その他雑学

世界最大の船10選(戦艦、潜水艦、客船、フェリー、貨物船ほか)

「船」と一口に言っても、そのバリエーションは豊富で、ボートや漁船のように小さな船からタンカーや豪華客船のように巨大なものまで、その大きさも様々です。

船はクルマや飛行機よりもはるかに多くのヒトやモノを運ぶことができるという利点があり、長期の航海においてはそこに乗る人々の生活の場所にもなるという他の乗り物にはない特徴をもっています。

載せるものが旅客であれ、貨物であれ、その船体が大きくなれば、より大きな機能を発揮することができるようになります。

世界には、私たちが驚くような巨大な船たちが存在しています。

ここでは、主にその全長を基準として、世界の様々な艦種の中で最も大きな、世界最大の船についてご紹介します。

世界最大の戦艦 戦艦アイオワ級

引用:https://topwar.ru

あれ、世界一大きな戦艦って大和じゃないの?

タイトルを見て、多くの人はこう思ったのではないでしょうか。

確かに、排水量でみると世界最大の戦艦は大和級戦艦です。

排水量とはその船がすっぽりおさまる大きな水槽の中になみなみと水を張り、そこに船を浮かべたという想定で、そのときに溢れ出る水の量を表したもので、船の容量のようなものです。

これに対して、船の全長でみると、このアイオワ級戦艦が世界最大となります。

ここでは、日本人にはあまり馴染みがないと思われるアイオワ級について紹介します。

アイオワ級は1943年に竣工し、それまでの軍縮条約の影響を受けていたアメリカ戦艦と違い、排水量45000t級として設計されました。

大和の64000tには及びませんが、アメリカ戦艦では最大です。

アイオワ級としてアイオワ・ミズーリ・ニュージャージー・ウィスコンシンの4隻が建造されています。

アイオワはアメリカ海軍最大の戦艦であることから大和のライバルなどともいわれますが、もともとは30ノットを誇る高速戦艦と呼ばれた日本海軍の金剛級戦艦に対抗するために計画された戦艦です。

世界最大の大和型より排水量では劣るのに、全長はアイオワのほうが長いということは、つまりアイオワはとても細長い船体をしているということです。

これによってアイオワは33ノットという史上最高速度を発揮する高速戦艦となりました。

しかし、パナマ運河を航行できないといけないという米海軍独自の事情もあり、船幅を33m以内に収めた構造は、必要以上にアイオワの船体を細長くし、各部に無理が生じていました。

アイオワには旋回性や主砲射撃時の安定性に問題が生じたといわれています。

アイオワは人間でいうとヒョロリとした体形で、強力なパンチを撃つのには向いていなかったのです。

しかし、それでもアイオワは33ノットという高速を活かして空母の随伴などの任務も難なくこなし、上陸支援の艦砲射撃など太平洋戦争で活躍します。

大和の水上特攻に対してはアイオワ級4隻による迎撃も検討されましたが、結局は航空攻撃で撃沈され、アイオワVS大和という世紀の戦艦対決は実現せずに終わりました。

アイオワ級はその後もミズーリが朝鮮戦争に、ニュージャージーがベトナム戦争に、ミズーリとウィスコンシンがイラク戦争に参加しました。

もはや戦艦の時代は終わりを告げていましたが、艦砲射撃等に発揮されるその絶大な火力はアメリカ軍にとってとても頼もしい存在でした。

1995年、アイオワ級の4隻は揃って除籍となりました。

在籍期間は50年以上でアメリカ海軍に最も長く在籍した戦艦となり、ニュージャージー・ミズーリの2隻は今も記念館として保存されています。

世界最大の客船 シンフォニー・オブ・ザ・シーズ

引用:http://parstoday.com

シンフォニー・オブ・ザ・シーズはカリブ海を拠点にクルーズ事業を手掛けるRCI(ロイヤル・カリビアン・インターナショナル)が運航している世界最大の豪華客船です。

シンフォニー・オブ・ザ・シーズは全長361.011m、総トン数228081tで、2018年3月に就役すると、それまでRCIの保有していたハーモニー・オブ・ザ・シーズの記録を抜き、世界一の客船となりました。

