近年は地球温暖化の影響で北極の氷が解けて、北極海を船舶が航行できる北極海航路が開通する可能性が出てきています。
こうした氷の海で活躍するのが砕氷船と呼ばれる船です。
砕氷船というのは、私たちにはあまり馴染みのない船ですが、氷を割りながら進む能力をもった特殊な船です。
ここでは、世界最大の砕氷船たちをランキング形式で紹介していきます。
砕氷船とは
引用:ja.wikipedia.org
砕氷船とは、水面にある氷を割りながら進む能力をもった船舶のことです。
砕氷船は、氷を砕いて進むために船体の強化や砕氷設備といった特別な設計が施されています。
砕氷船は、北極海や南極海といった極地の海で使用されるだけでなく、凍結した河川などでも使われることがあります。
砕氷船の多くは、南極の基地などに観測隊や資材を運ぶための観測船として使われていますが、中には軍が保有している軍用砕氷船も存在し、砕氷艦と呼ばれることもあります。
ほかにも、民間で商船や観光用の船として使われているものもあります。
砕氷船をはじめとして、氷の海で航海を行う船にはアイスクラス(耐氷性能)というものが、あって、いくつかのクラスに分けられています。
これは国や機関によって異なりますが、通年ですべての極海域に対応しているPC1や、通年で中程度の多年氷に対応しているPC2などといったクラス分けがあります。
第10位 アガラス(南アフリカ)
引用:ja.wikipedia.org
アガラスは、南アフリカ共和国が保有している南極観測支援用の調査船です。
南極大陸は地球で最も寒冷な地域といわれ、3000万年のあいだに降り積もった雪が溶けずに1000~2000mの厚い氷の層である氷床になって地表を覆い、それが海に流れ落ちて洋上で棚氷を形成し、それがやがて沖に押し出されて海をさまようことになると、氷山になります。
こうした環境下で調査活動を行うために作られたアガラスも、当然その船体は体表構造になっています。
アガラスは、全長111.95m、排水量1837t、速力14ノット、乗員40名に加え、科学者や乗客など98名を乗船させることができます。
アガラスは南アフリカ環境観光省に所属する船で、南極大陸やその周辺諸島に設置された観測拠点への科学者や基地要員、物資、資材などを運搬することを目的に建造されました。
船内には、気象観測機器や、採水器、研究室などの設備が設けられており、アガラス自体を科学調査の基地とすることができます。
物資の陸揚げのために25tのクレーンを装備し、ヘリコプター2機を搭載し、甲板後部には格納庫とヘリパッドが備えられ、人員や物資を空から運ぶこともできます。
アガラスは、日本の三菱重工下関造船所で1977年に建造されました。
南アフリカ南部のケープタウンを母港とし、南極のSANAE基地や、インド洋南部のプリンス・エドワーズ諸島マリオン基地などへ補給活動を行っていました。
2002年6月には、南極で氷に閉じ込められたドイツの貨物船マグダレーナ・オルデンドルフを、アルゼンチンの砕氷船アルミランテ・イリサールとともに救助にあたり、ヘリコプターでオルデンドルフから人員を脱出させています。
2012年、艦齢30年となったアラガスは、後継のアラガスⅡにその役割を譲り、現在は、南アフリカ海事安全局に移されて、練習船として船員の訓練に使用されています。
第9位 しらせ(日本)
引用:ja.wikipedia.org
しらせは、日本の砕氷船で、文部科学省国立極地研究所が南極地域観測隊の輸送等の任務を行うために建造した南極観測船です。
艦名は、日本人として初めて南極に足を踏み入れた探検家で陸軍軍人の白瀬矗(しらせのぶ)から採られています。
しらせは、排水量12650t、全長138m、速力19ノットで、乗員179名に加え、観測隊員80名を乗船させることができます。
しらせは、大型のCH-101ヘリ2機と小型のAS355ヘリ1機を搭載することができます。
マルチビーム式の音響観測機を船底に備えていて、これを使って南極海での海底地形図作成を行っています。
しらせは、現在は気象観測船として使用されている初代「しらせ」の後継艦として、2009年に就役しました。
