世界にはたくさんの甲殻類が住んでいますが、日本人に最も愛されている甲殻類はカニではないでしょうか?
大きなハサミに可愛らしい甲羅、そして横に歩くというユニークな行動に、身近な存在であるという親近感……。
もちろん、高級食材としての魅力もカニは持っています。
味としても、水産物経済の重要な商品としても。
カニの肉だけでなく、甲羅にも多くの利用価値があり、我々人類の偉大な食料として貢献してくれているのです。
今回は、そんな魅力と好奇心に惹かれるカニたちのなかでも、大きさという視点からランキング形式に紹介していきます。
8位 毛ガニ 甲羅幅12センチ 1.2キログラム
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まるで茹で上がってしまったような色合いをしている毛ガニは、最大で甲長120ミリメートルに達する、大型のカニです。
特徴のひとつに名前の由来となる、無数の毛のようなトゲトゲが甲羅に生えています。
不用意な持ち方をすると、指に刺さって傷を追うほどの鋭さがあるので注意が必要です。
水深30から200メートルほどの砂泥底で暮らしているカニであり、肉食性のカニです。
カニの食性はハサミから想像することが可能です。
太く力強さがあるハサミは、貝や甲殻類を潰すことが多い種と推測することが出来ます。
毛ガニの太いハサミはそのためにあり、腕の短さは手前にある獲物を主として狙うことの証になるのです。
主なエサは貝類や、ゴカイなどの多毛類、小魚、そして甲殻類などの、底生生物たちのことを食べています。
日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸からアラスカ沿岸まで、太平洋北西部とその縁海に広く分布しています。
毛ガニのオスは1年にずつ脱皮をしますが、メスは2~3年に一度しか脱皮することがありません。
メスは産卵後しか脱皮をすることが出来ないため、オスよりも成長が遅れてしまいます。
そのため、毛ガニは繁殖力が低く、乱獲に対しては脆弱な種のカニとされていまるのです。
ズワイガニやタラバガニに比べると、体こそ小さくて、当然ながら可食部も少ないのですが、食味に大変優れ身に甘みがあり、カニミソの量が多いのも特徴です。
カニミソとは、カニの肝臓(より正確には肝臓とすい臓の合わさった中腸腺)のことを言います。カニが何を食べているかにより、色合いが変わります。
7位 シャセオン・フェネリ/ゴールデン・ディーブ・シー・クラブ 甲羅幅20センチ、2.0キログラム
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ゴールデン・ディーブ・シー・クラブの甲羅の大きさは最大で20センチほど、最大体重は2.0キログラムです。
メキシコ湾周辺の、熱帯大西洋の200から1,500メートルの深さに生息しているようですが、詳しいことは分かっていません。
軟体動物やゴカイなどの低生生物などを食べていると考えられています。
泳ぐことの出来ないカニとされています……その他のことはあまりよく分かっていません。
このゴールデン・ディーブ・シー・クラブの仲間に、ディープシーレッドクラブがいます。
ディープシーレッドクラブは、南アフリカのケープタウン沖、深海600から1,000mに生息する大変貴重なカニです。
料理すると、とても美味しいカニらしく、身が柔らかくジューシーとされています。
日本国内でも数件のレストランで食べられるとか……?
