冬の寒いとき、夏の暑いときと、辛い食べ物を食べて温まり、汗を流すことが好きと言う人はいるのではないでしょうか。
激辛グルメなども最近は人気で、怖いもの見たさで挑戦することもあるかと思います。
実は辛さは辛さを感じなくなるまで砂糖水で薄めたときの希釈した倍率であるスコヴィル値と呼ばれる数値で表すことができます。
例えば10倍の砂糖水で希釈したときに辛さを感じなくなったら10スコヴィルといった要領です。
今回はこのスコヴィル値を用いて世界で一番辛い食べ物をご紹介したいと思います。
ちなみに有名な激辛お菓子の名前にも使われる唐辛子「ハバネロ」は30万スコヴィルだと言われています。
参考にしながらご覧ください。
10位 ブート・ジョロキア(100万スコヴィル)
引用元:https://ja.chili2mag.com/
ブート・ジョロキアは北インドやバングラデシュで作られる、唐辛子の品種のひとつです。
2007年に世界一辛い唐辛子としてギネス記録に載りましたが、現在では覆されています。
ブート・ジョロキアという名前は原産地で使われるアッサム語で「チベット人(ブータン人)の唐辛子」を意味します。
しかしアッサム語では「チベット人」と「幽霊」を表す語がとてもよく似ていることから、しばしば「幽霊の唐辛子」とも表現されます。
またブート・ジョロキアは非常に呼び名が多く、ブート・ジョロキアのほかにも「幽霊の唐辛子」を英訳したゴースト・ペッパーやゴースト・チリ、さらにナーガ(蛇)をモチーフとしたナーガ・・ジョロキア、ナーガ・ペッパー、コブラ・チリなどといったバリエーションがあります。
ほかにもインドではボルビフ・ジョロキア(猛毒唐辛子)やラージャー・ミルチャー(唐辛子の王様)など様々な呼ばれ方をしています。
ブート・ジョロキアは生育環境によって辛さが大きく変化し、過酷な環境で育ったものほど辛くなる傾向があります。
東ハトが提供する激辛スナック「大魔王ジョロキア」に使用されており、このときには「バフット・ジョロキア」と呼ばれていました(「バフット」とはヒンディー語で「とても」と言う意味)。
9位 ウルトラデスソース(117万スコヴィル)
引用元:https://extremespice.shopselect.net/
ウルトラデスソースはアメリカに本社を置くガードナー・リソーシーズ社が提供する、ブレアと呼ばれるシリーズのホットソースひとつです。
このシリーズにはデスソースやサドンデスソースなどの激辛ホットソースが名を連ねています。
ウルトラデスソースは日本国内では販売しておらず、購入には個別で輸入する必要があります。
このウルトラデスソースはブレアシリーズに限らず、すべてのシリーズでドクロのキーホルダーがついてきます。
これはデスソースを食べた人が心臓発作を起こして亡くなった事件を起こしたためだそうです。
現在ではYouTuberと呼ばれる人などがエンターテイメントとしてデスソースシリーズを一気飲みするなどの行為に及んでいるようですが、そのような事件もあったことから非常に危険であり、絶対に真似をしてはいけません。
8位 ナーガ・ヴァイパー(138万スコヴィル)
引用元:https://blogs.yahoo.co.jp/
ナーガ・ヴァイパーは、ナーガ・モリッチ、ブート・ジョロキア、トリニダード・スコーピオンを配合して作った唐辛子です。
2011年には世界一辛い唐辛子としてギネス記録になりましたが、すぐに更新されています。
人工的に作られたものであり、まだ繁殖には至っていないようです。
7位 トリニダード・モルガ・スコーピオン(150万スコヴィル)
引用元:https://item.rakuten.co.jp/
トリニダード・モルガ・スコーピオンはトリニダード・スコーピオンと呼ばれるトリニダード・トバゴ産の唐辛子の品種のひとつです。
トリニダード・スコーピオンという名前は唐辛子の先端部分がサソリの尾の先端のように見えることから名付けられました。
トリニダード・モルガ・スコーピオンはおよそ200万スコヴィルを出したという記録も残っているようです。
