クモは家の中や庭などでもすぐに見つけることができる、非常に身近な生物です。
クモは巣を張ったり、穴を掘って獲物を待ち受けたりと多彩な生態を有しており、その世界は奥深いです。
世界には私たちの想像を超えるような、美しいクモが生息しています。
今回は世界の美しいクモを紹介していきます。
グーティ・サファイア・オーナメンタル
引用元:http://dangerous-insects.blog.jp/
グーティ・サファイア・オーナメンタルは、インド中南部アーンドラ・プラーデシュ州グーティに生息する、タランチュラの一種です。
「グーティ・サファイア・オーナメンタル(サファイアを装飾するグーティ)」という名前の通り、身体は深い青色をしており胴体には青を基調とした幾何学模様が広がっています。
タランチュラの愛好家の間では、代表的な美麗種のひとつとして知られています。
グーティ・サファイア・オーナメンタルが属するPoecilotheria属は、タランチュラの中でも非常に臆病であると言われており、飼育の際には熟練した扱いが求められます。
コバルトブルータランチュラ
引用元:https://www.pinterest.jp/
コバルトブルータランチュラは、タイやミャンマーに住む地中棲のタランチュラです。
体長は4~6cm、体色は鮮やかな青色をしているほか、緑青色をした変種も存在しています。
その美しい外見からペットとしても人気で、日本でも流通していますが気性が荒く、飼育は困難です。
毒性も強く、咬まれると重度の痙攣や炎症を引き起こすこともあります。
タランチュラは非常に種類が多いですが、中にはコバルトブルータランチュラや先に紹介したグーティ・サファイア・オーナメンタル、ほかにもシンガポールブルーなど身体が鮮やかな青色をしたものがいます。
普通、体色が鮮やかな生物は求愛目的であったり、警戒色であるケースが多いですが、青色のタランチュラの場合は個体によって体色に差が出るなど、説明がつきません。
青いタランチュラ同士も、体色を青くするメカニズムはそれぞれ異なっており、なぜ青いのかについては研究が続いています。
パナマニアンレッドランプタランチュラ
引用元:http://panamasilvestre.blogspot.com/
パナマニアンレッドランプタランチュラは「パナマレッドランプタランチュラ」、「パナマレッドランプ」などとも呼ばれるタランチュラの一種です。
黒の体色は、毛が生えている様子からベルベットのようで非常に綺麗です。
腹部も赤色をしており、黒と赤とで鮮やかな配色となっています。
パナマニアンレッドランプタランチュラはタランチュラの中でもSericopelma属に属しています。
この属はすべてが中央アメリカのニカラグアからパナマにかけての地域にのみ生息しています。
アンティルピンクトゥータランチュラ
引用元:https://aracnidos.info/
美しいタランチュラは数多くありますが、中でも「世界で最も美しい」、「歩く宝石」とまで称されるのがアンティルピンクトゥータランチュラです。
アンティルピンクトゥータランチュラは樹上棲のタランチュラで、小さいうちは体色が鮮やかな青色をしています。
特に脱皮してすぐのうちは、体色が透明感のある青色をしており、非常に美しいです。
成長するうちに体色が赤っぽくなり、「ピンクトゥー(ピンクのつま先)」の名前の通り、足がピンク色になります。
アンティルピンクトゥータランチュラは気性もおとなしく、走り回るようなこともしないため初心者向けと言われています。
ピーコックスパイダー
引用元:https://www.abc.net.au/
ピーコックスパイダーはハエトリグモ科クジャククモ属に属するクモの一種で、ピーコック(孔雀)と名前にあるように最もクジャクグモ属の実力が強く出ている種類です。
このクモはオーストラリアの中でもタスマニアやシドニー周辺など限られた地域にしか生息していません。
オスのピーコックスパイダーの腹部にはカラフルな模様が描かれており、求愛時にダンスを踊ってメスにアピールをします。
この模様は青や金、紫など様々な色が使われていますが、中でも黒が非常に特徴的です。
ピーコックスパイダーの体色の黒は体毛が95%以上の光を吸収することで、完全な黒を実現しています。
このようなメカニズムはフウチョウにもありますが、節足動物で取り入れている例はほとんどありません。
オオナガトゲグモ
引用元:https://khaoyaim.exblog.jp/