漁獲される個体の中には、甲羅が20センチよりも大きくなる個体も混ざっているようですが、くわしい生態は不明です。
6位アミメノコギリガザミ/マッドクラブ 甲羅幅24センチ、3.5キログラム
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胴体のサイズが最大横幅が最大で24センチ、重量が3.5キログラムまで大きくなるのがアミメノコギリガザミ(マッドクラブ)です。
生息地は広大な種であり、南アフリカからインド洋沿岸からマレー諸島まで、日本南部からオーストラリア南東部、ニュージーランド北部、そしてフィジーとサモアまでの東部に分布しています。
大きなサイズと味の良さから、古くから水産資源として活用されて来ました。
ハワイにも持ち込まれて増えていますが、乱獲防止と個体数維持のために、すべてのサイズでメスのアミメノコギリガザミを捕獲することは、法律で禁じられています。
アミメノコギリガザミは、マングローブ林の根本などを好み、干潮時に捕らえられることが多いカニです。
マッドクラブ……泥カニの名前の通り、泥にまみれて生息しています。
アミメノコギリガザミは、基本的に共食いを行うカニであり、脱皮したばかりのアミメノコギリガザミを見つけると、すぐさま襲いかかり、むさぼり食うことも多々、目撃されています。
同時に繁殖力も強い種でもあり、一度の産卵により、100万の卵を放出する繁殖方法を持っています。養殖の需要も高く、ヒトの手による繁殖もそれなりに簡易な経済動物なのです。
……ですが、上記の共食いを好む行動をしているため、脱皮した直後は養殖場では共食いのラッシュが発生してしまい、個体数を大きく減らしてしまうことがあります。
しかし、一般的には頑丈な種であり、淘汰圧をはね除けて自然界で上位の捕食者としてポジショニングしています。
強い雑食性も彼らの生存を指示することにつながっており、彼らは魚介の肉片はおろか野菜の切り身すらも食べてしまうのです。
海水と淡水の混じった汽水域にも生息することから、ほぼあらゆる水質に対して適応することも可能とされています。
どう猛さ、個体の大きさ、生息範囲の広さに何でも食べる雑食性……淘汰圧に対して、頑丈な能力を持っている種ですね。
アミメノコギリガザミはサイズによって生態がやや異なっており、100~149ミリメートルの個体では、満ち潮のときに摂食活動をして、150ミリメートル以上の個体は、干潮時に摂食活動を行います。
亜成体は、波に隠れるようにして行動して、成体は海水から出て活動することを好むようです。
両者は遭遇することを避けているようですね、遭遇すれば、亜成体は捕食されてしまう危険性があるからかもしれません。
アミメノコギリガザミは貪欲でアクティブなハンターであるようです。
タフなために、飼育も難しくはありませんが、成長すれば大きな水槽が必要となってしまいます。
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こんなサイズもいますので、マングローブ林にお出掛けの際はお気をつけください。
5位 ズワイガニ(マツバガニ) 甲羅幅17センチ、脚を広げると70センチ
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ズワイガニは多くの名前を持っているカニです。
古くから日本各地で水揚げされており、そのため各地での呼び名が経済的な流通と共に広がっています。
ブランド戦略を用いるために、特別な呼称を維持して商品価値を高めようという商業的な理由も多く反映されていると言えるでしょう。
オスは、マツバガニ、エチゼンガニ、ヨシガニ、タイザガニなどと呼ばれています。
メスは、メスガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコガニ、クロコガニなどと呼ばれています。
名前がいくつあっても、全ては同じ生物のことを指しているわけです。
もちろん同種の遺伝子を持っているため、同じような味ではありますが、カニは漁獲からしめられるまでの時間に比例して肉を消耗していきます……味を求める方は、漁獲地で食べられるのが一番です、高い金を払うと、良質なものに巡り会える可能性も増えます。
カニの経済動物性を見せつけてくれる種でもありますね。
さて、オスとメスとで大きさと、メスが半分ほどのサイズしかないために、同じ種でありながら、それぞれに別名を冠するようになりましたが。
このカニは大きなものほど商品価値が高いため、オスの方が高値で取引されています。
山口県以東の日本海と、茨城県以東から、果てはカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海なとに広く分布していますが、日本国内で取れる個体は、やけに脚が長い傾向があるため、亜種として分類すべきではないかともされています。
正確な遺伝子調査などを行うと、亜種として確立する可能性もありますが、商業的な理由からブランド名が消えることにはつながらないでしょう。
水深50から1,200メートルの砂泥底に生息し、とくに好む深度は水深200から600メートルの深さを好み、水温0から3℃の比較的冷たい水域を好むとされているのです。
ズワイガニは雑食性であり、およそなんでも食べます。
ハサミの形状は、まるでピンセットのようですよね?