RCIでは1991年以降、保有する船の名前に「オブ・ザ・シーズ」をつけています。

RCIによると、この船はサイズの大きさを重視して建造されたものではなく、船のコンセプトを重視した結果、それを実現するためにこの大きさになったということです。

最大旅客定員は6680人、客室は2759室、17のデッキをもち、航行速度は22ノットで、建造には3年を要しました。

シンフォニー・オブ・ザ・シーズのコンセプトは「洋上に浮かぶ7つの街」で、船内には20以上のプール、30mのスライダー「アルティメットアビス」、スパ、いくつものシアター、2万本もの樹木が植えられたセントラル・エリア、ロボットバーテンダーがシェイカーを振るバイオニックバー、22のレストラン、10m以上のロッククライミングウォール、船の9階からのワイヤースライダーなど、実に様々な施設があり、乗客を飽きさせません。

シンフォニー・オブ・ザ・シーズは春と夏は地中海、11月以降はカリブ海クルーズを行っており、宿泊プランは安いものでも40万円ほどですが、最も高価なアルティメットファミリースイートの料金は640万円になるといいます。

世界最大のコンテナ船 OOCL Hong Kong

引用:http://www.shipspotting.com

コンテナ船とはISOにより規格化された海上コンテナを輸送する貨物船で、荷役設備を持たず、専用岸壁のクレーンを使って荷物の積み下ろしを行います。

コンテナを使うことによって、荷役時間は大幅に短縮され、海運における革新的な荷役方法となりました。

コンテナは20フィートタイプと40フィートタイプがほとんどですが、ほかにも10フィートタイプ、35フィートタイプのものも存在します。

OOCLホンコンは、OOCL(オリエント・オーシャン・コンテナ・ライン)の商用名で知られている香港の東方海外貨櫃航運公司が所有するコンテナ船です。

東方海外貨櫃航運公司は世界58か国に230もの事業所を展開する巨大開運企業で、150隻の船舶を保有しています。

OOCLホンコンはサムスン重工業で建造されて2017年5月に竣工し、全長は399.87m、21413TEUです。

TEUとは、20フィートコンテナ換算でコンテナ船の積載能力や貨物取扱数をあらわすために使われる単位で、20フィートコンテナ1個分を1TEUとしています。

OOCLホンコンは現在、上海や厦門、寧波、シンガポールからスエズ運河を経由してロッテルダムやヴィルヘルムスハーフェンなど北ヨーロッパの都市との間を約77日間で往復する航路において運行しています。

世界最大の潜水艦 タイフーン型原子力潜水艦

引用:http://www.wikiwand.com

タイフーン型原子力潜水艦は旧ソ連で開発された原子力潜水艦で、1977年~1986年に6隻が建造されました。

全長は172.8mで、世界最大の弾道ミサイル原子力潜水艦です。

排水量48000t、最大潜航深度500m、最大速力は水上15ノット、水中27ノットとなっています。

タイフーンというのは西側諸国がつけたNATOコードネームで、ロシアでは「アクラ(鮫)」と呼ばれています。

タイフーンはもともとこの潜水艦に搭載されるミサイルR-39のニックネームでした。

NATOも元はこの潜水艦に「S(シエラ)型」と名付ける予定でした。

しかし、当時のソ連参謀総長だったニコライ・オガルコフ元帥が「この度、我が海軍に、新型原潜"タイフーン"が就航した」と発言したため、タイフーンと呼ばれるようになりました。