しらせは海上自衛隊によって運用されており、文部科学省では南極観測船と呼ばれるため、こちらの呼び方のほうが一般的ですが、防衛省では「しらせ型砕氷艦」と呼称されています。
しらせは、ましゅう型補給艦と並んで海上自衛隊では最大級の艦艇となっています。
艦内には、長期航海に備えて医師と歯科医師も同乗しています。
理容室もありますが、理容師資格をもつ人間がいない場合は乗員同士で髪を切りあうことになります。
海上自衛隊に所属する船であるため、船内には64式小銃など10丁以上の銃器と弾薬が積まれています。
しらせは、例年、11月に東京晴海埠頭を出港して、オーストラリアのフリーマントルで南極観測隊を乗艦させ、年末には南極の昭和基地に到着します。
2月には昭和基地を離れ、4月に日本に帰国してその後メンテナンスを受けるという運用を繰り返し行っていて、何度も南極観測隊を輸送しています。
夏には慣熟訓練のほか、一般公開といった広報活動も行っています。
第8位 ヴィクトル・チェルノムイムジン(ロシア)
引用:www.cruisemapper.com
ロシアは国土面積の3分の2が一年のうち9か月にわたって氷によって海面が覆われる北極海で占められており、北極沿岸のほぼ半分を領有しています。
そのため、ロシアは伝統的に砕氷船の建造に力を入れてきました。
現在、ロシアは世界全体の砕氷船のほぼ半分をもっており、その数は世界第1位の46隻。
2位フィンランドの10隻と比べると、いかに圧倒的な数かがわかります。
北極海は近年の地球温暖化の影響によって海氷が溶け、航路として利用可能となるのではという予測がなされており、ロシアはこれからもさらに砕氷船建造に力を入れていくものとみられます。
ヴィクトル・チェルノムイムジンは、現在ロシアで建造中の砕氷船です。
船名は、エリツィン大統領時代のロシアの首相であり、ロシアの新興財閥であるガスプロムの初代社長でもあったヴィクトル・チェルノムイムジンの名から採られています。
チェルノムイムジンは、エリツィン大統領が心臓手術を受けた1996年11月5日から6日にかけて1日だけの臨時大統領を務めたこともあります。
砕氷船ヴィクトル・チェルノムイムジンは、排水量22000t、全長146.8m、速力17ノット、乗員38名に加え90人を乗船させることが可能で、さらに、2基のヘリを搭載できるか格納庫とヘリポートを備えています。
11700馬力のディーゼルエンジン4基を搭載したディーゼル電気推進システムをもち、最大2mの氷を砕きながら2ノットで進むことができます。
ヴィクトル・チェルノムイムジンは、ディーゼル電気推進の砕氷船としては、世界最大クラスのものになります。
ヴィクトル・チェルノムイムジンは、2013年には設計上の問題から工事が中断するというトラブルに見舞われ、2018年には船内で火災が発生したために、2018年秋の予定だった就役が2020年まで遅延しています。
現在は、サンクトペテルブルクにあるアドミラルティ(海軍)造船所で工事が進められています。
第7位 10520型アルクティカ級砕氷船(ロシア)
引用:dailynewsagency.com
正式名称を10520型砕氷船といわれるアルクティカ級砕氷船は、ソビエト時代から建造されていた原子力砕氷船で、砕氷船としては世界最大級の船級となっています。
原子力砕氷船は、その名の通り原子力機関を動力とする砕氷船で、世界で唯一ロシアだけが保有している艦種です。
ロシアは現在、7隻の原子力砕氷船を運用しています。
アルクティカ級は1番艦~6番艦までが建造されていて、1番艦が「アルクティカ(北極の意)」、2番艦が「シビーリ(シベリアの意)」、3番艦が「ロシア」、4番艦が「ソビエツキー・ソユーズ(ソビエト連邦の意)」5番艦が「ヤマール(ヤマル半島の意)」、6番艦が「50リェート・パベードゥイ(勝利50年の意)」となっていますが、現役で活躍しているのは5番艦と6番艦の2隻だけです。
アルクティカ級のなかで一番巨大なのが、6番艦の50リェート・パベードゥイです。
この船はもともとウラル(ウラル山脈)という名前がつけられていましたが、1995年の第二次大戦における対独戦勝記念50周年を記念して、勝利50年という艦名がつけられました。