海底の泥砂に沈んでいる獲物をピックアップするのに適しています。
ズワイガニたちは海底に住む貝やゴカイなどの多毛類のほか、海底に沈んできた魚類や、海洋性哺乳類の死骸なども好んで摂食しているわけです。
このカニは生まれてから親になるまで、おおよそ10年間もかかるとされています。
しかも、彼らの脱皮の回数は決まっており、最終齢となったズワイガニは脱皮をすることなく、それから四年ほど生きるとされているのですが。
寿命など、くわしいことは、よく分かってはいないのです。
交尾後、散乱した卵をメスは抱きかかえて過ごすことになります。
この行動は抱卵と言われる行動で、メスのズワイガニは一年から一年半のあいだ、その卵を抱きかかえて生活することになるのです。
4位ヤシガニ 甲羅幅40センチ、4キログラム
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陸生の甲殻類では最大の生物、それがヤシガニです。甲殻類というか、節足動物のなかでも最大の種ですね。
ちなみに、カニと呼ばれていますが、ヤドカリの一種です。
小さな頃はヤシガニも一般的なヤドカリと同じように巻き貝などの殻に腹部を押し込んで暮らしています。
成体に近づくと、体を入れられるサイズの貝がなくなるため、その腹部を硬質化して守っているのです。
体長は40センチメートルを超え、脚を広げると最大で1メートル以上にもなり、4キログラム以上に成長します。
その名前の通りにヤシの実を食べることもあり、ヤシの木にも登ることが出来ます。
しかし、もっぱらの草食性というわけではなく、雑食性であり、口に入るものなら何でも食べようと試みる貪欲な性質を有しているのです。
腐った果実も、動物の死骸も、カメの卵も、孵化したばかりのカメも追いかけて食べてしまいます。
脱皮中のヤシガニを襲って、共食いすることもあるようです。
2017年には、生きた海鳥の寝込みを襲って、食べてしまう光景が目撃されてもいます。
ヤシガニのハサミの「握力」は、体重の90~80倍近いものになると推測されています。
4キログラムを超えたヤシガニの「握力」は、337キログラム近くになるとされているわけです。
……とんでもない力ですね。海鳥を仕留めることが可能なのにも、納得がいきます。
ライオンの噛む力が、およそ300キログラムという説もあるので、大型のヤシガニのハサミが、いったいどれぐらい危険なのかを考えるには良い指標になるかもしれません。
ヤシガニには不思議な習性もあり、銀食器や鍋などのキラキラと光るものを持ち去ることがあります。
Robber Crab(泥棒蟹)という英名の由来が、その特殊な習性なのです。
かなり長寿な生き物であり、50年は生きると言われています。
日本国内、沖縄において絶滅危惧II類に分類されていますが、乱獲も続いているようです。
3位 タラバガニ 甲羅幅28センチ、12.7キログラム
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北米のタラバガニは、甲羅の幅が最大28センチ、足の長さを含めると1.8メートル、体重が12.7キログラムに達することがあります。
成体は水深30から350メートル程度の砂泥底に生息するが、若い個体は浅海にも生息しているようです。
およそ15年ほどの寿命を持っているとされています。
タラバガニは、ヤシガニと同じようにヤドカリの仲間ですが、昔からカニ扱いされてきたせいで、その通例を尊重することでカニ扱いされています。
食用として珍重されており、大型の個体は値段がはね上がりますが、それに比例して味も甘くて美味しくなるとされています。
タラバガニは肉食性の生物であり、その巨体を維持するために、貪欲な捕食活動を行う傾向を有しているのです。
貝類などの海産物を食害することもありますが、ロシアとノルウェーでは、このタラバガニのせいで漁場が荒らされている場所が存在しています。
すべては1960年代に旧・ソビエト連邦の科学者がバレンツ海に放流し、繁殖させることに成功したことに原因があったのです。
水産資源の確保のためにと、元々、その海域には存在しなかったタラバガニを導入してしまったのでした……。
このタラバガニたちの天敵となる生物が、バレンツ海には存在していなかったことにより、異常な数の繁殖を、タラバガニたちは繰り返していきます。
生息域の拡大はつづき、1980年代後半からは、この外来種であるタラバガニの大群がノルウェー沖でも生息が観察されるようになりました。
莫大な数で増加してしまったタラバガニは、ロシアの領海をはみ出して、ノルウェーの領海に入り込むようになったのです。