オガルコフ元帥は「タイフーンを搭載した」と言ったのを誤解されたといわれていますが、元帥自身が潜水艦とミサイルの名前を勘違いしていたのかもしれません。

タイフーンは円筒形の細長い耐圧殻(潜水艦における水圧に耐える外殻構造)を二つ横に並べ、その周りを外殻で覆ったような船体構造になっており、両舷に平たく丸みを帯びた巨大な船体に二重構造のセイルが立っているという特徴的な外観をしています。

それまでのソ連潜水艦はアメリカの潜水艦のように潜舵(海中での深度を調整する舵)をセイルに取り付けていましたが、タイフーンでは潜舵は艦首部にあり、収納可能となっています。

これは北極海の氷を突き破って浮上し、弾道ミサイルを発射することを想定していたためだといわれています。

1970年代末から1980年代初頭にかけて開発された長射程固体燃料ロケットSLBMであるSS-N-20スタージョン(R-39)を搭載しており、タイフーンはこのR-39を搭載するために開発された潜水艦で、タイフーンの船体が世界最大となったのも、この大型ミサイルの発射プラットフォームとなるためです。

射程8300㎞のR-39ミサイルを20基搭載し、533㎜魚雷発射管6本に、22本の魚雷とPPK-2対潜水艦ミサイルの運用が可能で、自衛用にSAN-8艦対空ミサイルを装備し、浮上時の対空戦闘能力も備えています。

また、タイフーンはこの大型の船体を活かし、乗組員が長期間の任務に耐えられるように、トレーニングルームやプール、サウナなどの施設が艦内に設けられています。

タイフーン型はすでに5隻が退役していますが、唯一現役の「ドミートリー・ドンスコイ」は2020年まで運用予定となっています。

【最新】世界最強の原子力潜水艦ランキング

世界最大のフェリー カラー・ファンタジー

引用:https://www.portmaps.com

フェリーとは、「渡し船」「渡し場」を意味する英語の「ferry」に由来し、観光客専用でない日常の交通手段として使われる客船・貨客船のことです。

カラー・ファンタジーはカラー・ライン社の保有するカラー・ファンタジー級の1番船で、2004年12月にフィンランドのクヴァルネル・マサ造船所ツルク工場で竣工しました。

12月10日にはノルウェーのオスロで命名式が行われ、オスロからドイツ北部の港街キール間の航路に就役しました。

カラー・ファンタジーは、それまで世界一であったイギリスP&Oフェリーのプライド・オブ・ロッテルダム級を抜く世界最大のフェリーで、姉妹船にはカラー・マジックがあります。

オスロ~キール間の航路は1日1回、週7回で運行されていて、午後2時に出発して約20時間をかけて午前10時に到着します。

この航路を運航しているのは現在カラー・ラインのみとなっています。

カラー・ファンタジーは全長223.9mで15階建ての船体に1000室の客室をもち、旅客定員は2750名、搭載車両は750台、43000馬力のディーゼル機関4基を搭載し、22.1ノットで航行します。

普通のフェリーは予約なしでも乗れますが、カラー・ファンタジーは乗客全員が必ず船室宿泊となります。

料金は約500ユーロ(約64000円)ですが、三つ星・四つ星のほか、さらに上のクラスの船室もあり、景色を楽しめる外側の船室のほうがいいようです。

カラー・ファンタジーはカーフェリーですが、3デッキ吹き抜けのアーケードや8店のレストラン、ショーラウンジ、パブ、カジノ、プールなど内部はクルーズ船仕様となっていて、定期便でありながらオスロ・キールでともに大人気のフェリーとなっています。