トリニダード・スコーピオンという品種にはほかにもトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーという激辛の唐辛子が存在しています。
6位 ドーセット・ナガ(160万スコヴィル)
引用元:https://azuminogoy.exblog.jp/
ドーセット・ナガはバングラデシュ産のブート・ジョロキアをイギリスのドーセットという土地で育てたものです。
そのためインド産のブート・ジョロキアと同種か異種かで論争が起きています。
もともとはロンドンのレストランで世界一辛いカレーを作るために輸入されたそうです。
5位 キャロライナリーパー(220万スコヴィル)
引用元:https://gigazine.net/
「カロライナの死神」と名付けられたこの唐辛子は正式な名前をHP22Bという、シネンセ種という唐辛子の品種のひとつです。
アメリカのサウスキャロライナ州フォートミルにあるパッカーバッド・ペッパー・カンパニーの経営者「スモーキー」エド・カリーがゴースト・ペッパー(ブート・ジョロキア)とレッド・ハバネロを交配することで開発しました。
先端が鎌のように曲がっていることから「リーパー(大きな鎌を持った死神)」と名付けられ、2013年に世界一辛い唐辛子としてギネス記録になっています。
2014年にニューヨークで行われたニューヨークシティ・ホットソース・エキスポではラッセン・トッドという男性が12.33秒で3つのキャロライナリーパーを食べてギネス記録に載りました。
しかしトッドは食べた後に、可逆性脳血管攣縮症候群(雷鳴頭痛)という病気に見舞われてしまいます。
これは脳の血管が急激に収縮することで起こる病で、トッドは食べた直後に吐き気を覚え、その後首の痛みや断続的な頭痛に悩まされていました。
雷鳴頭痛は明確な原因のある病気ではありませんが、薬や違法ドラッグの副作用として発生する場合が多く香辛料を摂取したことで発生する例はとても稀です。
しかし過去にはカイエンペッパーを食べることで発症した例があり、度を越して辛いものを食べることが雷鳴頭痛発症のリスクとなる可能性が提唱されています。
4位 ドラゴン・ブレス・チリ(240万スコヴィル)
引用元:https://tenki.jp/
「ドラゴンの吐息」を意味するこの唐辛子は、イギリス・ウェールズで開発されました。
ドラゴン・ブレス・チリを食べた人は、まさにドラゴンの吐息を浴びたように舌や喉が焼け、話すことや呼吸が困難になると言われています。
最悪アナフィラキシーショックのような激しいショック症状を引き落とし、命を落とす可能性もあります。
そのため食用には向きませんが、その強烈な刺激を活かしてトウガラシスプレーに使われるほか麻酔薬としての活用法が研究されています。
アレルギー症状を持った人や発展途上国でドラゴン・ブレス・チリで作った麻酔薬を使えればより安全に医療行為をすることが可能になります。
3位 ペッパー・X(310万スコヴィル)
引用元:https://buzzap.jp/
おそらく2018年現在世界で一番辛い唐辛子がこのペッパー・Xです。
開発したのはあのキャロライナリーパーを作ったパッカーバッド・ペッパー・カンパニーの経営者「スモーキン」エド・カリーです。
もちろんこのペッパー・Xも直接食べることはできません。
それどころか身体のどこに触れても刺激のために火傷と似たような状態になってしまうと言います。
そのためおよそ240万スコヴィルに抑えたホットソース「The Last Dub」の材料として使用されています。
The Last Dubはペッパー・Xのほかコリアンダーやショウガ、クミンなどを使用しており、恐ろしい辛さの中に豊かな風味を持っています。
1本およそ2000円という価格で発売されたThe Last Dubは販売開始から2分で用意していた1000本が完売してしまい、次の発売はペッパー・Xの生育待ちという状態が続いているそうです。
2位 ザ・ソース(710万スコヴィル)
