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史上最悪の伝染病(パンデミック)ランキング

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抗生物質、ワクチン、抗ウイルス薬といった医療の進歩で、天然痘の根絶を果たした20世紀。人類と伝染病との戦いに光明が見られたともされましたが、ウィルスや細菌はより強い耐性を持つように進化し、新型や変異株のウイルスが多数登場するようになりました。

この記事では、現在世界での存在が確認される多数の伝染病の中から、感染力、致死率、被害者の数や治療の難しさといった面から最も悪質と考えられる10個をランキング形式で紹介していきます。

 

10位 B型肝炎

引用:https://leadership.ng/

B型肝炎はB型肝炎ウィルス・HBVが引き起こす肝臓病の一種で、細胞のひとつひとつに入り込んで肝硬変や肺癌を引き起こします。HBVの恐ろしいところは、遺伝子の変化した変異株が発生していることで、この新種に感染した場合は病気の進行が早まり、致死率が格段に上がるとされています。

この変異株が原因の悲劇が、1994年に東京の診療所で起きました。内容は人工透析のために新宿区にある診療所に通う患者4人が死亡し、死因は全てB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎というもの。ウイルスである以上感染ルートが存在するはずですが、東京都による調査の結果、どのように患者内で感染が拡大したか特定ができなかったのです。

この劇症肝炎症は日本国内だけでも毎年4000人が発病しているとも言われており、その90%がウイルス性のものと推測されています。

もうひとつHBVの恐ろしいところとして挙げられるのが、感染者の自覚症状の無さです。HBVは血管を通って肝臓細胞に入り込み、肝臓に到達すると感染者の染色体にDNA分子を組み込んできます。このレベルでの感染になってしまうと、除去することは不可能であり、HBVは染色体の遺伝子を攻撃し続けることができるのです。

そして、傷ついた遺伝子が元で異常な細胞増殖が起きた場合には癌が発生します。これは感染者の自己免疫が正常に働いた結果として起こることであるうえに、肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれる程、異常が起きても症状が現れないために感染初期の段階では自覚症状がほとんど無いのです。

 

9位 エイズ(後天性免疫不全症候群)

引用:http://www.whatabouthiv.org/

国連エイズ合同計画の発表によると、米国で初めてエイズの症例が確認された1981年から20年の間に5800万人がHIVに感染し、2200万人が命を落としたとされています。

2000年代に入ってからは感染者の増加は緩やかになったものの、特にアフリカの8ヶ国は全世界のHIV感染者の7割を占めると言われる程、感染者数が多く、一時期は15歳以上の青少年のうちの1/3がエイズによって死亡する可能性があるとも示唆されていた程です。

HIVはレトロウィルスと呼ばれるものの一種でRNAというタイプの分子を遺伝子と、逆転写酵素という酵素を持ちます。

逆転写酵素にはRNAの遺伝子情報をDNAに移し替える働きがあり、RNAにはDNAのように遺伝子の増幅過程で異変が起きた場合に校正しようとする仕組みがないために、様々な変異株を産み出していきます。

このような作用があるHIVウイルスの一番の標的となるのは免疫を司るリンパ球であり、この中に大量のRNAのコピーをばら撒くことで正常なリンパ球が破壊され枯渇し、免疫機能が働かなくなるのです。その結果、様々な感染症に罹り、死に至るとされています。

2008年にはHIVを防ぐ薬も開発され、既に感染をしている患者には複数の抗HIV剤を組み合わせて処方することで、ウイルスの増加を抑える成果を上げています。

しかしこの療法は高額になりやすいため貧困国であるサハラ以南では治療が定着せず、国連エイズ合同計画では2020年までにエイズの新規感染者と死亡者をそれぞれ50万人以下に抑えることを目標としていましたが、これは実現不可能と判断し、2018年現在では2030年のエイズ流行終結を目標に設定しています。

 