世界最大のばら積み貨物船 ヴァーレ・ブラジル

引用:http://seasidejob.com

ばら積み貨物船(バルクキャリアまたはバルカー)とは、梱包されていない貨物を船倉に入れて輸送することを目的として設計された貨物船です。

ばら積み貨物船は現在、世界の商船の40%を占めており、その82%がアジアで建造されており、最大の建造国は日本です。

石炭、鉄鉱石、穀物がばら積み貨物船の三大貨物と呼ばれ、日本ではこれに加えてウッドチップが代表的な貨物となっています。

ヴァーレ・ブラジルはブラジルの総合資源開発企業であるヴァーレ社が所有している鉄鉱石運搬船で、全長362mの世界最大のばら積み貨物船です。

ヴァーレ・ブラジルは韓国の大宇造船海洋で2011年4月に建造され、5月よりブラジルから中国への鉄鉱石輸送に就航しています。

ヴァーレ・ブラジルは載貨重量402347tで、ノルウェーのベルゲ・スタールを抜いて世界一となりました。

ばら積み貨物船での貨物の積み込み・積み下ろしの作業はクレーンや重機を用いて行われ、積み込む貨物によって方法がまったく違ってくることから、難しく、危険を伴う作業であり、大型のものでは120時間以上かかることもあります。

ヴァーレ社は現在、大宇造船海洋で6隻、中国の熔盛重工で12隻の同型艦を建造中で、さらに16隻の追加も予定しています。

世界最大の航空母艦 原子力空母エンタープライズ

引用:http://nighthawk.o.oo7.jp

エンタープライズ(CVAN/CVN-65)は全長336mを誇る世界最大の空母にして、アメリカが開発した世界初の原子力空母であり、アメリカ海軍における戦闘艦艇として最長の就役年数をもつ艦です。

英語で「冒険」を意味するエンタープライズはアメリカ人のフロンティアスピリットと親和性が高い言葉のためか、多くのアメリカ艦艇がその名を冠しており、原子力空母エンタープライズはこの名前をもつ艦としては8隻目になります。

太平洋戦争で活躍した先代の空母エンタープライズと同じく、「ビッグE」の愛称で親しまれました。

艦種分類番号は当初「CVA(N)」(Nは原子力の意)とされましたが、のちにCVN-65と改められました。

エンタープライズは1960年9月にバージニア州ニューポート・ニューズ造船所で進水し、1961年11月から就役、同じバージニア州のノーフォーク海軍基地を母港としていました。

エンタープライズは基準排水75700tで乗員4600名、ウェスティングハウス製A2W加圧水型原子炉を8基搭載し、最大速力は33.6ノットです。

搭載機数は84機で、兵装としてはファランクスCIWS、シースパロー艦対空ミサイル、RAM艦対空ミサイル連装発射装置などを備えています。

就役したエンタープライズは1964年から世界初の原子力推進艦による戦闘部隊である第1原子力機動部隊に所属し、シー・オービット作戦と称して機動部隊の原子力巡洋艦やフリゲートとともに燃料無補給での世界一周航海を達成します。

1965年から第7艦隊の所属としてベトナム戦争に従軍、実戦に参加した最初の原子力艦となり、「ヤンキー・ステーション」と呼ばれた海域で遊弋し、北ベトナムに対する北爆の拠点となりました。

1968年には長崎県の佐世保にも入港し、このときは激しい抗議活動も起こりました。

1998年には砂漠の狐作戦として、70時間にわたり艦載機の空対地ミサイルと爆弾によりイラクの軍事目標を攻撃し、2001年にアメリカで同時多発テロが起こると、アフガニスタンのタリバン軍事施設に対する空爆に従事し、イラク戦争においても航空支援を行っています。

エンタープライズは2015年に次世代空母ジェラルド・R・フォードが就役するまで、現役を続ける予定となっていましたが、2012年アメリカ海軍はこの方針を転換し、エンタープライズの退役を発表しました。

エンタープライズは2012年から使用停止となりましたが、その後も海軍に籍を置き、艦長も配置されていました。

しかし、2017年2月3日、退役式典が行われ、正式に海軍から除籍されました。

半世紀に渡り、アメリカの歴史とともに歩んできたエンタープライズは生まれ故郷であるニューポート・ニューズ造船所に戻り、現在、核燃料の抜き出しと解体作業が行われており、解体工期は2025年とされています。

