかの1つ、クリアウォーター・ケイブは、全長107㎞におよぶ、東南アジアで最長の洞窟です。

洞窟内を100㎞にわたって、澄んだ綺麗な水の川が流れていることから、この名前がつきました。

この絶えることなく流れ続ける豊富な水が長い年月をかけて、石灰岩や石を侵食し、巨大洞窟を完成させたのです。

この川の一部は、ボートを使って航行することもできます。

洞窟の入り口は、200段もの階段を上った先にあり、雨の多い時期には1時間に何万トンもの水が入り口から流れ出ています。

クリアウォーター・ケイブは、ウィンド・ケイブともつながっていて、他の洞窟と連結された洞窟系としては世界最大の規模となります。

第9位 レチュギア・ケイブ(アメリカ)

引用:ja.wikipedia.org

レチュギア・ケイブは、アメリカ南西部にあるニューメキシコ州エディ郡にあるカールズバッド洞窟群国立公園内に位置する洞窟です。

カールズバッド洞窟群国立公園は、グアダルーペ山脈に位置し、今から約2億9900万年前のペルム紀の化石礁でできたカールズバッド洞窟と、その周囲にある多数の洞窟群を保護するために設立されたもので、総面積は189㎢にもおよびます。

レチュギア・ケイブは、1986年に発見された洞窟で、現在のガールズバッド洞窟群のなかで地質学者から最も注目されている場所です。

レチュアギア・ケイブは、200㎞を越えるといわれる石灰岩と石膏、レモンイエローの硫黄堆積物でできた洞窟です。

レチュギア・ケイブという名前は、リュウゼツランの1種であるアガベレチュギアにちなんで名づけられました。

かつては、グアノ(海鳥の糞の堆積物が化石化したもので肥料として使われる)の採掘が行われていた穴だったのですが、その頃は大した洞窟とは思われていませんでした。

やがて、採掘も行われなくなり、洞窟は長いあいだ放置されていましたが、そのうち、洞窟内から流れてくる風の奥で、洞窟が奥深くまで続いている可能性が出てきました。

調査の結果、採掘の瓦礫の下に、大規模な洞窟通路が存在することが明らかになりました。

レチュギア・ケイブは、深さ489mの洞窟で、アメリカ最大の石灰岩の洞窟とみられています。

カールズバッド洞窟のなかは、誰でも自分で歩いて探検できるようになっていますが、レチュギア・ケイブは一般の人は立ち入り禁止になっています。

洞窟内には珍しい地質や地層があるので、環境を保全するために、洞窟の正確な場所も秘密になっています。

第8位 ウインドケーブ(アメリカ)

引用:www.pinterest.ca

ウインドケーブは、アメリカ中西部のサウスダコタ州西部に位置するホットスプリングスの街から北に18㎞のところにあるウインドケーブ国立公園内にある洞窟です。

ウインドケーブ国立公園は、1903年にセオドア・ルーズベルト大統領によって設立されたもので、洞窟を国立公園に指定した世界初のもので、アメリカで7番目となる国立公園です。

この洞窟は、古くから先住民には知られていたようですが、白人のアメリカ人によって発見されたのは1881年のことです。

初めて洞窟を見つけたトムとジェシービンガムの兄弟は風の音に導かれてこの場所にやってきました。

彼らが入り口の穴から洞窟の奥をのぞき込んだとき、中から吹いてきた風によってトムの帽子が頭から吹き飛ばされました。

このエピソードが、ウインドケーブの名前の由来といわれています。

ウインドケーブの特徴として上げられるのが、ボックスワークと呼ばれる薄板状のカルサイト脈によって作られる立体構造です。

ボックスワークは、洞窟の天井部に見られ、底がない箱枠が平面的に集合した形態を示す鍾乳石で、世界のボックスワークの約95%がウインドケーブで発見されています。

ウインドケーブ内は、迷路のようになっていて、総延長は214㎞といわれています。

ウインドケーブ国立公園は、地上部分は大草原となっていて、バイソン、プロングホーン、プレーリードッグなどが生息しています。

第7位 双河洞(中国)