8位 クリミア・コンゴ出血熱

引用:https://www.presstv.com/

クリミア・コンゴ出血熱は、発熱、頭痛、腹痛や強い背中の痛みと言った初期症状から始まり、感染後10日ほどで全身のあらゆる場所から出血が見られるようになります。

消化器官に溜まった血液は肛門から流れ、吐血し、出血性皮疹が見られるようになり、エボラ出血熱によく似た臨床症状であるとされます。最終的には失血から血圧が急激に低下してショック症状を起こし、肺浮腫を起こして呼吸困難になることで死に至る恐ろしい病です。

クリミア・コンゴ出血熱ウイルスを媒介するのはダニで、これまで20種類以上が媒介ダニと確認されており、これらは西クリミアからブルガリア、中東、西アジア、中南部アフリカの広い地域に分布が見られます。

現在はこの媒介ダニが生息する地域でのみ発症が確認されていますが、渡り鳥にダニが寄生していた場合など、いつ日本国内で感染例が報告されてもおかしくありません。

こういったことから極めて危険性の高い感染症として、日本の新感染症法ではエボラ出血熱やペストと並んで1類感染症に指定されています。

 

7位 マールブルグ病

引用:https://observer.ug/

マールブルグ病はエボラ出血熱の弟分とも呼ばれる病気で、エボラウイルスと同じフィロウィルスの一種が原因で発症します。

致死率が25%とエボラ出血熱に比べて低いために弟分扱いをされていますが、通常の病気からすればこれも充分に高い数値です。

初期症状は高熱や筋肉痛と言った風邪のようなものであるものの、感染から1週間以内に全身の皮膚が発赤して、激痛を感じるようになります。そのうちに下痢が起こり、吐血、全身の皮が剥け始めて、出血が止まらなくなり死に至るという恐ろしい病気です。

1967年に北ドイツのマールブルグで初めてこの病が確認された際には、31人が発症をし、そのうち7人もが死に至りました。

このウイルスを媒介していたのは猿であることが判明したため、製薬研究や医学研究、また愛玩目的で猿をアフリカやアジアから輸入される際には厳しい検疫体制が求められるようになりましたが、現実的には水際で感染している猿を識別するのは不可能とされています。

また、発病者に続いて家族や関わった医療スタッフなどが連鎖的に感染しているため、感染力も強いと考えられていますが、発症例が少ないために本当の宿主や詳しい生態が分らず、治療法も確立されていません。

 

6位 ラッサ熱

引用:http://www.aitonline.tv/

ラッサ熱の最初の感染例が確認されたのは1969年のナイジェリアのラッサで、キリスト教会病院で働くシスターの1人が喉の奥に痛みを感じ、高熱を出したのが始まりでした。

勤務先の病院に入院したシスターの腕には、ほどなくして赤黒い出血斑が見られ、急性腎不全を起こして飲食が行えなくなり、異常な白血球の増加が見られるようになりました。

その後に激しい呼吸困難からショック症状を起こして命を落としたのですが、この間に3人の看護師がラッサ熱に感染し、2人が同じく死亡したとされます。

後の研究により、この病気の感染源はマストミスというネズミの一種であることがわかり、このネズミが持つアレナウイルス科の新発見のウイルスが原因であることが判明しました。

ウイルスは宿主のネズミの排泄物に汚染されたものと接触することで広がり、感染力、発症率がともに高いのがラッサ熱の特徴です。アメリカの疾病管理センターでは年間に3万~5万人の感染者がいると推計されており、患者の多くは西アフリカで見られます。

日本でも1987年に横浜に住む男性がラッサ熱に感染していることが分かり、一命は取り留めたものの大きな話題となりました。

この男性も西アフリカのシエラレオネから帰国した後に感染が認められたことから、日本ではラッサ熱を1類感染症として、主にアフリカからやってくる積み荷に対してネズミの侵入がないか厳しいチェックがなされるようになりました。

 