世界最強&最大の空母ランキング

世界最大の砕氷船 10081型セブモルプーチ

引用:https://jp.rbth.com

砕氷船とは、水面の氷を割りながら進むことのできる船のことであり、北極海や南極海、凍結河川などの航行に使われます。

ロシアはその面積の3分の2を9か月にわたって氷が海面を覆う北極海で占められ、北極沿岸のほぼ半分を有します。

そのため、ロシアは砕氷船の建造に力を入れてきました。

現在、ロシアは世界全体の砕氷船のほぼ半分をもっており、その数は世界第1位の46隻。

2位フィンランドの10隻と比べると、いかに圧倒的な数かがわかります。

北極海は近年の地球温暖化の影響によって海氷が溶け、航路として利用可能となるのではという予測がなされており、ロシアはこれからもさらに砕氷船建造に力を入れていくものとみられます。

ロシア砕氷船の多くは大型船で、世界でロシアだけしかもっていない原子力砕氷船という艦種も含まれています。

10081型セブモルプーチはロシアが保有する7隻の原子力砕氷船のうちの1隻です。

セブモルプーチは砕氷エスコートが専門の単なる砕氷船ではなく、貨物船としての能力ももつ、世界初の原子力砕氷コンテナ船として1988年に竣工しました。

セブモルプーチは排水量61880tで全長260m。

推進装置はKLT-40(135MWで60%の高濃縮ウラン燃料を使用)1基と蒸気タービン4基を組み合わせた一軸スクリュー駆動の推進システム(39000馬力)です。

破砕能力は2ノットの速度で厚さ1mの海氷を割りながら航行可能とされています。

運搬能力は20フィート規格のコンテナで1328個程度とされ、コンテナの代わりに370t級の艀を74隻運搬することもできます。

セブモルプーチは北極海を含む国際航路でのコンテナ輸送業務に従事しているほか、北極海沿岸のシベリア地方への物資輸送では、沿岸の河口に艀を運搬し、河川を遡航してシベリア開発に必要な資材を運んでいます。

原子力商船はセブモルプーチのほかには、これまでアメリカの貨物船サバンナ、西ドイツの鉱石運搬船オットー・ハーン、日本の「むつ」の3隻しか建造されておらず、これらはすべて退役していて、現役で運用されているのはセブモルプーチただ1隻です。

世界最大の帆船 ロイヤル・クリッパー

引用:http://www.mercury-travel.com

ロイヤル・クリッパーはスター・クリッパーズ社の保有する世界最大の5本マスト横帆擬装船です。

ロイヤル・クリッパーは20世紀初頭に竣工したプロイセン号に着想を得て建造されました。

プロイセン号は1902年、ドイツのF・ライツ社によって建造された世界最大にして初めての全装帆・5本マスト帆船です。

プロイセン号はドイツ~チリ間の硝石貿易に従事し、世界最速記録を打ち立て、その優美な船体から「海の女王」または「女王の中の女王」とまで呼ばれました。

しかし、1910年11月、ニューヘブン沖で、プロイセン号の進路を遮って進入し、交差しようとした蒸気船ブライトン号に衝突されて難破、曳航も不可能と判断されてその場に放置され、8年という短い生涯を終えました。

ロイヤル・クリッパーは伝説の海の女王であるプロイセン号をモチーフにポーランドのグダニスク造船所で建造され、全長132.74m、総トン数4425t、乗客定員228人で、5本のマストに42枚(5200㎡)もの帆を有する、まさに女王の名にふさわしい帆船です。