引用:http://www.gz007.net/

双河洞は、中国の貴州省綏陽県のカルスト地形にある、石膏と苦灰石(ドロマイト)でできた洞窟です。

双河洞は、2018年の国際科学調査の結果により、238.48mということが判明し、それまでの第1位だったマレーシアのクリアウォーター・ケイブを抜いて、アジア最大の洞窟となりました。

双河洞内には、たくさんの滝と5つの地下河川が確認されていて、魚やエビ、サンショウウオ、コウモリ、昼、キノコなどが生息しています。

洞窟は上層階、中層階、下層階にわかれていて、8つの主要な通路と、200を超える分岐道、34個の開口部があります。

双河洞は、いくつもの洞窟がつながっていて、洞窟の下にも洞窟が存在して至りします。

洞窟内は二酸化炭素約400ppm、温度も年間を通して約13℃と一定になっています。

双河洞では、1980年代後半から、洞窟内の全貌を明らかにするための探検が何回も行われてきました。

現在では、一般人も洞窟内に入っていけるようになっていて、内部では鍾乳洞が何色にもライトアップされています。

第6位 オプティミスティチナ洞窟(ウクライナ)

引用:alchetron.com

オプティミスティチナ洞窟は、ウクライナ西南部コロリフカ村の地下に広がる大規模なカルスト地形の洞窟です。

オプティミスティチナ洞窟は踏破されている部分だけで238㎞、未踏破部分を含めると全長500㎞にもおよぶといわれるユーラシア大陸最大の洞窟です。

オプティミスティチナ洞窟は、いくつもの洞窟が集まったものであり、洞窟同士が複雑につながり、「迷路の洞窟」とも呼ばれます。

本格的な探索が始まったのは、1966年からで、それ以降50回以上の探検が行われましたが、すべてが解明されているわけではありません。

オプティミスティチナ洞窟は、新第三紀の厚さ30mの層の下にあります。

内部の通路はかなり狭く、幅3m以下、高さ1.5m以下の場所がほとんどなのですが、通路が交差する場所では高さ10mになる場所もあります。

洞窟の奥には、大量の泥があり、不用意に足を踏み入れてしまうと、はまり込んで窒息してしまう可能性もあるので、探検の際には注意が必要です。

内部には、ウクライナで最大の地下湖があるといわれています。

2008年には「ウクライナ自然の驚異」という、ウクライナ政府が定める、ウクライナ国内で最も人気があって、かつユニークな自然のスポット7選のうちの1つに選ばれました。

第5位 オックス・ベル・ハル洞窟(メキシコ)

引用:http://www.orangesmile.com/

オックス・ベル・ハル洞窟は、メキシコのキンタナロー州にある洞窟群で、調査されている範囲だけで270㎞という、世界で最も長い水中洞窟となっています。

オックス・ベル・ハルという名前は、マヤ語で「3つの水道」という意味があります。

オックス・ベル・ハル洞窟は、セノーテと呼ばれる、中南米のカリブ海に突き出したユカタン半島の石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の泉の1種です。

セノーテはユカタン半島に約3500か所あるといわれ、泉の下には大規模な鍾乳洞が広がっていることも知られています。

セノーテはこの地域の人々にとって、真水を供給する貴重な水源で井戸として使われていたほか、マヤの雨の神チャクに捧げられて信仰の対象となっていたセノーテもありました。

オックス・ベル・ハル・洞窟は、約140のセノーテがつなぎあわさってできており、約18000年前から形成され始めたと考えられています。

地球温暖化の影響によって、オックス・ベル・ハルの水位が上昇しているといわれます。

オックス・ベル・ハルは、先史時代に埋葬の儀式を行う重要な場所とされていたとみられ、内部から20代~50代までの男女の遺骨が見つかっています。

第4位 ジュエルケイブ(アメリカ)