5位 デング出血熱

デング出血熱は、東南アジアと中南米で少なくとも70万人を超す感染者と2万人を超える死者を出した病気で、ネッタイシマカという蚊がデングウイルスを媒介することで、1990年代に爆発的な流行を見せました。

ネッタイシマカは他にも黄熱やデング熱といった病気も媒介することで知られ、特にデング熱は1779年~80年にかけてアジア、アフリカ、北アメリカと海をまたいでの大流行がありました。

その後もネッタイシマカによるデング熱の流行は定期的に見られたものの、ほぼ確実に治る病気であるために、それ程恐れられることもなかったとされています。しかし第二次世界大戦後の東南アジアで、デング熱感染者の中から大量の出血を伴ってショック死を起こす患者が増え始めました。

デング出血熱と名付けられた、この未知の病はたちまちアジアからアメリカ大陸へと感染を広げていき、特に抵抗力の未熟な子供が多く犠牲になりました。

ネッタイシマカに刺されてデングウイルスに初回の感染をした場合はデング熱を発症し、次に刺されて2度目の感染をした場合にはデング出血熱を発症すると考えられていますが、このメカニズムはまだ解明されていません。

2018年現在デングウイルスには認可されたワクチンが存在せず、デング熱、デング出血熱の対策としては、ウイルスを媒介するネッタイシマカを駆除することが最も効果的であるとされています。しかしこの蚊が生息している国では、経済的な事情などから充分な対策が打てていないのが現状です。

 

4位 SARS、MERS

2002年に、人から人へ感染する未知のウイルスが突然現れ、中国広東省から香港、ベトナム、カナダと瞬く間に全国に広がっていきました。

このウイルスに感染した患者には急に38℃以上の高熱を出し、肺炎を発症。患者の治療にあたった医師や看護師といった治療スタッフの他に、2003年には香港の高層マンション・アモイガーデンでは約300人もの集団感染が発生し、同年4月にはWHOにより中国や香港への渡航を延期する異例の勧告が出されました。

この疾患はWHOによってSARS(重症急性呼吸器症候群)と名付けられ、原因は新型のコロナウイルスであることが判明。従来コロナウイルスに感染した場合は重症化が確認されないのですが、SARSを引き起こす新型のコロナウイルスはHIV同様にRNA型の遺伝子を持ち、正常な細胞に自分をコピーすることで体内環境を破壊していくことが確認されました。

SARSは2003年7月に制圧宣言がされましたが、最初の患者が確認されてから10ヶ月足らずの間に感染者は8098人、死者は774人にも達したとされます。

更に2012年には中東でSARSウイルスによく似た新種のコロナウイルが発生し、最初の感染者であったサウジアラビア在住の男性は、同年の6月の13日に発症が確認され、6月の24日には亡くなりました。

その後も感染者は増え続け、2014年までに中東での感染者は894人、死者は355人にも上りました。2015年5月にはバーレーンに滞在した男性がMERSウイルスを持ち込んだことで韓国でも感染が広まり、僅か2ヶ月の間に186名の感染者と36名の死者を出したとされます。

MERSコロナイウルスの感染源はラクダである可能性が示唆されていますが、確定はされていません。

 

3位 H5N1亜型インフルエンザ

引用:https://www.slideshare.net/

H5N1亜型インフルエンザ、通称鳥インフルエンザの人への感染が初めて確認されたのは、2004年の1月のベトナムでのことです。

その後、タイ、カンボジア、インドネシア、中国、エジプトと感染が広まり、2014年までに症例数はは676例、そのうち398例で死亡が確認され、致死率は60%と非常に高いことが特徴です。

これまで感染が報告された例では、看病のために患者と濃厚に接触があった場合などを除き、人から人への感染は見られず、H5N1型ウイルスに感染した鳥との接触が原因で感染するケースが多いため、日本国内では鳥インフルエンザへの感染が確認された鶏のいる養鶏場で大規模な殺処分と消毒を行うという対策で、感染を防いできました。

