家の庭や、近所の公園などどこにでも生息しているアリですが、これまでは全くと言っていいほど気に留めることもありませんでした。
しかし近年、外来危険生物である「ヒアリ」の国内初上陸のニュースが報道されたことで、改めてアリが注目されています。
そこで今回はヒアリよりも危険な世界最強のアリTOP5をご紹介しましょう。
ヒアリ(参考)
ヒアリとは南米大陸原産で、世界の侵略的外来種ワースト100選定種で、特定外来生物にも指定されている殺人アリです。
毒針はアルカロイド系の猛毒を持ち、人間が刺されると、痛み・かゆみ、体質によってはアレルギー反応や蕁麻疹等の症状が出ることがあります。
また、アナフィラキシーショックにより死亡することもあるそうです。
雑食性で亜熱帯~暖温帯の公園、庭などの草地を好んで巣を形成します。
南米原産ではあるものの、アメリカ、中国、オーストラリアなど世界中で生息が確認されており、日本でも2017年に神戸港で初めて発見されて以降、複数の都道府県で発見されており注目されました。
しかし、特定外来生物に指定されているヒアリ以上に危険なアリが世界には存在します。それが次の5種類のアリです。
キバハリアリ(ブルドッグアリ)
キバハリアリ(Bulldog ants)はオーストラリア大陸の隔離された環境で遺留し生き残った原始的なアリの一種です。
体長は大型のもので25mm~40mmで、キバハリアリ(牙針蟻)という和名の通り、頭部と同等以上の大顎と、後腹部に毒針を持ち、脚が長く素早く移動することが出来るのが特徴です。
大顎は殺傷・切断よりも、捕縛等に用いることが多く、敵・獲物への攻撃手段は後腹部にある毒針です。非常に強力な毒を持ち、刺されると1週間程度は痛みが続き、最大3ヶ月残る場合もあるそうです。
非常に好戦的で獰猛な性質のアリとして知られ、巣に近付くもの全てを敵とみなし、自分たちの体格よりもはるかに大型の生物でも躊躇なく攻撃をしかけ、生物が逃げても10m程度は追ってきます。
集団で襲いかかってくることもある為、「30箇所以上刺されると死ぬ」と言われており、現地では「殺人アリ」として恐れられています。
アルゼンチンアリ
南米原産の殺人アリです。攻撃性が強く、他種のアリの巣を襲って、その巣の成虫幼虫含めまるごとエサにしたり、ハチの巣や天敵であるはずの鳥の巣まで襲ってヒナを餌にすることもあります。
更に、人家に侵入してくることも多く、人間や家畜が攻撃の対象とされることもあります。
働きアリの体長は約2.5 mm、女王アリはその2~4倍程度です。動きがとても速く、日本の在来種の4倍近いスピードで動くと言われています。
多女王性であり、一つの巣に複数の女王アリがおり、ふつうは働きアリ1,000匹に対して女王アリ8匹程度ですが、超巨大コロニーともなると1,000,000匹以上の働きアリを抱え、女王アリの数は1,000匹以上になることもあります。
女王アリは1日約60個程度の卵を産み、約2ヶ月で成虫の働きアリに成長します。
その為、駆除や根絶が容易ではなく、他生物の巣に侵入し、襲って巣から追い出したり、時には絶滅に追いやることもあります。
その結果、生態系破壊の元凶とされる非常に厄介な生物として世界的に有名です。世界の侵略的外来種ワースト100、日本の侵略的外来種ワースト100、特定外来生物にも指定されています。
原産地は南アメリカ(アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル)と考えられていますが、現在ではアメリカ(南東部~カリフォルニア周辺)、ハワイ、オセアニア、ヨーロッパ、南アフリカなど世界各地で生息が確認されていおり、日本でも1993年に日本の広島県廿日市市で初めて採集されて以降、西日本を中心に繁殖が拡大しています。