ノルウェーの海域でも、天敵がいなかったタラバガニたちは、さらに繁殖をつづけ、貪欲で巨大なタラバガニたちは海底を砂漠のように何も残らないほどの勢いで、あらゆる生物を食いつくしていきました。
タラバガニは驚異的な速度で生息域を拡大していき、その強い侵略性を見せつけたことから、現地では旧・ソビエト連邦時代の国家元首の名にちなんで Stalin crab (スターリンクラブ)という別称さえも与えられているのです。
ノルウェーの海の生態系は破壊されつつありますが、このタラバガニが高価な輸出品としての面があるため、すべての漁師が、この状況を悲嘆しているわけでもありません。
村ごとタラバガニ漁にシフトして、大もうけしているという漁村も存在しているのも事実なのです。
生態系が保全されず、かつての暮らしが行えなくなることは残念でもありますが、高級なタラバガニがうじゃうじゃ漁獲することが可能という状況を喜ぶ漁師がいたとしても、何ら不思議を感じませんね。
2位タスマニアオオガニ 甲羅幅60センチ、15キログラム
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タスマニアオオガニはオーストラリア南西部と、タスマニア島近辺の海域に住んでいます。
深度30~500メートルの深さにいるため、漁獲することは難しくはありませんが、それゆえに乱獲されてしまい、現代では水揚げ量が大きく減ってしまっているのです。
タスマニアオオガニの甲羅は、カニ類のなかで最も大きく成長します。
最大の甲羅の大きさは横幅60センチとされていて、最大の体重は15キログラムにもなる、大型のカニなのです。
タスマニアオオガニは長寿とされていて、若い個体では3年から4年に一度の脱皮のサイクルを持ち、成体では9年ごとに脱皮すると言われています。
しかも、メスの交尾はその脱皮の直後にしか行うことが出来ないようなのです。
オスの個体は四肢の欠損がメスのその割合よりも多く見られるため、メスをめぐっての争いが盛んなメス優勢の繁殖スタイルと目されています。
つまり、メスの個体数は少ない可能性があるわけです。
成長速度の遅さに加えて、交尾機会の少なさは、個体数の維持を困難にする圧力としてタスマニアオオガニを襲います。
このタスマニアオオガニという種は、乱獲に対してあまりにも脆弱なものであるのは明白です。
着実にその数を減らしているようです……。
さて、それでも経済と食欲が人々の心と体を動かしています。
当然のことながら、漁獲はつづいているのです。
お金になれば労働が生まれるのですから、カニに対する罪悪感などに構っている場合ではありません。
現地では巨大な個体は味が悪いため、売り物としての価値が低いため、せいぜい3キロあたりのカニを狙っての漁が行われています。
いい判断かもしれません、タスマニアの大学教授によれば、大きなメスの個体ほど繁殖能力が増すようですから、大型個体を捕らえることは個体数の維持に対して、ダメージがあるはすです。
漁法はさまざまあるようですが、口の大きさを制限したカゴのなかに、複数種類のエサを仕掛けることもあるのです。
複数の種類のエサを使うことで、それぞれの利点を組み合わせるというデザインの罠を仕掛けています。
海水と微生物に分解されやすい切り身のイワシ類や、長持ちする牛のスジ肉などを混合したエサを捕獲カゴの内部に入れて、海底に放置、1日から長ければ10日ほど待つという、極めて普通の漁法も有効なのです。
腐肉を好むタスマニアオオガニの肉の味は美味しく、そのためにも乱獲が進んだわけですが、現地では保護のための法律が施行されているため、法律を犯せば厳しく罰せられることになります。
さて、タスマニアオオガニの形態的な魅力は、やはり、その大きなハサミに尽きますね。
もちろん、そのハサミの力がどれぐらいの強さを発揮するのか、興味を持ってしまうのが人間の好奇心というものです。
タスマニアオオガニのハサミの「握力」は、しっかりと計られています。
その力は、300から340キログラムほどとされています。
小型の猿を引きちぎって食べることもある、凶暴な霊長類のチンパンジーの握力300キログラムですから、危険な大型サルと同等以上ということですね。
ヒトの肉はおろか、骨さえもへし折りかねない力を持っているようなのです……まちがっても、指をはさまれたくはないものです。
人間の握力のギネス記録が、192キログラムですからね、テレビで見かけるどんな巨漢のアスリートよりも、タスマニアオオガニの力はその1.5倍以上は強いと言えます。