しかし、建造が遅延したため、実際に就役できたのは、対独戦勝利50周年から12年もたってしまった2007年のことでした。
50リェート・パベードゥイは、排水量25800t、全長159.6m、走力20.6ノット、乗員140名に加えて乗客100名を乗せることができ、Ka-32ヘリまたは小型のMi-2ヘリを搭載することができます。
OK-900A原子炉(171MW)2基を搭載し、濃縮ウラン燃料棒245本を搭載して、5年間におよぶ連続航行が可能です。
出力72000馬力によって3軸スクリューを回転させ、船首に備えた厚さ3.6㎝の高張力鋼製耐氷外板によって、2.25mの氷を砕きながら3ノットの速さで進むことができます。
50リェート・パベードゥイは、北極点観光用の船として設計されており、北極点到達旅行のために使われています。
2013年には2014年に開催されたソチオリンピックの聖火リレーのため、史上初めて聖火を北極点へと運びました。
第6位 ジョン・G・ディーフェンベイカー(カナダ)
引用:www.rcinet.ca
ジョン・G・ディーフェンベイカーはカナダ沿岸警備隊に所属している砕氷船で、カナダ13代首相であるジョン・G・ディーフェンベイカーからその名がとられています。
ジョン・G・ディーフェンベイカーは、カナダ初となる女性閣僚の任命や、イヌイットなど先住民族に投票権を認めたりといった功績を残し、カナダ沿岸警備隊は彼が首相を務めていた1962年に設立されています。
ジョン・G・ディーフェンベイカーは、排水量23500t、全長150.1m、最大速力20ノット(巡航速度12ノット)、乗員は60名で、その他の40名程度を乗船させることができます。
ムーンプール(船体中央の開口部)や、クレーン、中型ヘリ2台を搭載できる格納庫とヘリポートのほか、研究室など海洋調査船としての能力も持ち、ヘリに給油をする能力もあります。
53000馬力のディーゼル発電機6基で構成されるディーゼル電気推進システムを搭載しており、厚さ2.5mの海氷を砕きながら、3ノットで進むことが可能です。
航続距離は26200海里で、フルパワーで25日間、最大270日に渡って活動することが可能です。
ジョン・G・ディーフェンベイカーは、カナダ海軍や沿岸警備隊の艦船更新計画であるカナダ造船調達戦略(NSPS)によって建造されたもので、2021年~2022年には就役する予定でしたが、予算が当初の2倍ほどにまで膨れ上がるなど、現在建造計画は大幅な遅れをみせています。
第5位 10580型タイミール級砕氷船 (ロシア)
引用:en.wikipedia.org
10580型タイミール級砕氷船は、10520型アルクティカ級砕氷船に続いてロシアが建造した原子力砕氷船です。
タイミール級は、1番艦「タイミール」と2番艦「ヴァイガチ」の2隻が建造され、1番艦が1989年に、2番艦が1990年に就役しています。
タイミール級は、排水量21000t、全長151.8m、速力18.5ノット、乗員100名ですが、最大で138名ほどを乗船させることができ、さらにKa-32ヘリ1機を搭載することができます。
世界最大の原子力コンテナ船セブモルプーチに搭載されたものを改良したKLT-40M原子炉(171MW)を搭載し、47000馬力で3軸スクリューを回転させ、2.2mの氷を砕きながら3ノットで進むことができます。
タイミール級は、河川用の砕氷船として設計されたもので、シベリアの開発拠点付近の河川の氷を砕きながら遡航するのがその役割です。
そのため、タイミール級の喫水線は、北極海用の深い9mと河川用の7.5mという浅いものの2種類に可変することが可能です。
第4位 ヌイーナ(オーストラリア)
引用:www.nautechnews.it
ヌイーナは、南極での科学研究・調査と観測基地への補給に使用するためにオーストラリアで建造が進められている砕氷船です。
ヌイーナは、オーストラリアが運用する砕氷船「オーロラ・オーストラリス」を更新するために建造が計画されたもので、2020年~2021年の就役を目指して建造中です。
船名はタスマニア語で「南の光」を意味する言葉から採られています。
タスマニア語は、タスマニア島の先住民に話されていた言葉で、1905年に消滅して現在は死語になっています。