引用:www.margaretriver.com

ジュエルケイブは、アメリカ中西部のサウスダコタ州にある洞窟で、周辺はジュエルケイブ国定公園として整備されています。

ジュエルケイブは、全長約322㎞で、周囲をブラックヒルズ国有森林に囲まれています。

1900年、地元のフランク・ミショーとアルバート・ミショーの2人の兄弟が、このあたりの峡谷の小さな穴から冷たい空気が噴き出ているのを感じ、洞窟を探し当てました。

2人はダイナマイトを使って洞窟の入り口を拡張し、カルサイトの結晶が並ぶこの洞窟を「宝石の洞窟(ジュエルケイブ)」と名付けました。

ミショー兄弟は、洞窟の入り口を拡大して中に通路を作り、観光地にしようとしました。

結局、彼らのビジネスは成功しませんでしたが、この洞窟の噂はアメリカ全土に広まり、当時のセオドア・ルーズベルト大統領によって、ジュエルケイブは1908年2月7日に国定公園になりました。

ジュエルケイブは、空気が出入りすることによって、昼から夜にかけてや天候の変化による洞窟内の気圧の変化を伴い、「呼吸する洞窟」と呼ばれます。

洞窟に出入りする空気量から、ジュエルケイブ洞窟内には、広大な未踏の領域があることがわかっています。

現在のジュエルケイブは、観光地になっていて、1年中公開されています。

洞窟内の通路でトレッキングやトレイルランニングをしたり、洞窟内の景色を楽しむ様々なツアーが企画されています。

第3位 ドスオホス洞窟(メキシコ)

引用:en.wikipedia.org

ドスオホス洞窟は、メキシコのユカタン半島、キンタナロー州に位置する洞窟で、全長321㎞以上の巨大な地下水路になっています。

ドスオホスは、1980年代から世界で最も長い水中洞窟の上位にランクインし続けています。

1987年に発見されたドスオホス洞窟は、これまでに何度も調査が行われていて、世界で最も長い期間調査されている水中洞窟といわれています。

しかし、それでも、現在調査が済んでいるのは洞窟全体のうちの82㎞の部分のみです。

ドスオホス内には、28のセノーテと呼ばれる地下の泉があり、さらにドスオホスは、近くのサクアクトゥンと呼ばれる別の洞窟につながっています。

ドスオホスという名前は、ドスとオホスという2つの洞窟内で一番大きな隣り合ったセノーテからきており、洞窟内の地図を作ると、この2つのセノーテはまるで大きな目のように見えます。

セノーテは、淡水のほか、自然に流入する海水が混ざりあっていて、数種類の魚や淡水エビなどが生息しています。

ドスオホス洞窟内部からは、古代の巨大なナマケモノの化石や、戦争や商業の神様を祀ったマヤ文明の神殿が発見されており、この場所で神聖な儀式が行われていたものとみられます。

この神殿では、埋葬されたとみられる人骨のほか、ジャングル内の陥没穴に通じている階段も見つかっています。

現在、ドスオホス洞窟は、大変人気のある観光スポットになっていて、特にセノーテでのダイビングが人気です。

新婚カップルによる記念撮影のスポットとしても人気があり、ウェディングドレスを着た花嫁がダイブしている姿が見られることもあります。

2010年にドスオホス・セノーテで開催されたフリーダイビングの大会では、出場者の1人が1回の呼吸で150mを泳いで、ギネス記録を出しています。

第2位 マンモスケイブ(アメリカ)

引用:www.gousa.jp

マンモスケイブは、アメリカ中東部のケンタッキー州中央部に位置する洞窟群で、周辺はマンモスケイブ国立公園として整備されています。

洞窟群の正式名称は、マンモスケイブ・システム(システムとは、洞窟がいくつも連なった洞窟群のことを意味しています)と呼ばれます。

マンモスケイブは、石灰岩から地中へ漏れ出た水によって数千年の年月をかけて形成されていきました。

1941年7月1日に国立公園に指定され、1981年10月には世界遺産にも登録されました。

1990年9月には国際的な生物圏保護区にも指定されています。

マンモスケイブは、6000年ほど昔から、アメリカ先住民たちによって、ミイラの埋葬場所として使われてきました。

マンモスケイブが初めてヨーロッパ人によって発見されたのは、1797年のことになります。

それは、フーチンという名前の人物で、狩りの途中で傷ついたクマを追い詰めている最中に洞窟の入り口を見つけたといいます。

マンモスケイブでは、その後、火薬の原料に使われる硝酸の採掘が行われるようになりました。

マンモスケイブは、古生代の厚い石灰岩によって構成された洞窟で、その上に砂岩層が載っているため、とても堅固な岩層になっています。

洞窟の全長は591㎞となっていますが、毎年新しい通路や他の洞窟との接続箇所も見つかっているため、少しずつ長さが伸びていっており、マンモスケイブが本当はどれほどの距離の洞窟なのか、いまだにわかっていません。