しかしながら、海底深くに住むカニですので、人類への驚異は基本的にゼロです。
無理矢理に指をはさむなどの愚かな行為をしなければ、この美味しいカニは人類を害することはありません。
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ちなみに、カニクリームコロッケにすると、こんなサイズになります。
近くにあるペットボトルと比べると、タスマニアオオガニのハサミが持つ規格外の大きさが分かりやすいかと思います。
1位 タカアシガニ3.8メートル、19キログラム
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地球上で最大のカニは、このタカアシガニになります。
水族館の展示でも、目にされた方もいると思います。
大きなオスが鋏脚を広げると、なんと3.8メートルに達するのです。
その甲羅は最大で甲幅センチメートルにもなり、体重は最大で19キログラムをマークしています。
その大きさはカニ類どころか、現存する節足動物のなかでは最も巨大な生物です。
寿命については定かではないもの、100年ぐらい生きているのではないかとされています。
深海に住んでいるものの、駿河湾などではよく水揚げされるため、珍しい存在というワケではございません。
飼育もしやすく、死亡しても補充が容易い、そして迫力のある見た目から水族館に展示されることが多いです。
生態は謎に包まれている部分も多く、あまり多くが分かっている種ではありません。
しかし、いくつかの行動が把握されてもいます。
タカアシガニの摂食行動は、どうやら個体差が強いようなのです。
どんな種類のエサでも食べる個体もいれば、エビは食べるが小魚は食べない、小魚は好きだがイカを食べないなど、食生活に個性が現れているようなのです。
嫌いなエサが近づくと、その長い脚を使用して、つまみ上げると遠ざけるようにして捨てるという行動を選択します。
鳥類や哺乳類のように、グルーミングする様子も観察されています。
毛繕いをするかのように、その長い脚を、自分の脚でこすっていることがあるようです。
タカアシガニは、交尾体勢のまま一年半を過ごすことがあります。
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タカアシガニの交尾前ガードと呼ばれる姿勢です。
深海ではメスと遭遇する機会が稀なために、こうしてオスが交尾相手のメスを捕獲するようにして交尾を行います。
もちろん、カニなので食べることも可能です。
しかし、最も味を引き出すためには、まるごと一匹を蒸し上げにして食することと言われています。
大きすぎると、鍋を用意するのが難しそうですね。
茹でると味が落ちてしまうカニらしく、身も巨体の割りには多いものではありません。
最良は、新鮮なタカアシガニを慣れた方に蒸してもらうことです。
駿河湾などでは、名産品として振る舞われていますので、最良のタカアシガニを食べるためには、現地に足を運ぶことがベストの方法だと思われます。
まとめ
世界には多くのカニが住んでいますが、大型の種は基本的に人間の食料とされているために、個体数の減少が懸念されている場合が多いですね。
大型の種類のカニほど、成長にかかる時間は長く必要なものですから、ヒトの漁獲に晒されれば、滅びへと向かう定めではあるでしょう。
世界各地で資源の保護が計画されているのが印象的な生物でもあり、彼らの水産資源としての価値の高さを反映している結果と言えますね。
そして、あまり他の種類の生物に比べても、研究が進んでいないように思います。
一部のカニ以外の情報は、「よく分かっていない」で統一されているようです。
その多くが海底にいるために研究がしにくいのと、形状も習性も酷似しているようですね。
大型のカニはライフサイクルも長いために、ひとりの研究者がカニの一生を継続して観察することは困難かもしれません。
あまり発見が多いような種類の生物ではないのかもしれませんね。
面白そうな話題としては、カニの甲羅から取られる成分、キチンナノファイバーが育毛剤の効果があるとか、パンに含ませると小麦の量を減らしても膨らませやすいとか。
カニ甲羅を使い、バッテリーの持ちを向上させるとか。
そういう不思議な研究も行われているようです。
主に大量にあまっている殻という産業廃棄物をどうしよう?……という動機から始まった研究ですね。
キチンナノファイバーは、カニだけでなく、エビやキノコからも取れます。
それらを用いた育毛剤や、リサイクル率の高い食料なんかも作られる日が来るかもしれません。