しかし2005年10月には当時のWHO事務局長が更なる脅威となる新型インフルエンザウイルスはいつ発生してもおかしくない、との発言もしており、インフルエンザウイルスの変異しやすい構造と、変異した新型インフルエンザに対して免疫を持つ人は少ないため、大流行しやすいことを危惧しての発言であると考えられています。

2位 肺炭疽

引用:https://www.propublica.org/article/new-evidence-disputes-case-against-bruce-e-ivins

炭疽菌は古くから家畜伝染病として、獣医学や畜産学の現場で研究をされてきた菌である一方、生物兵器としての研究がされてきたという隠れた側面を持つ細菌です。

この菌の恐ろしさが広く知られるきっかけとなったのが、2001年の9月と10月に渡って炭疽菌の白い粉の入った封筒を報道機関や司法局に送るというテロ事件で、手紙の中継をした郵便局員や一般市民が犠牲となりました。

炭疽菌は土壌に存在し、感染した動物の糞尿や肉を介して人間に感染しますが、人から人への感染は確認されていません。しかし生命力と増殖力が非常に強い細菌であり、環境の変化に応じて芽胞という胞子を形成することがあり、この芽胞状態に加工した炭疽菌が生物兵器として猛威を振るうとされています。

そして芽胞を吸い込んだ場合に起こる症状として確認がされているのが、肺炭疽です。

吸入した芽胞は肺のリンパ節で増殖し、毒素の作用で肺に水が溜まる肺、浮腫を引き起こします。続いて進行性の呼吸困難が起きて、感染から僅か1日~2日でショック症状を起こして命を落とすのです。

致死率は90%~100%と極めて高く、特に局地的なバイオテロに使われた場合は最高クラスの効果を上げると考えられています。

ペニシリン系やテトラサイクリン系の抗生物質での治療が有効とされていますが、肺炭疽は進行が非常に速いために、対処が遅れることが非常に多いことも特徴です。

 

1位 エボラ出血熱

引用:http://www.mlscuracao.com/

1976年6月、スーダンの綿工場で働いていた男性が突然の発熱、頭痛、鼻口腔や消化管からの出血を起こして急逝するという事件が発生。この患者が感染源とみられる284人の発病者が確認され、そのうち151人もが死亡するという非常事態が起こりました。

原因は全く存在が知られていなかったウイルスで、最初の感染者の出身地付近を流れる川に因んでエボラウイルス、これにより引き起こされる症状はエボラ出血熱と名付けられました。

初回の発症以降、アフリカ大陸を中心として20回以上の突発的な感染が確認されており、中でも2013年~2016年にギニア、リベリア、シエラレオネで見られた流行では症例数は28,616例、死亡者は11,310例と過去最大のものとなりました。

感染は血液や体液を介してのみで、空気感染は起こらないものの致死率が90%を超えることもあることから、エボラウイルスは“最も危険な病原体(レベル4)”にランクされています。

2018年現在、エボラウイルスの流行地で治療行為や除染活動を行う人々へ向けて“rVSV-ZEBOV”というワクチンの接種が開始され、効果が期待されており、更に同年、8月15日の段階でコンゴ民主共和国で死亡者数が44名という流行が見られており、医療従事者や一部住民へのワクチン接種が開始されています。

 

まとめ

2018年現在、最悪の伝染病のひとつと恐れられてきたエボラ出血熱へのウイルス投与が開始されたことで、人間と伝染病との戦いにひとつの決着が着くことが期待されています。

その反面、炭疽菌は個人でも使えるうえに核兵器なみの破壊力を持つことなどから人為的に広げられる殺人病原体として非常に警戒をされており、これは環境の良さ等から感染症などのパンデミックが起こりにくい日本でも無縁とは言えません。

デング熱ウイルスやコレラ菌といった既存の殺人病原体に加工を加えたキメラを作ることで、強力な生物兵器を作ることも理論上は可能と考えられており、21世紀はバイオテロの時代とも恐れられています。




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