フィッシャーリッジ洞窟群やマーティンリッジ洞窟群といった、周辺の洞窟群と接続する通路が発見されることで、マンモスケイブの全長は最終的には800㎞を越えるかもしれないという研究者もいます。

洞窟内には地下水が見られる場所もあり、ケンタッキー・ケーブ・シュリンプという絶滅危惧種のエビが生息しています。

マンモスケイブは、たくさんのコウモリが生息していることでも知られ、なかには希少な種類もいて、時期によっては900万匹から1200万匹のコウモリが生息していたときもわるといわれています。

第1位 ソンドン洞(ベトナム)

引用:travelzaurus.com

ソンドン洞は、ベトナム中部のクアンビン県、ボーチャック県、ミンホア県にまたがるフォンニャ・ケバン国立公園内にある世界最大の洞窟です。

ソンドンという名前は、地名を表す「ドン」に、山という意味の「ソン」を組み合わせたものです。

フォンニャ・ケバン国立公園は、ベトナムとラオスの国境付近にあり、4億年以上前にできたといわれるアジア最古のカルスト地帯を有する総面積約860㎢の公園で、2003年にはベトナムで5番目となる世界遺産にも登録されています。

園内の94%が原生林によって占められ、絶滅危惧種を含めた568種類の植物と876種類の動物が生息しています。

公園内には大小約300の洞窟が存在し、ソンドン洞もその1つです。

ソンドン洞は最近になって発見された洞窟で、それまで、フォンニャ・ケバン国立公園で有名なのは、フォンニャ洞やティエンソン洞、ヴォム洞といった洞窟でした。

1991年、地元の人がこの洞窟の入り口を発見しますが、中に入ることはしませんでした。

これは懸命な判断として、ソンドン洞は40階建ての高層ビルでもすっぽりと中に入れてしまえるくらいの奥深い洞窟で、入り口から内部に入っていくだけでも80mほど降下していく必要があります。

ソンドン洞は、長さは9㎞と今まで見てきた世界の巨大洞窟と比べると圧倒的に短く感じます。

しかし、驚くべきはその高さで、最大で約240mとなり、幅は約90mで、地底の奥まで続くかと思わせるような巨大な地下空間が広がっています。

洞窟の底まで辿り着くと巨大な鍾乳洞の空間が広がり、わずかに差し込む外の光が幻想的な光景を生み出しています。

この地上から光は、ソンドン洞に2つある天然の天窓から差してきているもので、これによって洞窟内に、植物の生えている「アダムの庭」と呼ばれる空間を生み出しています。

ソンドン洞ができたのは今からおよそ300万年前といわれ、内部には長い年月をかけて作られた高さ70mにもなる鍾乳石の柱もあります。

洞窟内には、地下水路が通り、滝や湖、長さ2.5㎞の地下河川が存在しています。

引用:http://truyenhinhdulich.vn/

2009年、それまで地元民に細々と知られているだけだったこの洞窟は、イギリスの調査隊によってはじめて本格的な調査がなされました。

2014年からは観光ツアーも始まっていますが、今のところ、ツアーを実施しているのは1社だけです。

ツアー価格は6泊7日で、30万円ほどで、ガイドや食料、テントのほか、洞窟の奥へと入っていくためのケイビング機器の料金も含まれています。

まとめ

以上、世界最大の洞窟ランキングでした。

世界にはこれほどスケールの大きな洞窟が存在していることに驚かされます。

さらに驚くのが、こうした巨大洞窟には、まだ調査されていない部分が存在しているということです。

地下にはまだまだ我々人類の知らない未知の世界が広がっているということです。

世界最大の洞窟であるソンドン洞は2009年と最近になって発見されていることもあり、もしかすると、今後もさらに巨大な洞窟が世界のどこかから見つかることもあるかもしれません。



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