日本で姿を見る機会はありませんが、熱帯や亜熱帯地域にかけて「トゲグモ」と言われるクモが生息しています。
トゲグモのメスは背中にキチン質でできた甲羅のような組織が発達しており、そこからトゲが生えています。
その特異な外見から英語では「星型のクモ」、「凧型のクモ」、「宝石型のクモ」などとも言われることがあります。
中でも特にユニークな外見をしているのが、オオナガトゲグモです。
オオナガトゲグモはインドやバングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、マレーシアなど、南アジアや東南アジアにかけた広い範囲に生息しています。
オオナガトゲグモのメスには、名前の通り大きく、長いトゲが2本が生えています。
オオナガトゲグモは巣を張って獲物を狩りますが、その間に鳥に狙われます。
そこでトゲを振りかざし、背中の警戒色を見せつけることによって自分の身を守るのです。
オオナガトゲグモはこのトゲが大きすぎるためにトゲを上向きにすることができません。
トゲグモにはいくつも種類がありますが、オオナガトゲグモについては研究が進んでおらず、なぜそんなにトゲが大きくなってしまったのかはいまだに判明していません。
ニコヤカヒメグモ
引用元:https://www.flickr.com/
ニコヤカヒメグモは、ハワイ諸島のオアフ島やモロカイ島、マウイ島などの森林地帯に生息する全長5ミリほどの小さなクモです。
ニコヤカヒメグモの「ニコヤカ」とは、そのまま日本語の「にこやか」です。
英語では「ハワイアン・ハッピーフェイススパイダー」と呼ばれます。
その名の通りこのクモは黄色い体色をしており、腹部にまるで笑顔のような模様が描かれています。
もっともすべてのニコヤカヒメグモが同様に笑顔のような模様を有しているわけではありません。
食べるものや遺伝によって体色や模様が変化するようで、パターンは非常に多様です。
このユニークな模様は、捕食者から身を守るための保護色として機能していると考えられています。
ツシマトリノフンダマシ
引用元:http://koitarou2006.blog112.fc2.com/
綺麗な外見のクモと言えば、海外のものだと思うかもしれませんが、日本にも美しい外見をしたクモが生息しています。
それがツシマトリノフンダマシです。
このクモは日本の対馬で最初に発見された、希少な生物です。
対馬のほかに日本では本州の南部や四国、九州、南西諸島、海外では台湾や中国で発見されています。
ツシマトリノフンダマシはまるでテントウムシのように腹部が赤く、黒い斑点があります。
まだこのクモは発見例が少なく、メスしか見つかっていません。
生態については不明な点も多いです。
ミラースパイダー
引用元:https://buzz-plus.com/
ミラースパイダーは東南アジアからオーストラリアにかけての熱帯地方に広く生息するクモの一種です。
体長はオスで2.7ミリほど、メスは4.5ミリほどという非常に小さく、腹部に鏡やガラスのような部分がモザイク状に存在しています。
この部分は節足動物の身体や魚類の鱗などと同じグアニン結晶によって形成されており、光を反射してキラキラと輝きます。
また外敵が近づくとこの部分が大きくなります。
この行為が威嚇なのか保護色として機能しているのかはよく分かっていません。
メダマグモ
引用元:https://www.pinterest.ru/
クモは一般に6つの単眼と2つの複眼で、合計8つの目を有しており、そこまで視覚は優れていません。
しかしメダマグモは、名前の通り頭部に大きな2つの目を有したクモの総称です。
外見は非常にユーモラスで、特に正面から見ると愛嬌も感じられます。
残念ながら日本には生息していません。
メダマグモは造網性のクモですが、他のクモよりも視覚が優れており、巣を作るほかまるで投網のように糸を投じて昆虫を捕まえます。
似た方法で獲物を捕らえるクモにナゲナワグモというものがいますが、ナゲナワグモは視覚が発達しているわけではなく、フェロモンで獲物を誘引します。
メダマグモは英語で「Ogre-faced spiders(鬼の顔をしたクモ)」とも言います。
これはメダマグモの頭部、目玉の後部に角のように出っ張ったコブのような部分があるためです。
まとめ
今回は世界一美しいクモを紹介しました。
クモは世界で3万5000種も存在すると言われています。
その中には綺麗な色彩をしたものや独特のデザインをしたものなど、世界にはさまざまなクモがいます。
長い年月の中で自然の生み出した美しさに改めて目を向けてみてはいかがでしょうか。