オーストラリアの砕氷船はこれまでオーロラに関する名前が付けられており、その伝統を引き継ぐもので、オーストラリアの小学生から集められた案から選ばれたものです。
ヌイーナは、排水量25500t、全長160.3m、速力16ノット、乗員32名に加えて研究者など117名を乗せることができます。
1200tのばら積み貨物、コンテナ96個、190万ℓのディーゼル燃料を一度に運搬することができ、貨物の積み下ろしのために55tナックルブーム・クレーン2基を両舷に装備しています。
ヘリ甲板と格納庫を持ち、中型ヘリ2機もしくは小型ヘリ4機を搭載することができ、将来は無人機の運用も予定されています。
船内には500㎡の研究スペースをもち、大型のムーンプールによって、荒天下や海氷の中でも無人探査機の発進やサンプル採集器の使用ができます。
さらに、海洋探査用の音響機器として、幅25㎞、深度11000mまでの海底地形をマッピングできるマルチビーム・エコーサウンダーや、海底の堆積層を200mの深さまで画像解析できるサブボトムプロファイラなどを備えています。
オーストラリアは、ケーシー基地・デービス基地・モーソン基地という3つの南極基地と亜南極のマッコーリー島基地を運用しており、ヌイーナは現在オーロラ・オーストラリスが行っている補給任務を引き継ぐことになっています。
第3位 雪竜(中国)
引用:www.hk01.com
雪竜は、中国が保有している砕氷船で、中国極地研究センター(PRIC)に所属し、南極や北極などの極地における科学調査とその支援を任務としています。
雪竜は、排水量21350t、全長167m、速力17.9ノット、乗員34名に加えて、研究者などの乗客128名を乗せることができます。
センナには海洋物理学や海洋化学、生物学、気象学などの100㎡におよぶ専門の研究室を備えています。
軍用のKa-27ヘリの民間用輸送機型の派生型であるKa-32型ヘリコプター1機と自律型無人潜水機(UUV)1機を搭載することができます。
雪竜は、もともとウクライナで北極海用の貨物船として建造されたものを中国が買い取ったもので、上海の造船所で研究・補給船としての改装を受けました。
雪竜は、1994年に中国の第11次何脚観測隊を乗せて初めて南極へと出発しました。
2008年には南極高原中央部最高地点にあるドームAに観測拠点である「崑崙基地」を建設するための資材を運搬し、2013年には中国第4の南極観測拠点である「泰山基地」の建造資材を運搬するなど、拠点設営においても大きな役割を果たしています。
雪竜の活動範囲は何曲だけではなく、1999年に初めての調査航海を行って以来、6回にわたって観測隊を運んでいます。
2012年の第5次北極航海では、中国船舶として初めて、太平洋と大西洋を結ぶ北極海航路である北東航路を通ることに成功しました。
2013年12月には、ロシアの貨物船アカデミック・ショカリスキーが南極で氷に閉じ込められた時には、搭載しているヘリコプターを使って乗員52名をオーストラリアの砕氷船「オーロラ・オーストラリス」へと脱出させました。
この時は、雪竜自身も氷の中に閉じ込められて身動きができなくなるというトラブルも起こりましたが、風向きが変わったのを見計らない、自力での脱出に成功しています。
大きな活躍をみせている雪竜ですが、やはりもともとが貨物船であるため、その能力に限界があり、2018年9月10日には、かねてより計画が進められていた新型の砕氷船「雪竜2号」が進水しています。
第2位 22220型アルクティカ級砕氷船(ロシア)
引用:en.wikipedia.org
22220型アルクティカ級砕氷船は、10520型アルクティカ級砕氷船の名を引き継ぐ砕氷船で、10081型セブモルプーチの次にロシアで建造された原子力砕氷船です。
2代目アルクティカ級は、ロシアが重視する北極海航路の開拓を目指して作られた船で、排水量では世界最大の砕氷船となっています。
ロシアが現在保有している原子力砕氷船の多くは1990年代に建造されたものであるため、北極圏の資源開発や北極海航路を発展させる、これからのロシア原子力砕氷船の中心的存在となるため、この3隻の建造計画が進められてきました。