軍隊アリ(サスライアリ)
軍隊アリは南北アメリカ大陸、中央アフリカなどの熱帯雨林に生息するアリの一種です。
群れには雌アリ(女王アリ)、雄アリ、働きアリの3つの階級があり、更に働きアリは「働きアリの隊列を見守るメジャー」「捕った獲物を運ぶサブメジャー」「狩りを行うメディア」「何匹も繋がり橋を作って他のアリを渡らせるマイナー」に分類されます。
その名の通りまるで軍隊のように統率された集団アリです。
また、軍隊アリは一般のアリとは異なり巣を作らず、軍隊のように隊列を組んで前進し、目に付いた獲物には集団で襲いかかる獰猛な習性を持っています。
その獰猛さは、中南米の食物連鎖の頂点とされるジャガーでさえも逃げ出すほどであり、中南米の真の食物連鎖の頂点は軍隊アリではないか?とも言われることもあります。
雌アリを中心に数十万から百万という、長さ20メートルにも及ぶ隊列を組み、時速1キロメートルほどのスピードで行軍します。
行軍中に発見した昆虫や爬虫類・鳥類などは元より、繋がれていたり、病気で動けないような場合には牛や馬など大型動物も食い殺すことがあります。
当然人間が襲われることもあり、無理に引き剥がそうとすると皮膚を引きちぎられることもあります。
体長は1.5cmほどですが、中央アフリカに生息するサスライアリは5cmに達するものもいるといわれています。牙が身体と比較して非常に大きく、顎の力も非常に強いのが特徴です。
ディノハリアリ(ディノポネラ)
南アメリカアンデス山脈東部の熱帯雨林帯に生息する巨大なアリです。
体長は働きアリで平均2.5cm、女王アリでは3~4cmにもなる世界最大のアリで、日本最大のクロオオアリの二倍近い大きさを持ちます。
肉食性の非常に獰猛な性格で、ノコギリ状の大きな顎に加え、腹部末端には毒針を持っており、他の昆虫だけでなく、両生類や爬虫類などにも襲いかかり、エサにしてしまうこともあります。普段は単独で行動しており、大きな顎と強力な毒針で獲物をしとめます。
大顎は人の皮膚を簡単に噛みちぎるほどの力を持ち、毒針も体が大きい分針が大きく毒の量も多いため刺されると非常に痛いのはもちろん、アナフィラキシーショックによって死にいたる場合もあります。
しかし、熱帯雨林の奥地に生息しているため都市部の人間が出会うことはまずありません。
サシハリアリ(パラポネラ)
サシハリアリ(パラポネラ)は南米のニカラグアからパラグアイまでの、湿潤な低地多雨林に生息するアリの一種です。
刺されると痛みが24時間続くことから、現地では「Hormiga Veinticuatro(24時間アリ)」と呼ばれたり、銃で撃たれたような痛みから 「バレット(弾丸)アント」と呼ばれたりしています。その痛みはあらゆるハチ・アリの中で最強と言われています。
樹の根元に巣を作り、数百~数千匹程度のコロニーを形成します。通常集団を形成することが多いアリですが、サシハリアリは単独行動を取ることが多く、巣に近づくものには金切り声を発して威嚇するそうです。
体長は20~30mmと大きく、肉食性で獰猛な性質、超強力な毒針などから「世界最強のアリ・世界最強の昆虫」と言われることもあります。
まとめ
今回ご紹介した以外にも、ヒアリ並みに恐ろしく危険なアリが世界には複数存在します。
外来種のアリは船のコンテナなどに忍び込み、誰も気づかない内に海外から日本へとやってきます。
もしかするとアルゼンチンアリのように既に日本に上陸しているアリもいるかもしれません。
近所の公園や家の庭などの草地、砂地ではアリを見かけることがあるかもしれませんが、私が子供の頃はアリを恐れる事などほとんどありませんでしたが、これからはアリを見つけてもむやみに触ったりしないよう気を付けなければいけませんね。