ロイヤル・クリッパーは2001年、世界最大の5本マスト帆船としてギネスブックにも認定されています。

現代の帆船はエンジンをもっていて、ロイヤル・クリッパーもキャタピラー社の3516ディーゼル2基を搭載しており、風がなくとも進むことができます。

船内にはオープンデッキと3つのプールにまたがる1760㎡の広々としたスペースが広がっており、3層のアトリウムから太陽光を採り入れるダイニングルームや、舳先の両側にある隠れバルコニー、スパ、ヘルスクラブ、水中のガラス窓付きキャプテン・ネモ・ラウンジなど多様な施設があり、マストに登って見晴台からの景色を楽しんだり、沖止めのときに海の状況が良ければ、船尾にあるウォーター・スポーツ用のマリナ・プラットフォームから直接海に入ることもできます。

ロイヤル・クリッパーは夏は地中海、冬にはカリブ海でクルーズ用に運航されています。

世界最大の船 ノック・ネヴィス

引用:https://no.ruarrijoseph.com

現在、世界中の船舶のなかで最大のサイズとなるのが、ノルウェー船籍の石油タンカー、ノック・ネヴィスです。

その全長は458.45mで縦にするとエッフェル塔やエンパイア・ステート・ビルより高くなります。

全幅68.8m、総トン数260851t、積貨重量トン数564763tで、甲板の大きさは31,541㎡、46のタンクを備えています。

あまりに大きすぎてイギリス海峡(グレートブリテン島とフランスを隔てる海峡)を通航することができなかったといいます。

ノック・ネヴィスは1979年代、日本の住友重機械追浜造船所(現在の横須賀製作所)で建造されました。

当時は日本の造船業が花盛りだった時代で、世界中で建造される船の約半数を日本の造船所が手がけていました。

ノック・ネヴィスはギリシャから発注されたものでしたが、ギアの設計に問題あり、それに伴う振動問題が発生したことから、受け取りを拒絶されてトラブルとなり、調定が成立したものの、未完成のまま中国企業に売却されました。

その後、ノック・ネヴィスはさらに香港の海運王董浩雲の海運会社である東方海外貨櫃航運公司に売却され、日本鋼管津製作所で船体を延長され、このとき世界最大の船となります。

ノック・ネヴィスは当初シーワイズ・ジャイアントと命名されて就航し、中東~アメリカ間の航路で運航されました。

1980年からイラン・イラク戦争がはじまると、ノック・ネヴィスは1986年から海上倉庫および積み替えターミナルとして使用されます。

この頃、イラン・イラク両軍はペルシア湾を運航している相手国のタンカー等の船舶に対する攻撃を行っており、ノック・ネヴィスもこの標的となります。

1988年5月、ホルムズ海峡でイラク空軍機から攻撃を受けたノック・ネヴィスは、エグゾゼ対艦ミサイルが命中し、沈没しました。

幸いにも、船体はブルネイに曳航され。1989年にノルウェーのKS-カンパニーがこれを購入、修理を受けて新しくハッピー・ジャイアントという名前をもらいます。

修理が完了する前に、1991年にKS-カンパニーは同じくノルウェーのヨルゲン・ヤーレによって管理されることとなり、ヤーレ・ヴァイキングと改名されました。

1990年代末に、KS-カンパニーがフレッド・オルセンと彼の会社ファースト・オルセン・タンカーズによって買収され、2004年、ヤーレ・ヴァイキングはノック・ネヴィスと3度目の改名を受けます。

その後、ノック・ネヴィスはペルシャ湾のカタール・アル・シャヒーン油田で2004年から海上石油・ガス貯蔵設備(FSO)として使用されました。

4度も名前を変え、波乱万丈の生涯を送ったノック・ネヴィスでしたが、2009年にその役目を終え、2010年には解体されています。

まとめ

以上、世界最大の船についてご紹介しました。

船には実に様々な艦種があると同時に、その第1位の船にもそれぞれのエピソードがありますね。

普段の生活で日常的に船に乗るという人はあまり多くはないと思いますが、この記事で船に興味を持たれた方は、実際に港に足を運んでその姿を見てみたり、船での旅を計画してみてはいかがでしょうか。

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