世界最大級の砕氷船であり、北極圏を意味するアルクティカの名を受け継いでいるのも、ロシアの期待の大きさの表れといえるのではないでしょうか。
22220型アルクティカ級は、一番船アルクティカ(北極圏)、二番船シビル(シベリア)、三番船ウラル(ウラル山脈)の3隻が建造され、2019年時点で3隻ともが進水しており、2020年には一番船のアルクティカが就役する予定です。
22220型アルクティカ級は、全長173.3m、排水量33540t、速力22ノット、乗員74名となっています。
船首部には「氷の歯」と呼ばれる幅広の砕氷船首を装備し、2ノットの速力で厚さ2.9mの氷を割りながら、航路を切り開いて進むことができます。
この船のために新しく開発された小型モジュール炉RITM-200(175MW)を2基搭載し、2基の蒸気タービン発電機を使い、スクリューを駆動させるという原子力電気推進システムを搭載しています。
推進力は実に80000馬力で、原子力砕氷船のなかでも史上最大のパワーをもつ船となっていて、これも2代目アルクティカ級の高い砕氷能力の理由です。
原子炉の核燃料の交換は、約7年ごとに行われます。
本級は、汎用型砕氷船として北極海での過酷な環境下での破氷航行はもちろん、水深が浅い河川などでも運用することができます。
このために、バラストを可変させることができ、それによって、喫水線を変えることができます。
北極海では喫水線10.5mですが、水深の浅い河口などでは喫水線を8.5mまで浅くして座礁を防ぎ、ロシアで現在使用されている河川用の砕氷船が退役することを見越してこうした機能がつけられたとみられます。
さらに、ロシアではすでにさらなる巨大原子力砕氷船の建造が決定しており、全長209m、排水量100000tといわれる破格の10510型原子力砕氷船リデル級は、2024年完成予定となっています。
第1位 10081型セブモルプーチ(ロシア)
引用:jp.rbth.com
世界最大の砕氷船ランキングの1位となったのは、ロシアの原子力砕氷船10081型セブモルプーチです。
セブモルプーチは、ロシアが保有する原子力砕氷船のうちの1つであり、世界初の原子力砕氷コンテナ船として1988年に竣工しました。
セブモルプーチは、単に氷を砕いて他の船の通り道を作る砕氷エスコート船だけではなく、貨物船としても高い能力をもっています。
セブモルプーチは排水量61880tで全長260m、速力20.8ノット、乗員91人です。
推進装置は、135MWで60%の高濃縮ウラン燃料を使用するKLT-40原子炉1基と蒸気タービン4基を組み合わせた一軸スクリュー駆動の推進システム(39000馬力)です。
破砕能力は2ノットの速度で厚さ1mの海氷を割りながら航行可能とされています。
運搬能力は20フィート規格のコンテナで1328個程度とされ、コンテナの代わりに370t級の艀を74隻運搬することもでき、6つの船倉と船尾甲板の2層に搭載できます。
セブモルプーチは、21.3mで500tの吊り下げ能力を備えたガントリークレーンをもっており、これで艀を積み下ろしします。
さらに、3tの補助クレーン2基も搭載しています。
セブモルプーチは北極海を含む国際航路でのコンテナ輸送業務に従事しているほか、北極海沿岸のシベリア地方への物資輸送では、沿岸の河口に艀を運搬し、河川を遡航してシベリア開発に必要な資材を運んでいます。
北極海の軍事インフラの開発資材を運搬するためにロシア国防省によってチャーターされていた時期もあります。
原子力商船はセブモルプーチのほかには、これまでアメリカの貨物船サバンナ、西ドイツの鉱石運搬船オットー・ハーン、日本の「むつ」の3隻しか建造されておらず、これらはすべて退役していて、現役で運用されているのはセブモルプーチただ1隻だけとなっています。
まとめ
以上、世界最大の砕氷船ランキングでした。
やはり、北極や南極など、砕氷船を必要とする地域に地理的に近い国のほうが、こうした船の開発に熱心な傾向にあります。
そのなかで、日本の砕氷船がランキングしているのはなかなか凄いことなのではないでしょうか。
日本に暮らす我々からは遠い世界である北極や南極といった氷の世界では、様々な砕氷船たちが今日も活躍しているのです。