引用元:https://www.lgrcoutlet.xyz/
ザ・ソースは通常販売しているものの中で一番辛いホットソースです。
ソースと言うのは一般的な「Sause」ではなく「源、源泉」を意味する「source」と書きます。
材料にカプサイシンの抽出物を濃縮して使用することで、「辛さの源」という名前に恥じない、大さじ1杯が致死量に達する程の辛さとなりました。
通常使用には耳かきですくう程度で充分であり、以前「奇跡体験アンビリバボー」で小さじ1杯のザ・ソースを使った炒め物をゲストが食べた際には、キャベツ一切れで断念してしまったそうです。
また北海道のローカル番組「ハナタレナックス」ではザ・ソースを使ったカレーを出演者2人が食べたのですが、ひとりは一口食べた瞬間に暴れ出し、もうひとりは理性が崩壊したかのように口から唾液を垂れ流し続けるという恐ろしい結果となりました。
このほかにもザ・ソースは加えたフライパンから出る湯気が催涙ガスになる、ザ・ソースを加えた調理器具を洗うだけで皮膚がただれて剥がれる、ザ・ソースを使った料理を4口食べた人が胃の痙攣で病院へ行く、といった恐ろしい逸話が残されています。
そのためザ・ソースを購入するには「21歳以上であること」、「ソースの使用で内臓や身体に危害が及ぶ可能性を承知すること」、「ソースを直接飲んだり肌につけないこと」、「知り合いに紹介するときにはこのソースの恐ろしさを充分伝えること」、「このソースが原因となった被害で製造元に訴訟を起こさないこと」という内容の同意書を書く必要があります。
1位 ブレアズ16ミリオンリザーブ(1600万スコヴィル)
引用元:https://www.maxcady.com/
ブレアズ16ミリオンリザーブはデスソースやウルトラデスソースを販売するガードナー・リソーシーズ社が999個限りで販売した辛い「もの」です。
1ml入りの小瓶に収められたその正体は純粋なカプサイシンの結晶であり、1600万スコヴィルという数値はカプサイシンそのものの辛さということになります。
ガードナー・リソーシーズ社も「決して食するものではない」と明言しており、瓶の開封には手袋とゴーグルが必須です。
ブレアズ16ミリオンリザーブ自体は毒物ではなく、スープに入れてもほんの小指の先ほどで食べられる辛さでなくなるだけです。
ですが直接舐めると死に至る可能性があると言われています。
現在ブレアズ16ミリオンリザーブはコレクションアイテムとして扱われており、一時期は30万円を超えていましたが現在はもう少し価格が落ち着いているそうです。
番外 レシニフェラトキシン(160億スコヴィル)
引用元:https://kamiyoumar.exblog.jp/
この記事では主にカプサイシンを用いた、食べられる程度の辛いものを紹介してきました。
しかし辛み成分というのは別にカプサイシンに限られたものではありません。
Euphorbia resinifera(ハッカクキリン)と呼ばれるサボテンの乳液から抽出できるレシニフェラトキシンは自然界に存在するものの中では最も辛く、そのスコヴィル値は天文学的とも言っていい160億スコヴィルという数値となっています。
そのため味見程度に舐めるだけで致死量に達してしまう、食べることのできない辛いものです。
辛さは痛覚というように、辛いものは痛覚の受容器を刺激し炎症を引き起こすのですが、それに伴って鎮痛作用が働くためレシニフェラトキシンを用いた鎮痛剤開発が研究されていると言われています。
まとめ
この記事では世界一辛い食べ物トップ10を紹介しました。
何百万スコヴィルという数値は正直想像を絶するものであり、実際に食べる際にはほんの少ししか使われません。
もし想像を絶する世界を経験したいと思っても、まったくおすすめはできません。
あなたがたとえどれほど辛さに耐性を持っていたとしても、極端に辛い食べ物それ自体が身体に害を及ぼす可能性があるためです。
やはり何事も常識的な範囲で楽しむのが一番、ということです。
適度に辛いものは発汗作用や食欲増進作用などがあるため、生活にぜひ役立ててください。